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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
445/999

5-139 名も無き王の墳墓8階層

―1―


 14型とともに『名も無き王の墳墓』に入る。さあ、今日は8階層からだぜ。


「芋虫冒険者……と、仲間か?」

 兵士さんの言葉を受け、14型がスカートの裾を掴んだ優雅なお辞儀をする。やあ、兵士さん。14型ですよ。って、14型、よく、そんな凶悪な篭手を付けたままお辞儀が出来るな。コレもメイドスキルのなせる技だと言うのか。ポンコツのくせに。


『通っても良いか?』

「ああ、通るといい」

 兵士さんが横に避けてくれる。じゃ、行きますか。


 そのまま奥へと進む。さあ、1階層の台座だね。って、まだ円が光っていないな。誰か転送してすぐなんだろうか。仕方ない、バーンがやっていたのを真似してみるかな。


 俺はステータスプレート(金)を台座の上にかざしてみる。


 ……。


 しかし、何も起こらなかった。うーん、何も起こらないな。やはり、黒のステータスプレートじゃないと駄目なのか? それとも何か特別な方法があるんだろうか? ま、何にせよ、待つしかないか。


 14型、羽猫の3人で静かに待っていると円が光り始めた。はい、チャージ完了ですね。じゃ、転送しますか。


 台座に描かれた騎士鎧の紋章に触れる。すると3つの画像が浮かび上がった。ま、行くのは8階層だな。そのまま8階層を選択すると、台座の周囲に描かれた円から光が立ち上がった。


 そして、周囲の景色が変わり、光が消えた時には、俺たちは8階層へと転送されていた。はい、到着っと。さあ、8階層を攻略しますかね――って、ちょっと待った。


 ここから戻ってすぐの7階層に宝箱があったよな? もしかして復活しているんじゃないか? そうだよ、1階層は入る度に宝箱が復活していたもんな。コレ、凄い発見なんじゃね?


 7階層への階段に戻り、そのまま上っていく。と、相変わらず階段を上るのはキツいなぁ。と、そんな俺の動きを見かねたのか、14型が俺の体を持ち上げる。そして、そのまま階段を上がっていく。いや、何だかすいません。いやまぁ、楽だけどさ、これ、凄く人には見られたくない状態だよなぁ。というかだね、こういうことが出来るなら世界の壁の時にもやって欲しかったなぁ。


 7階層に上がる。うん、円形の高台の小屋の中だな。しっかりと上に上がる縄ばしごも見える。


――《浮遊》――


 《浮遊》スキルを使い、小屋の2階に上がる。


 ……。


 そこには何も無かった。へ? 本当に何も無い。昨日あったはずの空の木箱もなければ、俺が倒した腐った巨人の死体もなかった。何だ、コレ? まるで狐につままれたみたいな気分になるんだけど……。


 うーん、ずーっと、そうじゃないかなぁって予想していたんだけどさ、もしかして、迷宮が、この色の付いた霧から魔獣や宝箱を作っているんじゃないか? 答えは出ないけどさ、そうとしか思えないんだよな。そうなると俺も、この魔素から作られたのか? う、うーん、考えたくないな。そうした魔獣に俺の意識が乗り移ったとか、いやいや、でも、そうなると星獣って仕組みが良くわかんないな。


 ま、まぁ、この八大迷宮を攻略していけば、答えが出るかもしれない、か。




―2―


 8階層に戻る。さあ、どっちに進もうかな。何というか、ここも6階層と同じで、だだっ広いんだよなぁ。階段から直進してさ、運良く台座を見つけていなかったら、迷いに迷って発狂していたかもしれない感じだよ。……まぁ、無難に階段から直進して進んでいくか。


 台座を抜けさらに墓地を進む。コレ、ホント、墓標だよな。剣や槍、色々な武器に石碑……。この武器さ、抜いたら消えてしまうのが残念だよな。大量の武器ゲットだぜ、とはいかないもんなぁ。


 俺たちが歩いていると、1つの石碑の手前から手が現れた。何だ、何だ?


 硬い地面から、まるで人が生まれるかのように、手が、頭が、体が、足が、生まれる。な、魔獣?


 生まれた人型の石がこちらへと襲いかかって来る。手を鞭のようにしならせ、叩き付けてくる。ちっ、どうする、どうする?


 俺が行動するよりも早く、14型が動く。相手の鞭のような手を右手で受け、そのまま左手の篭手を、その内へと叩き付ける。14型の動きに合わせ篭手に取り付けられた凶悪な2本の牙がスライドする。牙が爆音を上げ、目の前の人型の石像を打ち砕く。砕け、飛び散る石の欠片たち。フルール、なんつうもんを作ったんだ。14型の馬鹿力が使うと、こんなにも凶悪になるんだな。


「マスター」

 はい、何かね。

「囲まれました」

 へ? いや、でも別に魔獣って線は見えていないぞ? 俺にはコレがあるから、囲まれたら一発で分かるはず……って、これは?


 周囲の石碑、武器の前から石の人が生まれていく。突如、俺の視界に、周囲に、無数の魔獣と言った線が生まれていく。生まれた石の人は刺さった武器を握り、引き抜く。この刺さっている武器って、墓標じゃなくてお前たちの武器だったのか? いや、それよりもなんで14型は気付いたんだ? いやいや、それどころじゃないか。何匹居る? 10や20ではきかないぞ。あー、もう。


『14型』

 俺は14型から真銀の槍を受け取る。


――[アイスウェポン]――


 真銀の槍が氷に覆われていく。


 俺は、サイドアーム・アマラに持たせた真紅妃を、サイドアーム・ナラカに持たせた氷に覆われた真銀の槍を構える。


『突破するぞ』

 俺の天啓に14型が頷く。


 今日の俺には真紅妃があるからな。


 今日の俺は最強だぜ!

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