表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
532/999

6-70 名はまだ無い

―1―


 闇の日が来たので外出することにした。


――《剣の瞳》――


 《剣の瞳》スキルを使い、寮内の学生の動きを把握する。いや、だってさ、芋虫スタイルの俺が見つかったらやばいじゃん。大騒動になっちゃうんだぜー。


――《隠形》――


 周辺に人が居ないの確認し、《隠形》スキルを使いながら窓の外へ、そのまま《軽業》スキルを使いながら寮の裏に回る。さあて、まずは《転移》のチェックをしないとな。


 ……。


【転移は不思議な力によってかき消されました】


 あれ?


 も、も、もしかして、結界内だから《転移》のチェックが出来ないのか? となると《転移》を使う時は、学院の外に出て、それから使わないとダメなのか……。


 うーむ、一気に難易度が跳ね上がったな。一応、銀のローブを深くかぶって姿が見えないようにしているけどさ、そんな怪しい姿の人物が学院を出入りしているって噂になれば、面倒なことになるよな。


 困った。困ったけど、仕方ない。


 分身体が外に出ても何もならないからな……。今度からは闇の日になったら、他の人が起きる前に行動しようかな。


 ……。


 って、よく考えたら無理に外出日を守らなくてもいいじゃん! あえて人の出入りが多くなる日に、俺があわせる必要って全くなかったじゃん! バレないように隠れてこっそり出入りすれば良いじゃん。俺は何を真面目にルールを守ろうとしていたんだか……。


 ま、まぁ、今日はこのまま《隠形》スキルと《剣の瞳》を組み合わせて外出するか。


 学院の入り口にあたる場所の門は開かれており、周囲に人影は無かった。不用心だよな。まぁ、結界があって学院の関係者しか出入りが出来ないんだから、こんなものか。


 そのまま、ローブ姿の状態で学院の外に出て《転移》のチェックが出来る場所を探す。


 学院を出て正面はメインストリートに繋がっており、その先には14型の宿泊している施設がある。14型が大人しくしているか心配だが、まぁ、大丈夫だろう。

 右手側に進めば以前に試験を行ったグラウンドだな。グラウンドは人目が多いだろうから、そこでチェックするのは危険か。

 となると左手側を進んでみるかな。


 学院を囲むように作られた壁をつたい進んでいく。余り、人の目につかぬよう、道の端を《隠形》しながら進む。学院の裏側まで進むと大きく茂った木々が見えてきた。へぇ、学院の裏が森になっているのか。何だか、奥に遺跡でもありそうな雰囲気の森だな。


 よし、ここなら目立たないだろう。


――《転移チェック8》――


 今回は8番にチェックを入れよう。さあて、一旦、本社に帰りますか。


――《転移》――




―2―


 本社の前に降り立つ。さあ、帰ってきたぞー。


「ラン様ですわぁ」

 俺が本社に入ろうとしたタイミングでフルールが鍛冶場から出てきた。何故か、犬頭のフルールは呆れ顔だ。


「今生の別れになるような話をして神国に行ったと思ったら、ちょくちょく戻ってくるなんて呆れもしますわぁ」

 えーっと、いや、その、ね。別に戻って来ないなんて言ってないじゃん。


「それとラン様、頼まれていた変わった鉱石の装備品、出来てますわぁ。どうしますの?」

 変わった鉱石? あ、ああ! 千年結晶か! そういえば何か適当に作ってって頼んでいたよな。


『見せて貰っても良いか?』

 俺の天啓を受け、フルールが犬歯を覗かせながらニヤリと笑う。

「もちろんですわぁ」

 フルールの案内で鍛冶工房に入り、2階へと上がる。


「今からお昼にしようと思っていたところに帰ってくるんですから、困ったものですわぁ」

 お前、全然、困ってないよな。余裕そうだよな。


「これですわぁ」

 フルールが自慢気に取り出したのは、鞘に収められた1本の和刀と見事な意匠の施されたうっすらと青に輝く鎧だった。


 えーっと、とりあえず鑑定しておくか。


【鑑定に失敗しました】


【鑑定に失敗しました】


 両方失敗かよ! 中級鑑定の信頼度が激下がりです。


「ネームレスとレインアーマーですわぁ」

 刀がネームレスで鎧がレインアーマーか。名前の無い刀に、雨合羽みたいな名前の鎧か。

「鎧を作った時に余った結晶で預かった刀を補強したんですわぁ」

 ふむ。にしても刀か。刀かぁ。そりゃね、侍のクラスは取得しているけどさ、使うか? 何だか凄く強そうな感じではあるけれど、使うか? 武器はさ、正直、間に合っているんだよな。真紅妃にスターダストがあるんだもん。


「でも、ラン様。ラン様の姿では鎧が着られませんわぁ。どうするんですの?」

 いや、まぁ、ノアルジ状態の時に着るつもりだよ。赤竜の鱗衣があるから、これも必要無いと言えば必要無いのか?


 あ、そうだ。


 《換装》スキルを使い赤竜の鱗衣を取り出す。


『フルール、この鎧と赤竜の鱗衣を組み合わせることは可能か?』

 フルールが赤竜の鱗衣とレインアーマーを見比べる。

「可能ですわぁ」

 そうか。


『では、頼む』

 これでノアルジ状態の鎧が更に強化されるな。刀の方は受け取るだけ、受け取っておくか。


 後は……、ポンちゃんのところでご飯を食べて、食料をゲットして、アクアポンドを入れた封印の魔石を渡して……うん、そんな感じだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ