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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
526/999

6-64 面接面談入学

―1―


 仮設されたテントで宿泊施設の案内を受ける。どうやら、そこが今後の従者の宿泊施設にもなるようだ。となると、今日一日は従者用の施設で従者と一緒に宿泊するって感じになるのか。まぁ、当然というか、実際は従者用と部屋は別になるらしいんだけどね。


 学院に隣接するように立てられた宿泊施設まで歩き、教えられた部屋に宿泊することにした。本日限り、無料で宿泊出来るようだ。入り口近くに食堂があり、食事の時間になると好きに食べ物を選んで食べてもよいそうだ。バイキング形式だね。無料なのは有り難いけどさ、人目のある所で食事をするのは、なぁ。

「14型、明日は頼む」

「マスター、考えて、指示は明確にお願いします」

 はいはい、頼むからね。


 この宿泊施設と通りを挟んで向かいにある建物が来客用の宿泊施設らしい。明日はそこで面接って流れだな。13時って時間になっているのはゆっくりお昼ご飯を食べてから来て下さいね、って、ことだろうか。


 まぁ、俺は、この宿泊施設のバイキングを利用しないけどな!


 翌日になり、部屋に14型がやって来た。余り大きく扉を開けないで下さい、俺の姿を見られたらヤバいんだからな!


「マスター、ご準備をお願いします」

 はいはい。


――《分身》――


 《分身》スキルを使い分身体を作成する。ま、こうするしかないよな。面接が行われる施設が向かい側で助かったよ。この距離なら、ここから遠隔操作ができるからね。

「14型、着替えを」

 分身体の方で喋る。

「はい、イネスが用意したマスター用の服を使います」

 お前、第一王女を呼び捨てかよ……。14型さんは相変わらずですね。


 14型に手伝って貰い服を着替える。現在、着ているのは辺境伯の城で着ていた普段着に近い物だからな。そうは言っても上等な品なんだろうけどさ、さすがに外行きの服装じゃないからな。

 分身体は、消えた時に着ていたモノは、呼び出し直した時に着込んだままになるようだ。と言っても現在、俺が使っている一品モノの武器や防具を装備させる気にはならないしさ、まぁ、外交用の格好で充分だよな。


 さて、行きますか。


 14型を連れたって向かいの施設へと歩いて行く。俺自身は現在の部屋の扉に寄りかかり、人が入ってこないようにする。羽猫も俺と一緒に待機である。さあ、頑張るぜ。




―2―


 来客用の施設の中に入ると案内用の標識板が置かれていた。はいはい、こっちに進めってコトね。

 分身体を遠隔操作し、受付のお姉さんに挨拶をして2階へと上がる。2階に上がると、昨日の女教師が部屋の外に立って待っていた。

「おはようございます。あなたは、こちらの部屋になります」

 そのまま案内に従い個室に入る。


 部屋の中はほどほどの広さがあり、中央に四角いテーブルと椅子が置かれていた。

「どうぞ」

 進められるまま、椅子に座る。14型は俺の後ろに控える形だ。そして、俺の向かいの席に昨日の女教師が座った。

「昨日と少し雰囲気が違うように見えますが……」

「気のせいだろう」

 そうそう、気のせいだよ!


「そうです……か。まずは、お名前を聞いてよろしいですか?」

 まずは名前ですか。おいおい、本当に就職面接みたいだな。これだとさ、何だか、学校に入学するってよりも就職するって気分になってくるよ。

「それよりも、これを先に見るのです」

 14型が、女教師の言葉を遮り、何処からか封のされている手紙を取り出していた。なんの手紙だ?

 女教師が怪訝な顔をしながらも手紙を受け取り、封を切る。そして、中の手紙を読んでいく。読み進めていくうちに顔が青ざめていった。な、何が書かれているんだ?


「ノアルジーさま……ですね。この手紙の中には体が弱いため、週に一度しか学ぶことが難しいと書かれていますが、本当のことですか?」

 もしかして、辺境伯からの手紙か? 気が利くじゃないか! って、なんで、それを俺じゃなくて14型に託しているんだ……。

「ああ」

「分かりました。本来であれば、お断りする内容なのですが、この学院のトップのご命令には逆らえません」

 な、なんだろう。俺が権力を使ってねじ込んだみたいになっている!


「それと、分かるようであれば、ノアルジーさまのMPと属性をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「鑑定に失敗したのか?」

 俺が聞くと女教師は驚いた顔でこちらを見た。

「気付いて……いたのですか?」

 やはり、鑑定に失敗していたのか。

「ステータスプレートを見せればいいかな?」

 確か、分身体も黒だけど、ステータスプレートを持っていたよな。


 俺はステータスプレート(黒)を懐から取り出し、女教師に手渡す。

「貴族のご令嬢が、人前でそのような所から取り出すのは感心しません」

 何故か女教師に注意された。そ、そっかー。


 俺のステータスプレート(黒)を見た、女教師が驚きの声を上げる。

「こ、これは……本当ですか! いえ、疑う意味が無いのは分かっているのですが、このような値が……」

 そういえば、分身体の時ってMPとか、どうなっているんだろうな。


 ステータスプレート(黒)を見ると最大MPは1,056になっていた。おー、ちょうど半分か。ステータス補正も軒並み半分になっているな。それにクラス補正がないから、結構、微妙な感じだ。所詮、分身体ってコトか。

「ちなみに属性は?」

「水、金、風、闇だ」

 まぁ、それに俺自身の方だと火と木、光も入るんだけどね。

「4属性、全て制覇ですか……週1回でも、学院に入れようとした気持ち――分かります」

 ははは、凄かろう。


「え、ええ、ええ。こちらから歓迎したほどの人材です。え、ええ、そうですね」

 面接とも言えぬ面接が終わり、俺は合格になったようだ。


「学院に入る時は、こちらを付けて下さい」

 女教師から黒い宝石のついたブローチを受け取る。

「まずはステータスプレートの時と同じようにブラックオニキスに触れて所有者登録を行って下さい」

 ふむふむ、所有者登録っと。って、分身体で行っても大丈夫なのか? いや、そうだな、不安だから、所有者登録は戻ってから行おう。

「これを付けている方しか学院には入れません」

 ふむふむ。それをここで渡しちゃうのか。ここで盗まれたらヤバいんじゃないか? 俺が心配性なだけなのかなぁ。

2020年12月13日誤字修正

仮説されたテントで → 仮設されたテントで

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