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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
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6-29 謎の芋虫騎士

―1―


「マスター、お帰りなさいませ」

 本社前に戻ると14型が待っていた。はいはい、ただいま。


『14型、これをフルールに渡してくれ』

 俺はとりあえず14型に錆びた刀と千年結晶を渡す。槍の方はすでに頼んでいるから、他に作って欲しい物も無いしね。何を作るかはフルールに任せよう。

「了解したのです」

 任せたのです。


 じゃ、俺は社員食堂でご飯を食べて、そのまま寝ますか。明日は砂漠の途中から再開だな。明日にはオアシスに到着しそうだし、明後日には砂漠の探索も開始出来そうだ。急がないと駄目な予定が何も無いってのはいいね、自由にこの世界を見て回れる。




―2―


――[アクアポンド]――


 今日も今日とて水を作るのです。にしても、なんで、この魔法は二重に発動しないのかなぁ。うーむ、この世界の法則が分からない。

 ま、砂漠に向かいますか。


 俺は頭の上に乗った羽猫とともに本社を出る。羽猫は今日もついてくるつもりか。《暗視》スキルが手に入ったから、羽猫の力も要らなくなったんだけどな。ま、いいか。無茶なことをして怪我だけはするなよ。


――《転移》――


 《転移》スキルを使って砂漠に降り立つ。さすがに昨日の骨が復活しているってコトは無いか。


 では、どんどん飛んでいきましょう。暑いからね。サクサクッとオアシスに着きたいからね。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを何度か繰り返していると、やがて砂漠のオアシスが見えてきた。《飛翔》スキルもさ、効果時間が無ければ、もっと早く、それこそ昨日のうちにでもオアシスに到着出来ただろうになぁ。休憩を挟むから、結局、砂竜船とそれほど変わらない時間がかかっているじゃん。やっぱりさ、このスキルって戦闘用って感じだよなぁ。


 ……普通に砂竜船を借りてオアシスに向かった方が楽だったんじゃないか? いやいや、まさか、そんな。そんな、まさか。


 まずはオアシスの外で《転移チェック》をして、と。チェックは砂漠の途中で行った7を使えばいいか。


――《転移チェック7》――


 これで、良しっと。もう日が落ちるから、今日は帰ろうかな。砂漠が凍り始めているしね。


 うーむ。


 一応、オアシスの中を覗くだけ、覗いてみようか。


 オアシスに近寄ると、入り口で数人の蜥蜴人が集まり何やら揉めていた。夜も遅いのに、何をやっているんだ? 揉め事に巻き込まれる前に帰ろうかな。


「だから、ヤツらの対応は横暴だヨ」

「しかし、揉め事はダメだヨ」

「返して貰うべきネ」


 何だ、何だ?


 いや、ホント、絡まれる前に帰ろう。


「あ、あそこに魔獣が! 魔獣が侵入してきてるヨ!」

 その言葉とともに蜥蜴人の集団は蜘蛛の子を散らすようにわぁっと居なくなった。えーっと、何だ、何だったんだ?

 まぁた、俺が魔獣に間違えられたとか、そういうオチか。ヤレヤレだよ。よく分からないけど、帰ろう。


――《転移》――




―3―


――[アクアポンド]――


 翌朝、いつものように水を作る。うーん、そろそろさ、そろそろ新しい槍が完成してもいいんじゃないかなぁ。おかしいよね。日数がかかりすぎているよね。


 真銀の槍の時はここまで日数がかかってなかったと思うんだけど、おかしいよね。


 フルール、俺の槍の作成を忘れているんじゃないか? 他の物を優先して作っているんじゃないか?


 うーむ。


 うーん。


 明日まで待ってみて、それでも完成してないようなら催促しよう。そうしよう。と、今日はオアシスで情報収集だな。


――《転移》――


 本社の外に出て、羽猫とともにオアシスの近くへと降り立つ。さあて、中に入りますか。今日は魔獣だーって逃げられないといいなぁ。ま、まぁ、昨日は夜遅かったからね、暗がりで見間違えたんだろう、そうだろう。普通なら、こんな完全武装した魔獣が居るわけ無いって気付くはずだもん。


 しかし、オアシスの中は静まりかえっていた。


 あれ?


 ゴーストタウン?


 も、も、も、もしかして、昨日の人たちは幽霊だったのか?


 いやいや、おかしいだろ。


 しばらく無人のオアシスを歩き回っていると、一つの建物からよぼよぼの蜥蜴人が現れた。おー、第1村人発見。


『すまぬ、よろしいか?』

 俺が天啓を飛ばすと、よぼよぼの蜥蜴人が驚いたようにこちらを見た。


「おー、おー、以前、姫さまと一緒におられた芋虫騎士様ですナ」

 えーっと、なんだ、それ。

「覚えていますゾ、いますゾ」

 そ、そうか。


『他の住人の姿が見えないようだが?』

 俺の天啓に蜥蜴人のお爺ちゃんがため息を吐いた。

「若い衆は迷宮都市に向かいましたナ」

 へぇ。それで人が居ないのか。ま、いいや。


『自分は八大迷宮『二つの塔』を探している。もし、何かの情報を持っているなら教えて欲しい』

 せっかくの友好的な第1村人だ。聞くだけ聞いてみよう。


「そうですナ……」

 お、何か知ってそう。そこで蜥蜴人のお爺ちゃんは何かを閃いたかのように大きく口を開けた。


「芋虫騎士様、お願いがありますヨ」

 む。

「姫さまたちと魔人族を撃退した、その腕を見込んでの頼みですナ」

 むむ。

「迷宮都市に向かった若い衆を助けて欲しいですヨ」

 むむむ。


『見返りは?』

「二つの塔の情報ですナ」

 やはり、そう来たか。


『助けると言っても、内容次第だ』

 そうそう、迷宮都市の住人を皆殺しにして下さいとか頼まれたら、もちろんノーだしさ、まずは内容を聞いてからだよ。

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