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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
486/999

6-26 何かが起きた

―1―


 竜馬車に乗り、14型とともに芋虫姿で本社へと戻ってきた。いやぁ、ホント、大変だったよ。


 なんと言ってもね、時間がギリギリだったのがヤバかった。帰りの竜馬車に乗ったところで《変身》スキルの効果時間が切れたからな。女の子が馬車に入ったと思ったら、出てきた時には巨大な芋虫になっていた。どんなトリックだよ、って話だよな。


 まぁ、アレですよ。


 いくら《変身》したノアルジ状態が女の子ぽい外見だからといって、格好まで、そうしたくはないなってコトですよ。はぁ、こんな事は、もう二度とやらないからな。

 今回はキョウのおっちゃんに騙されたようなもんだからな。次は無いんだからね!


 にしても、だ。


 ゼンラ帝は、ただの子どもだったなぁ。着ているモノは上品で、高そうで、何重にも重ねた厚着で、重そうで、それでただの少年だった。

 何も分からないのか、ただ、こちらを見てニコニコと笑っている、そんな、ただの少年だった。

 とても帝国を治めている一番のお偉いさんだとは思えなかったな。


 まぁ、俺はさ、何を言われてもニコニコ、ニヤニヤ、デヘデヘと笑っているだけで会話なんてしていないから、外見の印象だけどさ。


 キョウのおっちゃんは帰る間際に「奴らを見た目で判断しない方がいいんだぜ」って言っていたけどさ、八常侍なんて、ただの贅沢をしているデブたちだよなぁ。

 帝都ってさ、食料がさ、食べる物がさ、種類が少なくて、土地が痩せているから美味しくも無いんだろ? 何のに奴らは沢山の美味いモノを食べて、高そうな酒を飲んで、騒いで、綺麗どころを呼んで、もうね、それだけで許せん、って感じですよ。


 あーいうのを見ると、帝国って長くないのかなぁって思っちゃうね。帝都の周辺にもさ、俺が見ていないだけで治めている属国が沢山あるんだろ? その頂点がアレだぜ。デブだぜ。不快なデブだぜ。百歩譲ってデブは良しとしよう、でもさ、贅沢して、横暴なのはなぁ。


 ま、考えても仕方ない。今回はただの宴会で、何かを言われたわけでも、こちらから頼んだわけでも無い。次に何かあったら考えよう。




―2―


 俺と14型が竜馬車から降りた瞬間だった。


 俺の背後に赤い点が灯る。へ? 《危険感知》スキルが発動した?


――《スイッチ1》――


 亜空間から金剛鞭を取り出し、サイドアーム・ナラカに持たせ、そのまま赤い点を潰すように振り払う。金剛鞭に何かが当たった感触。


 誰だ? 何が飛んできた?


――《剣の瞳》――


 周囲に波を飛ばす。すると俺の背後に赤い人影が映った。魔人族か? いや、なんで、こんな場所で?


 俺が振り返ると赤い人影が居るであろう場所から線が伸びている。そこに隠れているのか? 線もさ、見えている範囲しか伸びないから、そこが不便だよな。と、線の先を鑑定するか。


【名前:ルー・テイ】

【種族:普人族】


 普人族? 普人族なのに赤いのか……。

 って、もしかすると暗殺者とか、そういう感じなのか? いや、でもさ、暗殺者なら《隠行》のスキルを持っているだろうから、《剣の瞳》で感知出来ないんじゃないか? いやいや、でもさ、線が伸びている先には何も見えない――普通の芝生ぽい感じになっている本社の中庭だもんな。やはり、《隠行》スキルか。ま、考えるよりも、逃げられないように捕まえる方が先か。


『14型、そこだ』

 俺が指示した方へと14型が走る。


 そして、何も無い空間から1人の黒ずくめの男を掴み上げた。いや、何も無いというか、男の姿が急に見えるようになったというか、今まで存在が視界から消えていたのが、ふっと現れたというか――やはり《隠行》スキルなんだろうか。


「マスター、これはどうしますか?」

 どうしますかって、困ったなぁ。でも、尋問しないとダメだよな? うーん。


「お前が、この商会のオーナーだな。噂通りの巨大な芋虫の姿……ククク」

 黒ずくめの男はそう言うが早いか手に持った短剣を胸に突き立てていた。あ、自殺した? 14型さん、何をぼうっと見ているの? って、死なすかよ。


――[キュアライト]――


 14型が胸から短剣を引き抜き、それに合わせて傷が癒えていく。

『14型、生きているか?』

 俺が天啓を飛ばすと14型が頷いた。よーし、死んでないな。でも、気絶はしているか。まぁ、後は本社の方々に任せますか。


 暗殺者を担いだ14型とともに本社の中に入る。


「ひぇ、ら、ラン様?」

 見知らぬ男を担いだ14型を見て、梟顔のメイシンが目を大きく見開き驚く。


『ちょっと、そこでな、賊を捕まえた。誰か対応出来る者を呼んで欲しい』

 俺の天啓を受け、メイシンが何度も頷く。


 しかしまぁ、帰ってすぐに命を狙われるとか、びっくりするなぁ。赤い点が灯ったってコトは俺の命に関わるようなモノが飛んできていたってコトだもんな。まぁ、後で投げられたであろう武器も探して貰うか。


 ま、今日のところは、もうゆっくり眠りたい。って、そうだ。結局、帝城での宴会の料理にはまったく箸を付けていなかったから、何も食べていないや。

 ポンちゃんに何か作って貰って、それを食べてから寝よう。


 何だか、疲れたなぁ。

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