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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
419/999

5-114 名も無き王の墳墓2階層

―1―


 『名も無き王の墳墓』に足を踏み入れる。さあて、今日は2階層を突破するぜ。もちろん、2階層の徘徊する魔獣、ネザーブレイドを倒して、な!


 迷宮に入ると、何故か、兵士さんが声を掛けてきた。

「お、おい、そこの。ちょっといいか?」

 あ、はい。何でしょ。

「昨日、この迷宮に入った冒険者たちが、まだ戻ってこない」

 へ? 昨日のって、あの小生意気な騎士、俺を食べようとしていた巨人の戦士、料理をしていた魔法使いさん、治癒術士、ちびっ子な探求士、巨大な弓を持った森人族のパーティ? いや、それしか考えられないよな。でも、昨日の今日だろ?


『迷宮内で一泊しているのでは?』

 だよね。迷宮が広くなれば、それも有りじゃん。

「うーん、だといいんだが。6階層までは、そんなに広くないんだ。だから、そちらを回る冒険者は、殆どが日帰り感覚で挑むんだよ。だから、ちょっと心配なんだ」

 あ、そうなんだ。


『分かった、気に留めておこう』

「頼んだ。俺は下に降りられるほど強くないんだ」

 ああ、分かったぜ。確かに頼まれたぜ! ま、欲を言えば何か報酬が欲しいけどさ、冒険者は助け合いだからな! 俺も異界の呼び声で助けて貰ったしね。広げよう冒険者の助け合いって、ね。


 では、その冒険者たちも気になるし、このままサクサクと急いで進みますか。


 兵士に別れの挨拶をし、4つ目の扉まで歩く。さあて、今日も魔獣が出るのかな。


 扉を開けると、そこには一匹のヴァインが居た。あ、ヴァインさん、こんにちは。そして、死ね! 真紅妃でヴァインの芯を貫く。一瞬にして、ヴァインは動くのを止めた。はい、楽勝っと。にしても、この扉の先ってさ、必ず魔獣が出るのかな? そうだと、ちょっと面倒だよね。雑魚だから、いいけどさ、いちいち倒したり、解体したりだと……うーん。


 と、そうだ。右の扉も開けよう。前回、宝箱があったからな。今回も何か手に入るかもしれないしね。


 ヴァインから魔石を取り出し、そのまま右の扉を開ける。右の扉の中には錆びた剣を持ったスケルトンが居た。あ、こんにちは。そして、死ね! 真紅妃でスケルトンの魔石を砕く。一瞬にして、スケルトンがバラバラになり、動くのを止めた。はい、楽勝っと。にしても、1匹だけとか、俺を舐めてるよね。せめて、この100倍は持ってこいってんだよー。


 さぁって、室内には……?


 今回も小さな木箱があった。この部屋は必ず宝箱があるのかな? となると、毎日、ここを開けに来れば、お金持ちに? いやまぁ、前回は売ってもお金になりそうにない短剣だったけどさ。まぁ、とにかく! まずは鑑定して罠を調べてみるかな。


【いしつぶて】


 あー、いしつぶて、か。うん、いしつぶて、だな。何だろう、この何かを思い出させるようなトラップは。まぁ、考えたら負けか。ま、石が飛んできても回避すればいいか。俺には《超知覚》のスキルがあるからね。飛んでくる石つぶて、なんて、スロウリィだよ、スロウリィだねッ!


 じゃ、開けますか! サイドアーム・ナラカを使い、木箱を開ける。開けた瞬間、中から小さな石ころが、恐ろしい勢いで飛び出してくる。俺の目には、それが、まるで静止したかのように、ゆっくりと、しっかりと見えていた。見てから、回避、余裕だぜッ!

 ススっと横に動き、石つぶてを回避する。余裕、余裕。


 しかし、何故か、俺の頭に石つぶてが当たる。痛ぇ。どうして、どうしてだ? しっかり回避したよな? 何で、俺の頭に石が、痛い、痛いじゃんかよ。これ、体液出てるんじゃないか? ひでぇ、ひでぇよぅ。


――[ヒールレイン]――


 癒やしの雨を降らせ、頭部分の傷を癒やす。で、中身は何かな? 俺に、これだけの傷を負わせたんだ、良い物だよな? な? えーっと、何だ、コレ?


 箱の中には小さな木の枝が入っていた。小さな木の枝? と、とりあえず鑑定だ。


【木の小杖】

【木属性の小杖。特別な力は持っていない】


 は? いやいや、特別な力は持っていないとか、わざわざ解説さんに言われてるぞ、コイツ。いや、でも木属性を持っているから、コレがあれば、この迷宮でも木の魔法が使えるのか。うーん、便利なのか、微妙なのか、鑑定で売値とかも分かればなぁ。

 とりあえず魔法のリュックに入れておくか。




―2―


 2階層へと降りていく。ちょっと、薄暗くなってきたな。さあ、出番だぞ、羽猫よ。


――《ライト》――


 羽猫が光り、階段を照らしていく。さあ、進むぜ。今回は倒すつもりだからね、明かりを付けて進むぜ。


 そして、大理石のような柱が並ぶ通路に出る。さあ、2階層だね。


 通路の奥からびたんびたん、といった何かを叩き付けるような音が聞こえる。音はどんどん、大きくなり、俺の目にもネザーブレイドと書かれた線が見えるようになった。さあ、やってきたな!


 現れたのは目の部分に薄汚れた包帯を巻き、手に細長い棒と袋を持った、手と足が異様に長く伸びた魔獣だった。現れたな、ネザーブレイドッ! って、アレ? 昨日見た時はシャムシールみたいな武器だったよな? 棍棒みたいなのに変わってる。うーん、イメチェン?


 俺の頭の上の羽猫が気になるのか、ネザーブレイドが羽猫を目掛けて飛びかかってくる。

「にゃ!」

 俺はススっと横へ回避する。俺には《超知覚》スキルがあるからね。お前の動きなんて、スロウリィだぜ、スロウリィ!


 俺の横を抜けたネザーブレイドが、近くの柱に飛びつき、こちらへと振り向く。


――《ウィンドボイス》――


「死ねばいいのに」

 俺の魔法に伴い、遠くに風の声がこだまする。


 ネザーブレイドが声のした方を振り向き、飛ぶ。ふふふ、ふぁふぁふぁ、単純なヤツよのぅ!


――《飛翔》――


 飛んだネザーブレイドを追いかけるように《飛翔》スキルを発動させる。さあ、喰らえッ!


――《スパイラルチャージ》――


 ネザーブレイドの後ろから赤と紫の螺旋を纏った真紅妃が迫り、そのまま貫く。ネザーブレイドが、その勢いに吹き飛び、柱に当たり、そのまま地面を転がる。が、すぐに態勢を立て直し、天井へと飛ぶ。が、頑丈だなぁ。それとも、これがSPが多いってコトなんだろうか? そう言えば、真紅妃で貫いたはずなのに、もう傷が見えないな。


 羽猫の力によって明るくなった迷宮内に、ふしゅー、ふしゅーとこちらを威嚇するような音が響く。

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