2-37 換金
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とりあえず銀色狼の経験値とMSPを確認っと。経験値は144、MSPは4だった。随分と数値が増えてきたモノです。これ銀色狼を無双出来るようになったら美味しいだろうなぁ。
とりあえずMSPは頑張って100まで貯めて弓技の取得を目指そう。
さあ、里に帰るか。
浮遊を使い銀色狼の死体を浮かせ運んでいく。使い道が余りないと思っていた浮遊が意外と便利です。と言っても、まだまだ熟練度がしょっぱいので浮かせてある程度運んでは休憩、MP回復を、と地味に面倒な作業を繰り返すしか無いんですけどね。まぁ、熟練度稼ぎにもなるし、そのうちどんどん効率が良くなっていくでしょう。
まずは換金所だ。
『すまない、換金を頼みたいのだが』
ハロー、いつものお姉さんに声をかける。
「はい、分かりました。何になりますでしょうか?」
『これになるのだが……』
俺は浮遊を使い銀色狼の死体を換金所の中へ入れる。
「こ、これは、シルバーウルフですね。ちなみにクエストは受けられていますか?」
うん? 何のことだろう。
「シルバーウルフは特別討伐魔獣になりますので、クエストを受けられていない方でもGPが貰えます。こちらで待っていますので、最初に冒険者ギルドに行くことをオススメします」
ほへー。そうなのか。貰える物は是非もらっておこう。ということで冒険者ギルドだな。向かいの建物だし、近いのは良いな。
ということで冒険者ギルド。
本日は建物の中に何人かの冒険者の方々が居た。うーん、そういえば他の冒険者の方々と余り接点が無いなぁ。ウーラさんともアレ以来、顔を合わさないしね。てっきりウーラさんはこの里の常駐冒険者だと思っていたんだけど、他の用事のついでだったらしい。それでもこの里の冒険者には兄貴って慕われているんだと。まぁ、面倒見が非常に良さそうな人だもんね、慕われるか。たまたまウーラさんが居たタイミングでこの里に来た俺は運が良かったのかな。
「虫、こんな時間にどした?」
今日はちびっ娘か。まぁ、眼帯のおっさんよりはマシか。
『シルバーウルフを倒したのだが』
その言葉を聞いて周りの冒険者が騒ぎ出す。マジかよとか、俺らとは造りが違うんだからとか元魔獣がとか色々字幕が見える。そこ、隠れて聞こえないように喋っているつもりだろうが、俺には字幕で表示されるから全てお見通しなんだよ!
「周りうるさい。シルバーウルフ程度で驚くな。だから本当の意味で駆け出しを卒業出来ない」
うーん、狩り場の様子から予想していたことだけど、この里って余りランクが高い冒険者が多くないのかなぁ。EやFランク中心の冒険者が多いよね、多分。掲示板にかかっているクエストもEやFランク中心だったもんなぁ。
ランクだってさ、ホーンドラットのクエストでもGPは1入るんだから、100日かければ誰でもEランク程度にはなれる計算だもんね。勝手な予想だけど、そういった日数をかけてランクを上げている冒険者が多いのかもしれないね。
「ステータスプレート」
はいはい、提出ね。俺はステータスプレート(銅)をちびっ娘に渡す。ちびっ娘はいつものようにステータスプレート(銅)に手をかざす。
「確認した。特別報酬としてGP10を付与する」
うほ。10も貰えるの? これ10匹倒したらFランクじゃん。
「後、虫。GPは魔法具との交換も出来る。ランクアップは遅れるが見てみるか?」
お、そういうことも出来るの? 是非見たい。
「分かった。これがリスト」
ちびっ娘が文字の書かれた木片を取り出す。
リストに表示されていたのは……。
1000000GP 魔法のリュックL(20) 1回限定
100000GP ゴールデンアクス
10000GP 魔法のカバンM(10) 1回限定
1000GP スキル極意書
100GP ステータスプレート(銀) 1回限定
10GP 火炎壺
「交換出来る魔法具は各冒険者ギルドによって違う。うちはコレ」
って、一番上の必要GPの数が……。最初、桁を書き間違えているんじゃないかと二度見してしまった。100万って――現実的に稼げる数値なのか?
「魔法のリュックL(20)だけは何処の冒険者ギルドでも同じ」
ああ、商品リストのトップは変わらない訳ね。ゴールデンアクスとか武器として凄いのか換金物として凄いのか判断がつかないなぁ。ステータスプレート(銀)って銅と何が違うんだろうか。景品になるくらいだから何か違うんだろうけどさ。
『説明を聞いても?』
ちびっ娘はあからさまに嫌そうな顔をする。多分、面倒臭いんだろうな。
「リュック、沢山入る。Lサイズのアイテムも入るから便利。ゴールデンアクス、強い。カバン、Mサイズまで入るから便利。極意書、魔法やスキルの熟練度が使うだけで上がる。ステータスプレート(銀)、サブクラス、サブスキルのツリーが取得出来る。火炎壺、世界樹で有利に使える使い切りの火属性の攻撃魔法具」
なるほど。Lサイズがどの程度かわからないけど竜の死体でも入るぜ、位だったなら……完全チートアイテムだな。もしそうなら100万GPも頷ける。というか、それくらいであって欲しい。まぁ、斧は要らないか。ステータスプレート(銀)は是非欲しいなぁ。後は奥の手として火炎壺を持つのも良さそうだ。GPが余るくらいまで強くなったら極意書に代えまくって鍛えるみたいなのも有りだよね。
……欲しいものばかりだけど、桁がおかしいよね。結局、現状では無理な物ばかりだ。
『すまぬ、参考になった』
現状では無理だからね。無理だからねッ!
「うむ。さっさとシルバーウルフを換金すると良い」
俺はちびっ娘にお礼を言って冒険者ギルドを後にした。
さあ、換金だ。
すぐ向かいの建物、換金所に戻る。
『改めて換金をお願いしたいのだが』
「はい、分かりました」
お姉さんが他の職員の方を呼び、銀色狼を運んでいく。暫くカウンターで待っているとお姉さん達が戻ってきた。
「はい査定が終わりました。魔石を取り出されていませんでしたが、それもこちらで換金してよろしいですか?」
俺は頷く。
シルバーウルフ:20480円(銀貨4枚)
シルバーウルフの魔石:40960円(小金貨1枚)
総計:61440円
小金貨1枚と銀貨4枚である。うおぉ、懐かしの小金貨。というか、簡単に儲かりすぎる気がするなぁ。冒険者がこんなに簡単に儲かると他の商売をやっちる人たちに申し訳なくなるな。まぁ、その分、命をかけているんだけどね。ふ、冒険者以外の職業なんて馬鹿らしくてやってられないぜー。
お姉さんに聞いてみると銀色狼は牙、毛皮、肉が素材になるそうな。今回は丸ごと1匹での計算だけど個別でも買い取ってくれるとのこと。その中でも一番高いのは毛皮ってことなんで、今後、倒しすぎて嵩張るようなら毛皮だけ持って帰ってくるのも有りか。
これで服と矢筒と矢と槍を買おう。レッドアイの槍の加工代金はまだまだ払えそうにないなぁ。
買い物が終わって明日は……また世界樹かなぁ。ちょっと銀色狼は厳しすぎる。もっと強くなってからだなぁ。