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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
426/999

5-121 名も無き王の墳墓4階層

―1―


 クロアさん、シトリさん、俺の3人で来た道を戻る。いやぁ、ホント、何も起きなかったな。


 途切れた道の場所まで戻ってくる。さあ、どうしよう。とりあえず、まだ残っている糸を伝って2人には下に降りて貰うか。その後、俺が《飛翔》スキルで向こう側に飛ぶ、で、向こう側から魔法糸を下へ伸ばすって感じで行きますかッ!


『クロア殿、どうだろうか?』

 俺は先程の考えを2人に提案する。

「んんー。なるほどですねー。それがいいかもしれません。助かります」

「たす、助かりまス」

 クロアさんは普通に、シトリさんは、少し不安そうな声で応じてくれる。


「んんー。シトリは、こういう上り下りが苦手ですからねー。フォローしますよ」

「はいでス」

 じゃ、そういう感じでお願いします。


 2人が糸を下り始めたのを確認して、俺も《飛翔》スキルで飛ぶ。


――《飛翔》――


 途中、一度《浮遊》スキルによる休憩を入れて、再度《飛翔》スキルを発動させ、飛ぶ。何度も使用しているけれど、まだまだ長時間の使用は出来ないからなぁ。どうしても距離があると《浮遊》による休憩が必要になるね。まぁ、《浮遊》は《浮遊》でMPをどんどん消費するから、MPが少ない時には使えない力業だけどさ。


 そのまま途切れた道の向こう側に降り立つ。さあ、ここが、って、おい。


 俺の周囲にはシルバーウルフと書かれた線が無数に、さらに奥にはシルバーロアと書かれた線も見える。何だ? シルバーロアって初めて見る魔獣だぞ?


 全高1メートルはあろうかという銀色の体毛を持った大きな狼たちが暗闇から顔を出す。相変わらず大きいな。1、2、3……全部で14体か。うん、これは凄い数だぞ。この向こう岸側から下に魔法糸を飛ばして2人を引き上げるどころじゃないな。


 銀色に輝く狼たちが俺の前方周囲を取り囲み、逃がさないようにする為か、ぐるぐると動き始める。こちらは穴を背後にしているってのにさ。背水の陣かよッ!


 そして、俺の周囲を取り囲んだ銀色狼の奥から更に大きな大きな、人間など一飲みしてしまいそうな銀色に輝く狼が現れる。ここまで大きいと精霊か何かのようだな。これが、シルバーロアか。俺はすぐさま魔法のウェストポーチXLから真銀の槍を取り出す。


 シルバーロアが顔を上げ、大きな咆哮を上げる。


――[アイスウェポン]――


 咆哮と同時に周囲に居た銀色狼たちがこちらへと飛びかかってくる。俺の前方に横に、斜めに至る所に赤い線が走る。


――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――


 右手と左手に氷の壁を張り、飛んできた銀色狼を防ぐ。銀色狼は氷の壁に当たり、その勢いのまま吹き飛ぶ。あ、何匹が穴の下に落ちた。だ、大丈夫だよな?


――[アイスランス]――


 正面に飛んできた銀色狼を尖った氷の枝が貫いていく。さらに、その隙間を縫って銀色狼がこちらへと飛びかかってくる。


――《W百花繚乱》――


 左右に分かれた2つの槍から高速の突きが生まれ、飛んできた銀色狼を貫き、貫き、何度も貫き、真っ赤な華を咲かせていく。

 サイドアーム・ナラカとサイドアーム・アマラに持たせた真紅妃と氷に覆われた真銀の槍を振り払い、付着した血を飛ばす。さあ、どうだッ!




―2―


 残った銀色狼が唸り声を上げながら、後ろに下がっていく。そして、大きな、さらに大きく輝く銀色の狼がこちらへと、一歩、一歩、近づいてくる。


 俺の右斜め上から下にかけて赤い線が走る。そして、それを追うように鋭い右爪が走る。俺は左に動き、避ける。さらに左上から赤い線が走る。避けた俺を追いかけるようにシルバーロアの左爪が飛んでくる。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、シルバーロアの下をくぐり抜ける。そのまま背後から上に上昇する。


――《集中》――


 狙いをシルバーロアに集中する。


――《スピアバースト》――


 上空から真紅妃を下に向け、高速で落下する。真紅妃が赤い光に包まれシルバーロアの背に突き刺さる。その背から赤い光が走り、周囲の銀色狼たちを吹き飛ばす。あ、更に何匹か下に落ちたようだけど、大丈夫かな? だ、大丈夫だよな。ま、まぁ、この高さだ、落ちた衝撃で死んでいるかもしれないな、うん、そうそう。


 そのまま真紅妃を引き抜きシルバーロアの背から飛び降りる。シルバーロアが大きな巨体を揺らし転げ回る。うお、轢かれる、轢かれる。体が大きいと、それだけで脅威だな。

 シルバーロアはすぐに飛び起き、一歩、後ろにさがる。そして、そのまま顔を下げ、唸る。どうした、どうした、かかって来いよ!


 シルバーロアが咆哮を、周囲を振るわせる大きな咆哮を放つ。びりびりと俺の体が震え、そして動かなくなった。な、なんだ、体が痺れて動かない。あ、これ、やばい。危機を察知したのか、羽猫が俺の頭から飛び降りる。あ、ちゃっかりと逃げやがって!


 シルバーロアが、俺の体が動かなくなったのをゆっくりと確認し、その大きな口を開け、こちらへと飛びかかってくる。あー、これ、ヤバいヤツだ。これは危険だなー。


――《Wスパイラルチャージ》――


 真紅妃と真銀の槍が螺旋を描き、大きな口の内側から外へと貫いていく。シルバーロアが俺を飲み下そうと大きな口を開けたまま、そのまま動きを止める。はっはっは! 俺の体は動かないかもしれないけどさ、サイドアームは普通に動くんだよッ! サイドアームに持たせた槍で攻撃すれば、ほら、この通りってワケなんだぜー! って、あー、俺の体、シルバーロアのよだれでべちょべちょじゃん。


 さ、後は残りの銀色狼を退治してっと。ん? ま、まだ、体が動かないんですけど。こ、これ、もしかしてピンチですか? 巨大なシルバーロアの口中で、よだれと血に濡れながら、体が動くようになるまで待ち続ける。シルバーロアが俺に負けたことで恐怖したのか、シルバーウルフたちがこちらを襲ってくる気配はなかった。あ、危なかった。もしこの状況で沢山のシルバーウルフに襲われたら、ちょっとヤバかったかも。


 しばらくそのまま立ち続け、やっと体が動くようになった。真紅妃と真銀の槍をシルバーロアの口内から引き抜き、崩れ落ちてきた牙を避け、中から抜け出す。うわぁ、体がぐちょぐちょだよ。


――[クリーン]――


 ふぅ、覚えてて良かった、クリーンの魔法ッ!


 周囲には銀色狼の姿はないな。さ、2人の為に糸を出しますか。

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