表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
51/999

2-44 世界樹下層

-1-


 さぁて、ご飯も食べたし、黙々と進もう。


 もくもく、もくもく。


 もくもくと歩いているんですが、ちょーっとエンカウント率が低すぎやしませんかねぇ。

 ポイズンワームを倒してからまったく敵が出てこないんですけどー――ホント、どうなっているんだ。キャリア・ビーもアッヒルデにも会わないんですけどー。


 そして、そのまま歩いていると目の前に酷い光景が広がった。


 なんだコレ。


 目の前にあるのはぐちゃぐちゃになったり、切り刻まれたりした大量の『50センチくらいのサイズに肌色でナメクジのような姿をした魔獣』の死骸だった。

 肌色だし、ネバネバしているし、気持ち悪い口のような物もあるし、お腹が開いて吸盤みたいになっているし、ホント気持ち悪いです。

 そんな気持ち悪い魔獣が大量に死んでいた。線が死骸で埋まって見えなくなる位の量だ。

これ、10や20って数じゃないぞ。なんつう大量虐殺だ。


 多分、これがアッヒルデか……。あ、ああ、つまりヒルだったのか。よく見ると(よく見たくないけど)ヒルを大きくして気持ち悪くした感じです。きっもちわるいなー。

 アッヒルデの体からはしっかりと魔石が抜き取られているようだった。これだけの数があると取り漏れくらいはありそうだが、余りの気持ち悪さに探す気にはなれなかった。

 と、というか、このぐちゃぐちゃを乗り越えないと先に進めないのか……うわぁ、最悪。


 よ、よし、頑張ろう。


――<浮遊>――


 浮遊で自分の体を浮かせてすぃーっと進む。最近は熟練度も上がり浮遊のMP効率が大分良くなってきました。使い続けるのって大事だよねー。こういう時に汚れずに進めるもんねー。


 少し進むと中央が盛り上がっており、それを守るように沢山のアッヒルデの死体が重なっていた。中央の山は蓋が開いており、中に何かが納められていたように見える。……宝箱か。これだけのモンスターハウスだから、さぞや良い物があったんだろうか、それともがっかりな宝だったんだろうか。ここを抜けた冒険者に聞いてみたいモノだね。


 すぃーっと進んでいたら死骸の線の中にカタカナが混ざっているのが一瞬見えた。見えた瞬間には、そいつはこちらに覆い被さろうと飛びかかってきた。

 こっちの方が気付くのは一瞬早かったぜッ!


――<スパイラルチャージ>――


 鉄の槍が飛びかかってきた物体に突き刺さり螺旋を描き抉り取る。それは、そのまま動かなくなった――そいつは予想通りアッヒルデだった。

 倒し損ないか。一撃で倒せたもんね。

 アッヒルデの死骸の山を抜けたところで魔石を回収。素材は無いってことだしね。そして経験値とMSPを確認した。経験値は36、MSPは2か……って、2も貰えるのか。ここを抜けた人はどれだけMSPを稼いだことやら。


 さあ、気を取り直して進むか。




―2―


 平坦で変化も乏しいつまらない一本道をしばらく進むと空中にキャリア・ビーという線が見えてきた。おっし、変化歓迎である。


 と、よく見ると線は一本では無く、3本……いや、5本重なっていた。うおぉ、こいつがEランクの理由って数が多いからか!?

 とりあえず弓を構える。近寄られる前に何匹が倒しておかないと。


 一発目。狙っていたキャリア・ビーが下半身の重さに耐えきられなくて沈むかのようにふいと下がり矢を回避する。て、避けられた!? こちらの攻撃に気付いたのか、キャリア・ビー達が重い体をふらふらさせながら近寄ってくる。こぶし大サイズのスズメバチに似た魔獣だった。そして、その下半身には無数の卵が寄生されていた。

 卵を運んでいるというより、体にめり込むように卵を産み付けられてるって感じだ。き、気持ち悪いんですけど。あ、アレが食用なんだよね。た、確かに俺も食べたけどさ……食べたくなかったッ! 知りたくなかったッ!!


 卵に寄生された下半身が重いのか動作はゆっくりだ。それでもさっき鉄の矢を回避されたんだよなぁ。

 とりあえず連続で矢を放つ、放つ、放つ。何本かは回避されたが――後の回収が大変だなぁ。吹き抜けじゃなくて良かった――放った内の何本かは命中する。サイズが思ったほど大きくなかったし、上下にふらふら動くので当てにくい。くそっ、それでも鉄の矢が3本ほど当たったキャリア・ビーは動きを止め落下した。体力は少ないようだ。

 何本かは回避されたが、それでも更に2匹のキャリア・ビーを倒すことに成功する。残り2匹ッ! って、鉄の矢が切れたッ!

 こ、これは……ついに魔法の出番か。


――[ウォーターボール]――


 水の塊が浮かび上がる。まだアイスボールのように6個の塊を浮かべたりは出来ないが、これも熟練度上げだ。

 MPに気をつけながら水の塊を浮かせては飛ばす、浮かせては飛ばすを繰り返す。水の球の速度は余り早くないが、それが逆に良かったのかキャリア・ビーにしっかりと命中する。水の球に当たったキャリア・ビーは動きを止め地面に落下する。死んではいないが動くことも出来ないようだ。

 2匹共が落下したところで近づき鉄の槍を構える。


――<スパイラルチャージ>――


 スパイラルチャージ1撃では倒しきれなかったので、そのまま鉄の槍で突くとキャリア・ビーは動かなくなった。


――<スパイラルチャージ>――


 もう一匹もスパイラルチャージをぶちかまし、それでも死ななかったので鉄の槍で突き刺して殺した。


 ふぅ。楽勝、楽勝。どんな攻撃方法を持っていたか知らないが、近寄られる前に、攻撃される前に倒すッ! 安心、安全、確実な方法です。


 俺は卵のくっついた下半身を鉄のナイフで切り落とし、そのまま皮の背負い袋に突っ込む。ぐちゃぐちゃになって買い取り価格が下がったとしても、それはその時である。

 胴体にあった魔石も体を引き裂き取り出しておく。

 さて経験値とMSPは、と。経験値は40、MSPは3か。うーん、経験値が少なめだな。今のところ経験値はラージマイコニドが一番多いな。MSPはどれも3で同じか。


 と、ここでMSPが100を超えたことに気付く。現MSPは104か。よっし、弓技を取得しようッ!

 弓技にMSPを100振り分ける。


【<弓技>スキルが開花しました】

【<弓技>スキルの開花に伴い<チャージアロー>スキルが発生します。弓の使用頻度が熟練度として反映します】


 うお、槍技と同じように攻撃スキルと弓の熟練度が表示されるようになった。


 弓技:熟練度402 チャージアロー:熟練度0


 弓の熟練度が意外と低い……。結構使っている気がするんだけどなぁ。ま、まぁ弓にも攻撃手段が増えたのは嬉しいよねッ!

 と、早く飛んでいった鉄の矢を拾いに行かねば。


 落ちている鉄の矢を拾いながら歩いていると緩やかな上り坂にぶち当たった。その近くには竜の台座もあり、そこが中層の終点を示していた。中間地点か……。ということはここからが上層ってワケね。何処の誰かはわからないが先行していたであろう冒険者のおかげで殆ど戦いらしい戦いも無く上層到着だなぁ。

 上層に上がってみたらクィーン・ビーの巣も無かったりして。


 ま、ちょうど中間地点ですし、今日は帰ろう。里に着いたら換金と魔法具屋を覗く、だな。今日は魔法具屋に会話の出来る店員さんが居ると良いなぁ。


 そのまま竜の台座に触れる。すぐに竜の台座を中心に円を描くように光り輝き周りの景色が変わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ