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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
406/999

5-101 試験の内容

―1―


 犬頭のスカイからステータスプレート(金)を返して貰う。えーっと、GPは幾つになっているのかなー?


 表示されているGPは56,689になっていた。おー、22,800ほど増えているじゃん。ゴブリンキングの討伐がどれくらいで、世界の壁から始まったクエストの分がどれくらいか分からないけど、一気に増えたなぁ。って、ちょっと待てよ……?


「で、チャンプ、どうするよー」

 スカイが馴れ馴れしく聞いてくる。いや、これ、うん。Cランクへの昇格に必要なGPは51,200だったよな。ああ、そうだよな! で、だ。スカイが言っているのは昇格のクエストを受けるかどうかってコトだよな。うーん、でもなぁ、昇格試験を受けるなら迷宮都市の方で受けたいんだよな。だってさ、こっちで昇格して、その後、向こうに行って、Cランクになったんで『名も無き王の墳墓』に挑ませて下さいって、頼んでも、怪しがられて断られる――そんな可能性もあるじゃん。向こうは、俺が帝都と迷宮都市を行き来しているとは思わないだろうしね。


『ちなみにCランクの昇格試験は何になるのだろうか?』

 スカイが腕を組む。

「えーっと、何だろう」

 おいおい。

「いやいや、今調べるからさ、ちょっと待って欲しいじゃん」

 ホント、スカイは適当だなぁ。こんな調子で西の冒険者ギルドを運営出来ていたのか? せっかくうちの商会に来たんだし、しかもさ、ギルドの建物も大きく広くなったんだし、もうちょっと真面目な人が補佐に入らないかなぁ。スカイ一人じゃなくてさ、うん。そうすると心強いよね。


「あった、あった!」

 スカイが何かの冊子をぺらぺらと捲り叫ぶ。うーん、Cランクになる人って少ないのかなぁ。

「Bランククエストの達成か、八峰山の竜退治みたいだねー。竜は何でもいいってさ」

 なるほど。ま、ここでは受けないんだけどね。にしても八峰山なんて場所があったんだな。この帝都から近いのかな?


『わかった』

「そうそう。で、どうする?」

『それでは、またな』

「いや、ちょっと、チャンプ、え? あれ?」


 ふむふむ。とりあえず迷宮都市に行きますか。向こうで昇格試験の内容を聞いてみて、無理そうならこっちで受けるってのも一つの手か。


 と言うことで迷宮都市、行きますか!


――《転移》――


 冒険者ギルドを出てすぐに《転移》スキルを発動させる。さあ、行こう。




―2―


 迷宮都市に降り立ち、そのまま、冒険者ギルドへ向かう。


「お帰りなさいませ、リ・カイン冒険者ギルドへ」

 と、今日は猫人族のお姉さんか。


「下水のランさま、本日のご用件は何でしょうか?」

 最近さ、受付の人たちも俺のコトを下水のランって呼ぶんだけど、ちょーっとイメージが悪いから止めて欲しいよなぁ。それと、今日は下水のクエストじゃないからね、ないからね!


『今日はCランクの昇格試験を受けに来た。内容を聞いても良いだろうか?』

 俺の言葉に猫人族のお姉さんが口ひげをぴくぴくと動かしながらも無理矢理笑顔を作る。

「下水のランさま、い、意味が分からないのですが」

 言葉通りの意味なんですけど……。そんなおかしいことを言ったかな?

「た、確か、こちらに来られた時はDランクでGPもまだまだ半分ほどだったように記憶しているのですが。確かに恐ろしい勢いでアシッドスライムを狩っていますけど……でも、いや、でも」

 何だか、猫人族のお姉さんがループし始めたぞ。と言うかだね、早くカウンターに案内して欲しいなぁ。


「おい、聞いたか?」

「ああ、下水の芋虫がCランクだと?」

「笑えない冗談だぜ」

「いや、でもCランクの昇格試験はあれだからな」

「アレは日数と距離がな……」


 ほらー。周りの冒険者が反応しちゃってるじゃん。周りに聞こえるように喋っちゃうとか2流だぜ。お客様の情報を漏らしたら駄目なんだぜ。


 無言でカウンターへと歩いて行く猫人族のお姉さんの後を追う。そのまま猫人族のお姉さんがカウンターの裏に回る。

「で、ではスタータスプレートを」

 はーい。俺は猫人族のお姉さんにステータスプレート(金)を渡す。そして受け取った猫人族のお姉さんが何かの水晶で情報を読み取っていく。ホント、これ、何をしているんだろうなぁ。

「ほ、本当にGPが貯まっています。いつの間に……いったい何をしたんです!」

 いや、普通に。あー、でもゴブリンキングを倒したのは俺だけど俺じゃないから、アレってどういう扱いになっているんだろうなぁ。ま、ちゃんと俺が倒したことになってGPが貰えているんだからOKってコトで。いや、待て。でもさ、報酬は貰ってないよな? うん、貰ってないじゃん。うーん、どうする? 言っちゃう? いや、でも、余計怪しまれるかなぁ。報酬って言っても、どうせ僅かのお金だろうし、GPが貰えただけで良しってことにしておくか、うーん。


「はぁ……。本当に下水のランさまは謎の人? 人ですよね?」

 何故、そこで聞き直す。

「では、これがCランクの昇格試験の内容になります」

 猫人族のお姉さんが一枚の紙を広げる。

「読みますね。一つはBランククエストの達成。これはパーティを組んでいる状態でも大丈夫です」

 ふむふむ。これは帝都と一緒だね。いや、でもさ、スカイはパーティを組んでいても大丈夫とか、そういう説明が抜けていたな。

「次は、これは――難易度的に難しいと言うよりも、そうですね、困難で日数のかかるものになります」

 ほうほう。帝都の八鋒山の竜退治とは方向性が違うぽいね。

「はい、この封のされた手紙を持って西の帝国の帝都にある冒険者ギルドまで向かうといった内容になります」

 へ?

「ここから帝都までは砂漠を越える必要も有り、早くても1,2ヶ月はかかる非常に困難な道のりとなります。人によっては、半年かかるでしょう。しかも、それだけの日数の間ですよ、この手紙を無くしたり、傷めてしまうと、その時点で失敗になるんですよ。さあ、どうしますか?」

 え、えーっと、これはアレだ。


 うん、アレだ。選択の余地がないよなぁ。


『帝都行きの昇格試験を受けよう』

 俺の天啓に猫人族のお姉さんが驚く。

「良いのですか? てっきり下水のランさまは、Bランククエストの方を挑戦されるかと思ったのですが……。こちらは日数がかかるクエストですよ? 何故か急いで昇格されようとしている下水のランさまには向かないと思うのですが」

 そ、そうだね。うーん、この反応。やっぱり《転移》スキルは内緒にした方がいいのかなぁ。何だか、バレたら便利に使われそうだ。


 ま、でも、これであっさりCランクになれそうだ。

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