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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
443/999

5-137 黒のゆくえ

―1―


 8階層の台座に描かれた騎士鎧の紋章に手を触れる。それとともに3つの風景が浮かび上がる。俺は1階層の風景を選択する。さ、今日はもう帰るからね。


 にしても今日の戦利品は謎の小瓶と、腐敗した巨人とサンドワームの魔石が2個か。何というか歩き回った割には、って感じだよなぁ。魔石は真紅妃のご飯として消えてしまうし、結局、手元に残るのは、この謎の小瓶だけか。真紅妃と真銀の槍がある今は、武器が手に入っても微妙だけどさ、でも、どうせ手に入るなら、小瓶とかよりは武器とか防具の方が浪漫があっていいよなぁ。


 ホント、微妙!


 光が収まり、気付くと、そこは1階層だった。はいはい、帰ってきましたよ。


「ちっ、魔獣モドキかよ」

 と、そこには何故かバーンたちのパーティが居た。バーンに、弓を持った人に、侍風の男に、魔法使いの少女に、盗賊風の少女、それと治癒術士かな? って、この時間から探索かよ。うーん、もしかしてこの『名も無き王の墳墓』って夕方から夜に探索するのが定番なのか? むむ、誰かに理由を聞きたい所だけど……。ま、今度、冒険者ギルドで聞いてみるか。


「ちっ。下水の芋虫、早く、そこをどけろ」

 あ、すいません。バーンの言葉に、俺はそそくさと円の外へ出る。


「いやあ、すまんなぁ」

 バーンのパーティの1人、陣羽織を羽織った侍風の男が俺に謝る。いやいや、こちらこそ、ぼーとしていてすいません。


「ふん。ここまで来られるようになったのは褒めてやる。が! 所詮、有象無象だ。構う必要は無いぞ」

 バーンが、その長髪を掻き上げる。あ、褒めてくれるんですね。もう、バーン君はツンデレだなぁ。


 バーンが懐からステータスプレートを取り出し、台座の上にかざす。すると床に描かれた円が光り始めた。へぇ、それで強制的に動かすことが出来るのか。って、ちょっと待て、ちょっと待て、バーン、お前のステータスプレート、なんで、黒いんだ? 何だ、その黒いステータスプレートは。


 そのままバーンが台座に手をかざし、バーンたちのパーティが光の中に消えた。あ、ああー。お、俺の見間違いじゃ無いよな? 何で、バーンが黒いステータスプレートを持っているんだ? このまま追いかけて聞いてみるか? いや、でもさ、バーンがどの階層に向かったか分からないし、くそぅ。今度、出会ったら必ず確認するぞ。

 俺が持っていたモノ以外に黒いステータスプレートがあるのか、それとも、俺の持っていた黒いステータスプレートが巡り巡ってバーンの元に行ったのか……。うーむ、でもさ、もし後者だった場合は面倒なコトになるよなぁ。今更、俺が所有者を主張しても返して貰えるとは思えないし、バーンがどうやって手に入れたかも分からないし、あー、もやもやする。




―2―


――《転移》――


 《転移》スキルを使い、もやもやした気持ちのまま自宅へと戻る。


 まぁ、考えても答えなんて出ないし、ご飯にしよう。ごはん、ごはんだぜー。


 いつものように裏口から入り、自分専用のマッサージチェアのような椅子に座る。さあ、今日の晩ご飯は何かな。


「マスター、お帰りなさいませ」

 と、そこで背後から14型の声が聞こえた。ひっ。不意打ちで背後から声を出すなよ。びっくりするじゃないか。


「マスターからお預かりしていた真紅妃様です」

 14型から真紅妃を受け取る。真紅妃は、色は赤だが、卵の殻のような材質のモノに覆われていた。うーん、まるで脱皮前みたいな状態だな。とりあえず魔石を食べさせるか。食べさせるであっているよな?


 今日手に入れた腐敗した巨人の魔石を魔法のリュックから取り出し、真紅妃に触れさせる。魔石を触れさせた部分から、赤い殻が砕けていく。そして、真紅妃が、そのまま魔石を吸収していく。次はサンドワームの魔石かな。


 サンドワームの魔石を真紅妃に触れさせる。すると真紅妃を覆っていた赤い殻が完全に剥がれ落ち中から新品同様の真紅妃が現れた。おー、ぴちぴちだね。いや、槍にぴちぴちって表現をするのはおかしいか。ふむ、サンドワームの魔石は、結構、レアだったのかな。一気に殻が落ちたもんな。まぁ、何にせよ、コレで、また真紅妃が活躍できそうだ。今度からは召喚を使いすぎないように気をつけないとな。まぁ、使う度に魔石を食わせていたら良いんだろうけどさ。多分、しょぼい魔石だと召喚の消費分をまかなえないんだろうなぁ。


「あら、ちょうど良いとこにラン様ですわぁ」

 と、そこでフルールがやって来た。お前も晩ご飯か。


 フルールが手に持っている謎の物体を俺に押しつけてくる。えーっと、何コレ。逆立った毛のついた半円形の物体だ。

「頼まれていた防具ですわぁ」

 へ? いや、あの、何コレ。

「かぶるんですわぁ」

 フルールが俺の元に近づき、頭の上から羽猫を持ち上げる。

「にゃ?」

 そして、俺の頭の上に、先程の謎の物体をかぶせた。


「兜ですわぁ」

 いや、あの、俺、そんなモノを作れと言った覚え、無いんですけど。それに何だよ、コレ、俺は毛虫か? それとも世紀末なモヒカン様か? いやいや、こんな防具、嫌なんですけど。どれだけ優れた防具でも嫌です、ノーサンキューです。


『フルール』

「なんですの?」


『作り直しだッ!』

 当然です。さすがにコレは酷い。お前、俺を馬鹿にしているだろ。いや、だから、えーって顔で俺を見るんじゃ無い。はぁ、何だか、どっと疲れたよ。

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