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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略

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6-49 芋虫の人捜し

―1―


 地下世界(アンダースフィア)から外に出る。ワインの入った樽はそのままだな。おや? 俺が作った水は無くなっているな。まぁ、4日間も地下世界(アンダースフィア)に居たんだ、消えもするか。蒸発とか、まぁ、色々、そう色々だ。


 本社から外に出て周囲を見回す。何かが変わったようには見えない。植物はそのままだ。


 あー、でも家畜とかはヤバいのかな? そういえば、この世界で畜産を見た覚えがないな。もしかして、女神の休息日の関係で、畜産が発展し難い世界なのかもしれないなぁ。


 植物は無事だから、そっち方面ばかりが発展する、と。猫馬車や竜馬車の竜や猫は、その都度、迷宮に連れて行っているのかな。でも、そうなるとサイズが大きいから迷宮に入れないってなった時が困るよな。うーむ。それとも何か例外処置があるんだろうか。


 ホント、この世界は謎ばかりだ。


 それにしてもさ、暗殺者が来るなんてなぁ。一応、俺も用心していたんだけどさ。女神の休息日の間はスキルが使えないってのは、ホント、うっかりしていたよ。


 次の機会があれば、先に《剣の瞳》を使って、安全な人だけが迷宮に入って良し、って感じにするべきだな、うん。そうすれば、ある程度は判別がつくかもしれないし、魔人族が混ざっているとか、そういう危険も回避が出来るしね。


 ……って、うん?


 ちょっと待て、ちょっと待て。


 も、も、もしかして、地上に出る時に《剣の瞳》を使えば良かったのか? 入り口を封鎖しておいて、チェックが終わった人しか外に出られないようにすれば、判別できたんじゃないか?


 ……がーん、だよ。


 女神の休息日が終わったってコトに気を取られすぎていたよッ!


 ま、まぁ、《剣の瞳》は、この世に災いをもたらす者とそうじゃない者を判別するだけのスキルだからさ、別に俺に対して悪意があるかどうかを判別するスキルってワケじゃないし、無駄に終わったかもしれないからさ――そうだよ、その可能性だってあるもんな、うん。仕方ない、仕方ない。


 ……もっと注意深くなるべきだよな。




―2―


 女神の休息日が終わってから一週間が経とうとしていた。


 俺が昼ご飯を食べようと本社の食堂に向かうと、そこには、タダ飯を喰らっているキョウのおっちゃんの姿があった。タダで食べる飯は美味しかろう。


『キョウ殿』

 俺が天啓を飛ばすと、キョウのおっちゃんがこちらに振り返った。ナイスタイミングなんだぜー。

「ランの旦那、美味しくいただいているんだぜ」

 はいはい、そうだね。キョウのおっちゃんよ、無精髭が伸びて胡散臭いおっさんみたいになってるぜ。


『少し相談があるのだが、よろしいか?』

 俺の天啓を受け、キョウのおっちゃんの目つきが変わる。

「内密な話か……分かったんだぜ」

 キョウのおっちゃんの食事が終わるのを待ち、奥の部屋に案内する。


――《剣の瞳》――


 キョウのおっちゃんが椅子に座った所で周囲を確認する。キョウのおっちゃんは相変わらず黄色だ。

『周囲に人は居ない』

「ああ、こちらでも確かめたんだぜ」

 へぇ、さすがはキョウのおっちゃん、抜け目ない。俺の《剣の瞳》と同じようなスキルを使ったのかな。


『八常侍から暗殺者が送られてきて、困っているのだ。どうにかならないだろうか』

 俺が天啓を飛ばすと、キョウのおっちゃんが吹き出した。

「そ、そんな話になっているとは、お、驚きなんだぜ」

 いやいや、ホント、困ってるんだぜ。


「ランの旦那、申し訳ないんだぜ。いくら、俺がゼンラ帝の近い位置に居ても八常侍と渡り合えるほどの権力も、力も持ってないんだぜ」

 むぅ。キョウのおっちゃんてば、意外と弱い立場なのか。そういえば、キョウのおっちゃんの貴族街にある屋敷も小さかったもんな。となると、ゼンラ帝に近い分、苦労も多いだろうなぁ。って、そうじゃなくて、だ。


『どうするのが一番なんだろうか?』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんが腕を組み、考え込む。


「帝都を離れるのも一つの手だと思うんだぜ」

 帝都を離れる、か。うーん。

「ほとぼりが冷めるまで、八常侍が飽きるまで帝都を離れて……そうなんだぜ。ランの旦那と関わりの深い北のホーシアなんてオススメだと思うんだぜ」

 なるほど、ホーシアか。でもさ、あっちって凄い暑いじゃん。俺、暑いの苦手なんだよなぁ。となると迷宮都市か? って、迷宮都市も暑いし、暑い方面ばかりだな! まぁ、迷宮都市はカラッとした暑さ、ホーシアはじめじめとした暑さって違いはあるけどさ。


 にしても、八常侍が飽きるまでって随分と曖昧な感じだよな。キョウのおっちゃんでも、そう言うしかないくらいに、対応が難しいってコトなんだろうな。


 うーん。どうしような。


 まぁ、もうちょっと考えてみるか。




―3―


 それは俺が蟻退治を終えて本社に帰ってきた時のことだった。


 女神の休息日を終えても蟻が復活して美味しいです。毎日でも楽しめる蟻退治。絶滅しないのが不思議です。


「オーナー、大変、大変じゃんよー」

 犬頭のスカイ君が慌てている。どうした、どうした。またか、またなんだな。また、何かあったんだな?


 俺はすぐにスカイの方へと飛ぶ。そして、そのままスカイの背後へと回り込む。

「あれ? チャンプが消えた? なんで?」

 錯覚だ。ふっふっふ、俺の移動はさらに磨きがかかり、《隠形》スキルと組み合わせることで相手の目の前から消えたように動けるのだ。

『後ろだ』

 俺が天啓を飛ばすと、スカイが驚いたように振り返った。

「オーナー、驚かせないで欲しいよー、息が止まるかと思ったじゃん」

 そうか、そうか。どうだ、凄かろう。


『で、何の用だ?』

 俺の天啓に息を整えたスカイ君が頷く。

「オーナー、これを見て欲しいんだよ」

 スカイ君がクエストの書かれた紙を広げる。


 緊急クエスト

 人捜し

 芋虫魔獣の姿をしている冒険者、ランの捜索

 見つけた方は迷宮都市リ・カインの王城まで連れてきて欲しい。


 クエスト保証金:無し

 報酬:327,680(金貨1枚)

 獲得GP:320



 うん、俺の捜索? な、なんじゃ、こりゃー! しかも、かなり美味しそうなクエストじゃんッ!


 えーっと、コレ、俺が受けたらダメですかねー?

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