表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
405/999

5-100 日々是好日

―1―


――[アクアポンド]――


 日課の水作りです。毎日、毎日、水を作るよ。どんどん作るよ。


 ……。


 さ、ご飯を食べに行くか。


 作った池のすぐ近くにある裏口から、関係者専用の部屋へと入り、自分専用の椅子に座る。俺の他に居るのは――フエさんか。

 フエさんは静かにご飯を食べている。フエさんはフルールの教育係ってコトでうちの商会に来てくれたんだよな。でもさ、余り会うことが無いからか、殆ど話をしたことがないんだよなぁ。

「ランさま、この商会に我が東の鍛冶ギルドを一口噛ませて貰い、ありがとうございます」

 しゃ、喋ったぁ。突然、喋った! お、おう。俺は、現状がどうなっているか分かんないけど、フエさんが参加したのもキョウのおっちゃんの口添えで俺は何もしていないけど、ま、まぁ、喜んでくれてるなら、いいかな、うん。

「手遅れになる前に参加出来て、首の皮一枚ですね」

 そ、そうか。それなら良かった。何が首の皮一枚か、分からないけど、良かった、良かった、うん。


「お! オーナーも来ていたのか。ご飯はもうちょっと待ってくれよ」

 ポンちゃんもやってくる。はーい、今日の朝ご飯、待ってまーす。


「あら、ランさまですわぁ」

 フルールもやってくる。と、その瞬間、食事をしていたフエさんが吹き出した。

「お、おい。フルール、なんでお前がここに」

 フルールが、吹き出したフエさんに手を振っている。

「大丈夫、大丈夫ですわぁ」

 フルールがひらひらと小馬鹿にしたように手を振っている。ホント、何だろう、フルールってば、ホント、イイ性格しているよなぁ。

「あの子らでも、任せられるようになってますわぁ」

「いや、だが、万が一が……」

「大丈夫、大丈夫。信じる心が大事ですわぁ」

 フルールが言うと信じられないんだよなぁ。信用って大事だよね。


「と、そうですわぁ。ランさま、今日こそは、この仮面を!」

 フルールが何処からか1つの仮面を取り出す。だから、なんで1番に作ったのが、そのスペイン忍者が付けてそうな仮面なんだよッ! 俺はコロネットやサークレットって言ったよな。


 何で、仮面から作っているんだよッ! そっちは店に並べろよ、売りに出せよ、なんで、そっちを俺に渡そうとするんだよ、おかしいじゃん。絶対におかしいじゃん。もうね、フルールの考えていることが分かりません。

『頼んだ、サークレットの方はどうなっている?』

 フルールが肩をすくめ、そのまま小さなため息を吐く。

「何だか、こうピピっと来る、閃きが降ってこんのですわぁ」

 あ、はい。ま、まぁ、創作って難しい所もあるよね、うん。


 ……。


 はぁ、コレは、この仮面を貰わないと先に進まない的な感じなんだろうか。まぁ、仮面を受け取って永久封印しておくか。それで満足したフルールがサークレットを作ってくれたら良しってことで、うん。


『フルール、仮面を』

 仕方なく、フルールから仮面を受け取る。はぁ、一応、鑑定しておくか……。


【白と黒の仮面】

【光と闇の属性を持ち、闇魔法を無効化する。何故か跳躍力も上昇する】


 光と闇の力が合わさり最強に見えるな、うん。で、闇の属性は無効化してくれるんだよな、でも光は? 何で光が加わったか分かんないけど、余り意味は無さそうだなぁ。と言うかだね、なんで跳躍力が上がるんだ? 解説さんも何故かとか言っちゃってるしさ、おかしくね、コレ? 絶対におかしいよね。

 はぁ、とりあえず、この呪われそうな仮面は魔法のリュックに入れときますか。コレはッ! コイツはッ! ほぼ! 永久封印ですッ!




―2―


 もしゃもしゃ。


 焼いたくさやに醤油という最高の組み合わせ、幸せだなぁ。コレ、大根おろしとかが欲しくなるよね。うん、うん。


 さてと、ご飯も食べたし、迷宮都市に戻りますか。今日も下水道かなぁ。いつの間にか、他の冒険者からは下水の芋虫なんて呼ばれているし、さ。あそこ小迷宮『下水道』だよな? 何で、『道』が消えて下水呼びなんだよ。というかだね、この帝都のチャンプ呼びも酷いと思うが、迷宮都市の下水呼びも酷くないか? じぇんじぇん、まともな二つ名が付かないんですけど、おかしいよね、絶対におかしいよね。


 俺が裏口から出ようとすると、先に扉が開いた。

「俺にもご飯をー」

 そこに居たのは犬頭のスカイだった。って、なんでスカイが裏口から来てるんだよ。こっちは関係者専用なんだぜ。表に回りなー。


「あ、チャンプじゃん……。あ、すいません、オーナーさま、すいませんっす」

 わざとらしく言い直したよ。まぁ、別にチャンプでも何でもいいけどさ。

「でさー、チャンプ、なんで冒険者ギルドに顔を見せてくれないんだよー。俺、言ったじゃん。GPの入れ忘れがあったから来て欲しいってさー」

 あー、そうだった。そうだった。すっかり忘れていたよ。まぁ、スカイのトコロに顔を見せなかったのは、ソコまで行くのが面倒だって言うのと、殆ど迷宮都市の冒険者ギルドで事足りているって理由だな!


「はぁ。仕方ないなー。俺、これから飯にしようかと思ったんだけどさー、チャンプに会ったしなー。先に済ませておくかぁ」

 犬頭のスカイがため息を吐いている。


「チャンプ、こっち、こっち」

 スカイの案内に従い、外へ出る。そのまま後をついていく。うん? 新しく作られた換金所の方? というか、うちの家、どんどん広がっていくなぁ。最近は俺が顔を知らない従業員も増えてきたし、もう把握が出来ない。


「西側の冒険者ギルドさ、もうここに移ってるからさー。もうここで手続き出来るよ」

 あ、そうなんだ。俺が迷宮都市に通っている間に、そんなことになっていたのかー。


 ……。


 そのまま換金所のとなりに作られた建物に入る。おー、スカイが元々居た西側の冒険者ギルドよりも広くて豪華な感じに見えるね。し、しかも2階建てじゃん。受け付けカウンターも広いし、隣が換金所だから、すぐに換金も出来るだろうから便利だし――これは流行る、絶対に流行るね!


「はい、チャンプ、ステータスプレートをお願い」

 犬頭のスカイがカウンターの裏に座る。お、おう。


 スカイにステータスプレート(金)を渡す。スカイがステータスプレート(金)に水晶玉のような物をなぞらせ、その後、首を傾げる。

「チャンプ、これ、おかしいんだけど」

 いや、おかしいって言われても、俺は原理を知らないから何がおかしいか分からないんだけど、どったの?


「なんかね、俺が把握していたよりもGPがすっごい増えてるの」

 へ?


「チャンプ、何か特別報酬が出るような魔獣でも倒した?」

 特別報酬? ……えーっと。あッ! もしかして、ゴブリンキングかッ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ