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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
395/999

5-91  見張りの塔

―1―


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、橋の上に上がる。俺を追いかけるように14型が橋の上に降り立つ。いや、何、その移動。ふわっと降りたよね、ふわっと。ま、まぁ、14型については考えたら負けかな、うん。


 せっかくだから左右の塔も探索しておくか。よし、まずは右かな。


 橋の先にある小さな分かれ道を右に進み、塔の中へと入る。物置にでもなっているのか、木箱が置かれているな。と外周を沿うように螺旋階段が――これ、ちょっとよろめいたら下に落ちて大惨事になるんじゃないか?


 ちなみに木箱の中はなんだろうな?


 俺が気にしたからか、14型が木箱を叩き壊す。中から黒ずんだ砂のようなモノがこぼれ落ちる。なんだ、コレ? 鑑定も反応しないし、というか、元から線が出ていなから鑑定が出来ない。中に入っていたモノが腐って風化したって感じなのかなぁ。ま、考えても仕方ない、上に上がってみますか。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い塔を駆け上がる。階段をちまちま上がるなんて無理だからね!

 しかし、上には何も無かった。無機質な塔の頂上には何もなく、外周の縁部分に何かを置くような出っ張りがあるだけだった。これ、何を置くんだ? あー、遠眼鏡とか? 見張り塔だもんね。


 ま、何も無さそうだし、降りるか。今度は逆の塔を探索してみますか。


 階段から飛び降りる。


――《浮遊》――


 地面に近づいたトコロで浮遊を使いゆっくりと着地する。俺が《浮遊》スキルを使い着地した横で、14型が、そのまま、ふわりと地面に降り立つ。いや、何それ。何かのスキル? まぁ、いい。次の塔だ。


 そのまま左の塔に入る。


 左の塔には、右の塔のような木箱などすら無く寂しいモノだった。外周部分にあったであろう階段も崩れ落ちて無くなっていた。うーん、上の方には階段跡が見えるな。元は下まであったんだろうかなぁ。これ、普通の人は上に上がれないよな。ま、《飛翔》スキルが使える俺には関係無いけどね!


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い左の見張り塔を駆け上がる。しかし、こちらも頂上部には何も無かった。せっかく上に上がったんだからさ、アイテムとか置いといて欲しいよね。

 こちらにも右の塔と同じように外周の縁部分に、何かを置くような出っ張りだけがあった。こっちの塔も兵隊が立って遠眼鏡で外を見張って居たのかなぁ。でも、こんな近距離で2ヶ所も見張り塔が必要か? しかも、ここって門の中だよな? それって意味があるのか? うーん、ま、考えても仕方ない。こちら側にも、何も無かったってコトで下に降りますか。


 こちらでも塔の上端から吹き抜けへと飛び降りる。


――《浮遊》――


 《浮遊》スキルを使い着地する。うーん、左右調べたけど、この塔は何も無しっと。仕方ない、正面を進みますか。




―2―


 正面の門から城の中へ入る。今日も2階から探索しますかね。2階にあがり、吹き抜けのある部屋へ。右の部屋は探索済みだから、左の部屋に行きますか。


 左の部屋に入ると、何も無かった。いや、本当に何も無いぞ。世界が白く、何も……いや、これは?


「マスター!」

 14型の声が、そして俺の背中に衝撃が走る。それとともに視界が戻る。俺の背後には14型が、そして、正面にローブを纏った牛が居た。はっ、ま、また精神攻撃を受けていたのか。


「マスターは、そちらでお待ちを」

 言葉を置き去りにし、14型が走る。そしてそのまま2本足で立つローブを着た牛の懐に入り、下から上に拳を振り上げた。牛の体が浮く。そして、そのまま炸裂した。

「終わったのです」

 14型が血飛沫を浴びながら振り返り、こちらへとスカートの裾を持った優雅な挨拶を返してくる。いや、服、汚れちゃいますよ。


――[クリーン]――


 14型の汚れを落とす。いやまぁ、何故かメイド服は汚れていなかったけどね。一応、気持ち的に綺麗にしてあげないとね。

「マスター、ありがとうございます」

 14型さんが有能だ。俺は、まだ夢でも見ているのだろうか。いや、でも、これだけ役に立ってくれると連れてきた甲斐があるってもんだ。


 砕け散った牛の中にキラリと光る黒い宝石が落ちていた。あれ? これ、魔石じゃないよね。というか、魔石は砕け散ってるんですが……。14型さん、やり過ぎです。


 にしても、この宝石はなんだろう? さあ、鑑定するのです。


【異形の石】

【長く生きたアストラルデーモンの額に精製される石】


 おー、これが異形の石か。水晶のようだけど、中は真っ黒で見えないな。何かが動いているようにも見えるし、不思議な石だな。これ、何に使うんだろうね? ま、何にせよ、これでGPを1080ゲットなのです。でも、次のランクの試験を受けるには、コレが後30個くらい要るんだろ? はぁ、何日かかるやら……。と、そうだ、スカイのトコロに行ってGPを貰うの、忘れてるじゃん。それがあれば、もう少しは楽になるかなぁ。


 はぁ、先は長そうだ。




―3―


 次は正面か。奥の扉まで進み、両開きの扉を押し開ける。中は階段か。緩やかな上り階段だね。途中、外壁が崩れ、外の景色が見えていた。これ、気をつけないと崩れ落ちるか、足を踏み外して落ちてしまいそうだな。何というか、変わった作りだよなぁ。ま、考えても仕方ない、上がるか。


 階段の上は扉になっていた。また扉か。うん、進みますか。


 しかし、扉は開かなかった。開かないじゃん! 押しても引こうとしてもびくともしない。

「マスター、仕方ありません。非力で矮小なマスターの代わりに私がっ!」

 14型が目にもとまらぬ早さで扉に拳を叩き付ける。


 ……。


 しかし、扉はびくともしなかった。


「あー、うー」

 14型が拳を押さえて飛び跳ねている。いや、あなたロボだよね、機械だよね。痛覚とか無いよね? いや、でも、この痛がっているアピール……本当に痛いんだろうか?

『14型、平気か?』

 14型がぶるぶると片手を振るわせながらも優雅にお辞儀をする。

「ま、マスター、何のことでしょう? この私が、み、ミスをするはずが無いのです。マスターの気のせいです。痛い訳が、あ、ありませ、無いのです」

 うーん、ロボにヒールレインとか効くんだろうか? ま、不要か。しかしまぁ、ここはコレで終わりかぁ。この扉を開けるための方法が何処かにあるんだろうけど、うーん、後回しだな。


 にしても2階は狭いなぁ。これなら下水の方が広かったぞ。仕方ない、1階を探索するか。でもさ、1階は他の冒険者が居そうなんだよなぁ。余り鉢合わせしたくないけど、他に道も無し、ま、仕方ないよね。


 14型とともに1階へと降りる。そのまま奥の部屋へ。ここは吹き抜けの部屋の下だね。結構、広いなぁ。こちらも左右と奥に扉――上と同じ作りだね。昨日、スキンヘッドのおっさん連中が一つ目巨人と戦っていたけど、死体とかは残っていないな。


 一つ目巨人とおっさん連中が出てきたのは左の方からだし、右の扉から探索しますか!

2016年7月1日誤字修正

居るんだろう? → 要るんだろう?

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