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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
429/999

5-124 食事の時間

―1―


 そうだ。せっかくだから、兵士さんに熊の置物と蛙の置物を渡してみるか。これで通して貰えるようならラッキーだけど、どうかなぁ。

 魔法のリュックから蛙の置物を取り出し、兵士さんに渡す。どうよ、どうよ。

「これは?」

 俺は兵士の周囲に置かれた石像たちを見る。小さなモノ、少しだけ大きめなモノ、鼠や犬などの見たことのある石像たち。これの仲間だよな。どうよ、どうよ。


『これならどうだろうか?』

 さらに熊の置物を取り出し、渡す。

「なるほど!」

 兵士さんが苦笑している。あー、やっぱり駄目だったか。いやいや、俺もさ、もしかしたらって思っただけでさ、別にさー、これで通れるとか思ってないしー。……思ってないんだからね!


「いやぁ、この石像を見て、結構、同じようなのを持ってきてくれる人は多いんだ。そのうち、この階層が石像で埋まるかもしれない」

 はーい、そうですねー。だろうと思ったよ、思ったよッ! やはり6階層で手に入る何かが必要になるのか。


 兵士さんにお別れして、3人で名も無き王の墳墓から外に出る。おー、外は、もう夕方か。


「お腹空いたでス」

 蜥蜴人のシトリさんが神官服の上からお腹をさすっている。そりゃあ、一日中、迷宮に篭もっていたワケだしな。


「シトリも私も種族的に余り食事を必要としませんが、それでもお腹が空きましたねー」

 クロアさんがシトリさんを見て笑っている。


 そうだな、俺もお腹が空いたかなぁ。この城で何か食べられるかな。


 にしても、ネザーブレイドの袋の中を見るなって、何だったんだろうなぁ。ホント、謎だよ。




―2―


「ランなのじゃー」

 そうなのじゃー。城に入った所で姫さまたちと出会う。姫さまに赤騎士と青騎士か。ジョアンの姿が見えないけど、どうしたんだろう?


「おう、ランか。どうしたんだ?」

 姫さまの後ろに控えていた赤騎士がこちらへと声を掛けてくる。迷宮帰りさー。

『名も無き王の墳墓から戻った所だ。それで何かご飯を食べようと思って、な』

 俺の天啓に姫さまが腕を組み、うんうんと頷いている。そして、そのまま歩き出す。えーっと、ついてこいってコトかな。


「食事の用意があります。どうぞ、お連れのお二人も一緒に」

 青騎士がクロアとシトリに声を掛ける。二人が顔を見合わせ喜び合う。

「んんー。助かりますねー」

「嬉しいでス」

 さあ、今日のご飯はなんだろねー。


『ところでジョアンの姿が見えないようだが?』

 姫さまの後を追いながら、赤騎士に声をかける。

「ああ、ジョアンな」

 赤騎士がニヤリと笑う。

「彼は今、修行中です」

 青騎士さんが教えてくれる。修行ねぇ。


「ちょうど、今、聖騎士のトップって言えるような人がよ、この迷宮都市に来ているからな」

 ああ、あの人か。なるほどな。確かにジョアン的には大先輩となる聖騎士なんだろうし、今が強くなるチャンスか。

「自分たちはもうすぐ国に戻りますからね。ギリギリまで修行するつもりみたいですね」

 そうか、そろそろ神国に渡る時期が近いのか。


 皆で2階に上がり、いつもの食事部屋に入る。

「ご飯にするのじゃー!」

 姫さまの言葉に応えるようにか、それともタイミングが良かったのか、次々と料理が運ばれてくる。

 さ、では、皆でご飯にしますか。




―3―


 食事にする。


 えーっと、今日は肉系ばかりだなぁ。野菜とかは無いんですね。肉ばかり食べていると栄養が偏りそうだけどなぁ。


 もしゃもしゃ。


 ちょっと味付けが辛い。何だろう、凄い香辛料がきいている感じがする。ぴりりならぬ、びりりって感じだよな。


『そういえば、『名も無き王の墳墓』で聞いたのだが、赤騎士が……』

 俺の天啓の途中で赤騎士さんが頭を抱えて呻きだした。ど、どうしたの?


「あ、アネキの話か」

 ん?

「スーのお姉さんは、この迷宮都市では有名ですからね」

 青騎士さんが苦笑している。


「スーの姉は、騎士の枠を飛び出て冒険者をやっているのじゃ」

 へぇ、そうなんだ。コレってさ、多分、騎士のクラスって意味では無く、神国の騎士を辞めてって意味だよな。


「んんー。しかし、星獣様は神国のお姫さまとお知り合いだったんですねー。私の聞いた下水の芋虫の噂話も本当だったんですねー」

 ちょっと待て、ちょっと待った。俺の噂って何よ。どんな噂が流れているんだ?


 和やかな雰囲気のまま、食事の時間は流れていく。

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