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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
1  プロローグ
5/999

1-5 結

―1―


 ホーム葉っぱに戻ってきた。


 あの後、スキルモノリスは突然崩れ去った。飛翔のスキルツリーは再取得出来ないってことですか。

 部屋の中は他に何も無く、その場に留まっていても仕方ないので戻ってきたというわけです。登りは何日もかかったのに帰りは一瞬だった。ある程度落下したら糸をくっつけるを繰り返し一瞬で帰ってこれたのだ。


 ちなみに葉っぱを鑑定してみた結果、ここが『世界樹』だと言うことがわかった。どうりで超巨大な樹なワケですよ。もしかして例の神話的世界なんでしょうか。


【手製の世界樹の弓】

【世界樹から作られた弓。本来は水と木の属性を持っているが加工が悪く、その力は失われている】


【世界樹の葉の欠片】

【ある程度までならステータスプレートに記録された身体状況を参考として治療し、失われたMPも回復する】


【手製の鞄(S)】

【ジャイアントクロウラーの糸から作られた小さな鞄。本来は高い工芸価値を持つが加工が悪く、その価値は失われている】


【世界樹の矢】

【世界樹から切り出された矢。本来はあらゆるモノを貫く加護を持つが加工が悪く、その力は失われている】


 持ち物を調べた結果がコレです。もうね、加工が悪い、加工が悪いってうるさいっての。で、思ったんですが、どーもこの鑑定、ある程度の決まった単語、フレーズから自動的に文章を作っているぽいです。手製の品にも対応しているしね。上級鑑定になれば攻撃力とかもわかるのかなぁ。


 手に入れたスキルツリーは使うことが出来ませんでした。多分、LV0なのが関係していると思うんですよねぇ。LVの横にあるのが何で増えるかわからないけれど、アレが増えて1にならないと使えないんだと思う。何で、こっちは熟練度じゃないんだろうか……?


 というわけでホーム葉っぱに戻ってきたワケですが。次の目標は再度のうろの中、探索です。ちょっと考えがあるのです。コレ、自分が思ったとおりなら、うろの中の探索も楽勝な気がします。




―2―


 うろの中は……予想どおりでした。

 地面や壁の至る所から白い線が延びてスイッチとか針とか槍とか表示されているの。もうね、どんだけ罠だらけなんだよってくらい表示されてます。鑑定で調べられるモノには名前が表示されるのを逆手に取ったんですぜ。ホント、鑑定チート乙。


 罠を避けながら進んでいく。その間、モンスターに会うことはありませんでした。多分、前回の青蝙蝠はトラップの音に反応したんじゃないかなぁ。


 ある程度、進むと床に四角い穴が開いており、そこから文字が流れてきた。右下の視界に文字が表示される。


「むふー、不味いです。でも頑張る」


 あ、コレ、洋画とかの字幕みたい。って穴の下に誰か居るのか? その声を字幕として拾ったのかな?

 少し考え、思い切って《念話》スキルを使ってみることにする。


『だ、誰かいるのか?』


 少し間があり、返事が返ってきた。

「な? 頭の中に声が? だ、誰ですか?」

 お、通じた。ふむ、念話ってテレパシーみたいな感じなのかな。

『すまない、事情により声が出せないため、《念話》スキルを使わせてもらっている』

「あ、はい、そうなんですね。って、もしかして、この落とし穴の上に居るんですか?」

『ああ』

 うーん、字幕だと相手の性別がわかんないなぁ。言葉の感じだと女の子ぽいけど、これで筋肉ムキムキのおっさんだったら……どうしよう。

「むふーっ! あ、あの、あの、もし良かったら助けてもらえないでしょうか。もう長いことこの落とし穴の中で暮らしておりまして……助けてくださいっ!」

 落とし穴の中で生活? いやいや、この人、よく生き延びているな……。

『助けるのはかまわない。ただし条件がある』

「じょ、条件ですか!? あ、あのここまで来ると言うことであれば、あなたもそれなりの冒険者でしょうし、お金とかではないと思いますが……ある程度なら魔法の品とかをギルドに預けているので差し上げられます」

『いや、もっと簡単なコトだ。自分の姿を見ても驚かないで欲しい、というのといきなり襲いかかってこないで欲しいってことだ』

 魔法の品とか、ギルドとか、すっごい気になるんだけどね。

「むふー。わ、わかりました。た、助けていただけるなら」

『わかった。では糸を垂らすので、それに掴まって欲しい』

 穴に糸を垂らす。

「掴まりましたー」

 出した糸を短くしていき引き上げる。


 現れたのは女の子だった。背の高さは今の自分より少し大きいくらい、140か150㎝くらいかな。雪のように白い肌に、青く染められた皮鎧と小さな青い外套を着込んだ、銀の長い髪を持った少女だった。特徴的なのは木の枝のようにとがった耳だった。少女はこちらを見て一瞬びっくりし、何かに納得したのか静かになった。って、この耳って、もしかしてエルフ娘ですか!? 異世界ですか。うわああ、ちょ、本物ですか。


 と、とりあえずエルフ娘を鑑定してみた。


【名前:シロネ・エヴァーグリーン・スイロウ】

【種族:半森人族】


 う、情報が少ない……。というか森人族ってエルフだよねぇ。


「あ、あのー、降ろしていただけないでしょうか」

 あ、エルフ娘を引っ張り上げて持ち上げたままだった。魔法糸を解除する。

「むふー。助かりました。いやぁ、驚かないでと言った意味がわかりました。星獣様でしたか」

『星獣?』

「あー、ご存じありませんか。私たち人は知恵を持った獣や魔獣などを星獣様と呼んでいるんです。大体が迷宮の奥で宝物を守護していたり、ある特定の部族や村を守護してくれてたりするんですが、こう普通に動かれている方には初めて会います。もしかしてこの世界樹の守護星獣様だったりしますか?」

『違います』

 俺みたいな存在って、この世界だと割と多いのか!?


「あら、そうですか。とっと、すいません、まだ名乗ってませんでしたね。私はシロネ、シロネ・スイロウと言います」

 俺は、どう名乗るか少し悩み、答えた。

『一応、自分の名前は氷嵐の主らしい』


 それが俺とシロネの初邂逅だった。

15年4月22日修正

知恵を持った獣や魔獣などを星獣と → 知恵を持った獣や魔獣などを星獣様と


15年4月24日

誤字修正


16年1月22日サブタイトル変更

分岐点1 → 結

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