表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
398/999

5-94  騎士鎧と兜

―1―


――[クリーン]――

――[クリーン]――


 クリーンの魔法を使い周囲を綺麗にする。血みどろの惨劇になっているからね、仕方ないね。14型も牛の魔獣から魔石を取り出してくれている。魔石はいいよね、魔石は。でも欲しかったのは魔石では無く、異形の石だったんだけどね。


 14型が魔石とは別に牛が持っていた杖も持ってきてくれる。あ、これも戦利品だよね。使えるモノだと嬉しいんだけどなぁ。


【異形の黒枝】

【闇の魔法を強化する黒枝】


 これ、杖じゃなくて枝なんだ。確かに外見は似ているし、字面も似ているけどさ。枝かぁ。元はどれだけ大きな木だったんでしょうね。にしても闇魔法の強化か。現状、闇魔法は1個だけ覚えているけどさ。使えるか、これ?


 ……。


 ま、まぁ、貴重品かもしれないし、せっかくだから貰っていこう。魔法のウェストポーチXLに入れよう、そうしよう。


 さて、と。後は玉座の騎士兜だね。玉座の上に、生首のようにぽんと置かれているとさ、ホント、ホラーだよね。この騎士兜も鑑定しておくか。


【種族:デュラハン】


 へ? ちょっと待ったー。アイテムじゃなくて魔獣かよ。いや、でも線の表記は魔獣になっていなかったぞ? 擬態とか、そういう感じか? そういうこともあるのか!


 と、と、と、となれば、先制攻撃しかない! いやぁ、先に鑑定しておいて良かったぜ!


――[アイスストーム]――


 騎士兜を中心に氷の嵐が巻き起こる。氷の塊と嵐が室内に広がっていく。玉座が破壊され、騎士兜も嵐に揉まれていく。うおぉ、これ、俺まで巻き込まれそうだ。室内で使う魔法じゃなかったなぁ。今度からは注意しよう。


 羽猫が氷の嵐から逃げるように俺の頭から飛び降り、部屋の隅へと逃げる。ああ、巻き込まれないように逃げてな――って、俺もヤバイ。吸い込まれそうだッ!


 氷の嵐に飲み込まれないように14型とともに支え合い、踏ん張っていると、嵐の中から騎士兜がクルクルと回りながら飛びだしてきた。動いたかッ! って、こんな事ならアイスウォールで周囲を覆っておけば良かった。


 傷付いた騎士兜が扉の方へ、俺らを飛び越え、そのまま飛んで行く。飛んだ先には、先程見た騎士鎧が立っていた。

 騎士鎧が飛んできた兜を受け取り、脇に抱える。あ、鎧が来ちゃったのね。あー、うー、せっかく気付いたのに、先制アイスストームで倒しきれなかったのは失敗だったなぁ。




―2―


 視界に赤い線が走る。それを追うようにデュラハンの騎士剣が走る。


――《払い突き》――


 騎士剣を真銀の槍で受け流し、なが、流せない。そのまま騎士剣に押し潰される。ぐえっ。潰されたカエルみたいだ。って、俺は芋虫だけどさ、だけどさ。

 さらに俺を追いかけるように赤い点が迫る。


「マスター!」

 14型が走り、迫る騎士剣の突きを、その右拳で受ける。14型の右拳が、騎士剣を砕いていく。が、その途中で勢いが止まり、右拳が折れ曲がる。

「今です」

 おい、大丈夫かよ。さ、再生するんだよな? 俺は治せないぞ。


――[ヒールレイン]――


 癒やしの雨を降らし傷を癒やす。と、同時にッ!


――《魔法糸》――


 魔法糸を飛ばし、跳ね起きる。


――《スパイラルチャージ》――


 真紅妃が赤と紫の螺旋を描き騎士鎧を砕く。騎士鎧が砕け、バラバラになる――が、騎士兜は浮いたままだった。


 騎士兜が浮いた状態のまま、クルクルと回るとバラバラになった鎧が元に戻っていく。あー、くそ、兜の方が本体か。ま、まぁ、と、当然だよな。

『14型、下がれ』

「分かりました」

 14型が後ろへと下がる。


――《真紅妃召喚》――


 真紅妃が巨大な蜘蛛へと姿を変え、再生していく騎士鎧を押さえ込む。これでッ!


――[アシッドウェポン]――


 真銀の槍が酸の渦に覆われる。鎧だからね、酸が効くんじゃね的な安易な考えだけどさ、どうだろう?


――《百花繚乱》――


 そのまま空中に浮かんでいる騎士兜へと高速の突きを放つ。しかし、騎士兜はさらに高く浮き上がり、突きを躱す。って、浮いているだけじゃなくて、空中でも自由に動けるのかよッ!


 空中に浮かんだ騎士兜のバイザー部分が開き、中から無数の闇色の球が飛び出す。それと共に俺の視界に無数の赤い点が灯る。赤い点を回避するように俺が動くと、それを追うように赤い点が位置を変えた。ど、どういうことだ?

 全ての闇色の球が俺の周囲を回り、俺を追うように動いていく。俺が躱せば、それを追うように無数の闇色の球が動く。俺は動く闇色の球を回避しきれず次々と体に受けていく。そういうことかよッ!


――[ヒールレイン]――


 癒やしの雨を降らし、傷を負った側から癒やしていく。こ、これ、ヒールレインの魔法を覚えていなかったらヤバかったぞ。


 闇色の球が止む。が、すぐに騎士兜の奥から闇色の球が生み出されようとしていた。空中に浮かんでいる兜。しかも動きが結構速いからな。どうする、どうする?

 真紅妃の方を見ると押さえつけていた騎士鎧が少しずつ、真紅妃の足を持ち上げていた。ちょ、真紅妃でも抑えきれないのかよ。


『14型』

 俺の後方に控えていた14型からコンポジットボウと魔法の真銀の矢を受け取る。


――《集中》――


 集中し、コンポジットボウに魔法の真銀の矢を番える。


――《チェイスアロー》――


 コンポジットボウから魔法の真銀の矢が放たれる。騎士兜が矢を避けようと動くが、矢が軌道を変え、追いかける。騎士兜に魔法の真銀の矢が刺さり、そのまま地面へと落ちてくる。さすがの追尾性能! 覚えてて良かった弓スキルッ!


――《スパイラルチャージ》――


 落ちてきた騎士兜へと、真銀の槍が酸液を纏った螺旋を描き貫き穿つ。兜の中の魔石を打ち砕いた感触。ああ、そうか、こっちに魔石があったのか。それならさ、砕くにしても、せめて真紅妃で貫きたかったなぁ。

 俺が魔石を砕いたコトによって、押さえつけていた真紅妃の足をはねのけ、立ち上がろうとしていた騎士鎧が動きを止め、そのまま倒れ込む。地面にぶつかり、騎士鎧が大きな音を立ててバラバラになる。


 はぁ、倒したか。


 俺がデュラハンを倒したからか、隅っこで欠伸をしていた羽猫が、軽く伸びをして、こちらへと歩いてくる。そして、そのまま俺の頭の上に乗っかる。俺の頭はお前用の椅子じゃないんだけどなぁ。ホント、マイペースなヤツだよ。


 さ、これで終わりか。よし、せっかくだからデュラハンの鎧は持って帰るか。後でインゴットに加工して何かを作って貰いますかね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ