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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
454/999

5-148 決戦の準備

―1―


 傷心のまま、換金所に向かい、そのままクニエさんにドリアードなどの素材を渡す。はーい、何か適当にたのんます。

 そして、食堂の裏口に向かい、中に入って、いつものようにマッサージチェアのような、俺の指定席に座る。うーん、この体型だと、こういう椅子じゃないと無理なんだよなぁ。


「オーナー、今日は早いな」

 14型を後ろに控えさせ、座ったまま瞑想を続けているとポンちゃんがやって来た。

「今日は、もうご飯にするかよ?」

 うーん、まだご飯って感じじゃないしなぁ。


「わーったよ。何か軽い物を作ってくるよ」

 そう言い残して、ポンちゃんが食堂に消えていった。あ、すいません。


 そのまましばらく待っているとフルールがやって来た。

「ランさまですわぁ」

 はいはい、そうだね。で、君はこんな時間に何をしに来たのかね。


 フルールが当たり前のように自分の席に座る。ポンちゃんはさっき俺のオヤツを造りに行ったから、当分、来ないと思うぜ。

 と、そうだ。フルールにも頼みがあったんだ。明日は、多分、『名も無き王の墳墓』のボスに挑戦するからね。


『フルール』

「はい、ですわぁ」

 犬頭のフルールが欠伸をかみ殺しながら返事をする。

『明日は、大きな戦いになると思うのだが、武器の手入れをして欲しい』

 そうなんだよな。ホワイトさんに散々、武器の手入れをしろって言われていたのにさ、ここ最近やってなかったよなぁ。


「は?」

 フルールが首を傾げる。

「マスター?」

 14型が後ろから、横向きに俺の顔をのぞき込み、何を言っているんだって表情を作る。

「ええ、ええ。私のマスターが、気付いていないような鈍いマスターではないと思いますので聞かなかったことにしますが、何を言いましたか?」

 うん? 14型にしては遠回りな。どういうコト?

「毎朝、お手持ちの武具が綺麗になっているのに気付かないとか、そんな間抜けなマスターでは無いと思うのですが、違いますか?」

 えーっと、えーっと。

『あ、ああ』

「フルールは、ちゃんとやってますわぁ。自分が作った物くらい、最後まで面倒を見ますわぁ」

 えーっと、つまりコレは、アレか。俺が戻った時は、こっそりと、ちゃんと手入れをしてくれていたのか。な、なるほど。それに気付かない、俺は、うん。14型に言われても仕方ないか、これは。


「そうなのです。マスターが、この家に戻ってきた時は『わざわざ』魔法の袋に入れず、外に出して保管しているのは、そこの犬に手入れをさせろという指示なのです。それをご自身が把握されていないなんて、そんなことがあるはずが無いのです」

 はいはい、そうですよ。自宅を保管場所にしているから、外に出していただけだったんだけどさ、そう捉えられていたのか。うーむ、うーん。


『フルール、いつもすまない』

 俺の天啓を受けて、フルールが犬頭の口の端を上げ、鋭い犬歯を見せながら笑う。

「当然ですわぁ」

 はいはい、そうだね。そう言えば、最近は、武具の作成にもお金を要求してくることもなくなったし、俺の知らない所で色々動いているのかなぁ。何というか、その辺、14型やユエが上手くやってくれているのかもしれんなぁ。

 いやぁ、我が家の運営のことなのに、俺、何にも把握してないんだけど。これ、ユエや14型にさ、簡単に乗っ取られそうじゃね? 少し危機感を覚えたのだった。だった。って、まぁ、こいつらが裏切るとは思えないし、任せておけば大丈夫か。




―2―


――[アクアポンド]――


 日課の池を作って、と。


 さて、今日の夕方には『名も無き王の墳墓』を攻略しちゃいますか。今すぐ行ってもいいんだけどさ、あの営業時間ってのが、よく分からないが、18:00からってなっているなら、その時間に合わせた方がいいだろうしな。


 お一人でのご来店をお待ちしておりますって書いてあったけどさ、10階層も一人で行った方がいいのかなぁ。14型と一緒に行ってみて、それから考えるってのも手か? 14型はロボットだからさ、パーティ扱いされない可能性もあるし……うーむ。


「にゃあ?」

 俺が考え込んでいると羽猫が一声鳴いた。そう言えば、お前も居たな。今は完全に俺の頭装備になっているけどさ、激しい戦闘になると、なぁ。まぁ、羽猫は10階層の親玉と戦っている時は、部屋の隅っこで待機させるか。


 と、後は挑戦するための準備だな。


 弓は……要らないか。まぁ、でもさ、魔法発動のために水天一碧の弓だけは背負っておくか。はぁ、何というか水属性の付いた腕輪みたいなのが欲しいなぁ。せっかく空いている真ん中の手があるんだから、そこに腕輪を付けるのも有りだよね。魔法発動の為だけに弓を持つとか邪魔でしょうがない。


 武器は真銀の槍と真紅妃で充分か。一応、魔法のウェストポーチXLに金剛鞭を忍ばせてっと。防具は、俺の体だと鎧みたいなのは装備出来ないから、夜のクロークと女神セラの白竜輪しか選択肢がないし。ああ、今、履いている、サイズが自由に変わるフェザーブーツもあったか。この緑の長靴も真紅妃みたいに魔石を喰わせているけどさ、進化するのかな。まぁ、今後に期待ってコトで。


 日数的に《変身》スキルは使えないけど、大丈夫かな? ま、まぁ、いざとなったら《限界突破(リミットブレイク)》のスキルもあるし、うん、大丈夫、大丈夫。まぁ、出来れば、いや、かなり使いたくないけどさ。死ぬよりはマシだしね。


 それに迷宮の魔獣と戦った感じでは普通に戦えているからなぁ。他の2つの迷宮で戦ったボスのコトを考えると《変身》スキルまでは要らない気がするな。


 うん、日数は待たずに、当初の予定通り、今日の夜、挑戦しよう。もう決めたからね。こういうのは予定を崩すと、気持ちが乗らなくなって、うまく行かないことの方が多いし、決めたことは変えない方向で行こう。


 魔法を使ってくるような魔獣だった場合でもウォーターミラーの魔法があるし――まぁ、出来ればMP回復のポーションくらいは欲しいけどさ、手に入らないもんなぁ。用意できない物は仕方ない。


 よし、これで準備完了だな。


 後は夕方まで待ちますか!

次回『バーン死す』こうご期待!

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