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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
391/999

5-87  14型です

―1―


 迷宮都市の冒険者ギルドに到着っと。


「おかえりなさいませ、リ・カイン迷宮都市冒険者ギルドへ」

 あ、はい。って、今日も羊角のお姉さんか。羊角って種族は何になるんだろう? 鑑定したら駄目かな? 駄目かな? 鑑定を使ってバレた時が怖いしなぁ。特に冒険者ギルドなんていう特殊な技術を持った人が集まる場所だからさ、そういうことに対する対策をされてそう。でもさ、ここまで旅してきて思ったけど、意外と鑑定ってレアなスキルぽいんだよな。だから対策されていない可能性も……うーん。ま、興味本位だけで危ない橋を渡る必要も無いか。


 俺が冒険者ギルドに入ると、周囲が騒がしくなった。


「おい、アレ」

「ああ、例の」


 うーん、俺も人気者になってきたのかなぁ。ヒソヒソと色々言われているみたいだけどさ、まぁ、帝都みたいに知らない人からもチャンプ、チャンプと呼ばれて馴れ馴れしくされるよりはいいか。


「ランさま、どうぞ、こちらへ」

 羊角お姉さんに受付へと案内される。そのまま羊角のお姉さんがカウンターの裏に回り座る。

「本日のご用件は?」

 あ、はい。羊角のお姉さんの笑顔が眩しいです。


『昨日、小迷宮『異界の呼び声』に向かう途中でコカトリスを倒したのだが、ここで換金出来るだろうか?』

 俺の天啓に羊角のお姉さんの笑顔が引きつる。


「こ、コカトリスですか。も、もしかして、今、お持ちですか?」

 お持ちです。

『ああ。何処で出せば良いだろうか?』

 俺の天啓に周囲が騒がしくなった。お、コカトリスを倒すって凄いって感じか? いやあ、周囲に聞き耳を立てられるくらいに注目されるとか、困っちゃうなぁ。ホント、困っちゃうなぁ。


「おい、聞いたか。コカトリスのサイズを収納できる魔法の袋か」

「芋虫のくせに、良い物を持ってるみたいだな」

「ばーか、お前なんてそのサイズ扱えないだろ」


 む。コカトリスを倒したことよりも魔法の袋のサイズが注目されている、だと。いやまぁ、俺も凄いレアモノだと思うけど、思うけどさー。コカトリス自体は余り凄い魔獣じゃないのかなぁ。まぁ、迷宮都市って言うくらいだから、優れた冒険者が多いだろうし、そんなものか。


 カウンターから出てきた、羊角のお姉さんの後を追いかけ、冒険者ギルドの裏に出る。屋根は無いけど、大丈夫なのか? 荒野だからね、雨とか降らないのかな。


「どうぞ、こちらで」

 あ、はい。とりあえず、ここで出せばいいのね。


 俺は魔法のウェストポーチXLから大きなエレエルコカトライスの死骸を取り出し、ギルド裏の広場に置く。ぽんとな。って、相変わらずズタズタで状態が悪いなぁ。ま、そこは仕方ないか。勝つためだ、うん、仕方ない。


「こ、これは……ズタボロですねぇ」

 あ、はい。すいません。

「でも……そうですね。他の職員を呼んできます。もし良ければ冒険者ギルド内でお待ちいただけますでしょうか」

 はーい。俺は羊角のお姉さんの言葉に従い、独りで冒険者ギルドに戻り、そのまま他の冒険者に注目される中、素直に待ち続けた。


 ……。


 長いなぁ。座ることが難しい俺だと立って待つしか無いから目立つんだよな。他の冒険者からジロジロ見られて待つのって辛いです。


 しばらく待っていると羊角のお姉さんが戻ってきた。

「ランさま、ランさまは居られますかー?」

 はいはい、はーい。こっちです。


 羊角のお姉さんがすぐにこちらを見つけて走ってくる。

「では、こちらへどうぞ」

 羊角のお姉さんとカウンターに向かう。


「では、ステータスプレートをお願いします」

 あ、はい。羊角のお姉さんにステータスプレート(金)を渡す。羊角のお姉さんが、俺のステータスプレート(金)に何かの水晶球をかざす。いつも思うけど、何をやっているんだろうな。そして、1枚の紙をカウンター下から出してくる。お、何々。



 コカトリス1体:327,680円(金貨1枚)

 素材の痛み具合:▲286,720円(小金貨7枚)


 特別報酬:40,960円(小金貨1枚)

 特別獲得GP+1,080(25,219)


 合計:81,920円(小金貨2枚)



 おー、何やら特別報酬が発生している。にしても、やはり素材の状態が酷かったのがマイナスになったか。コカトリスって結構、お金になるんだね。これだけ高く買うって、コカトリスの素材を何に流用するんだろうなぁ。


「こちらの金額になります。よろしいですか?」

 羊角のお姉さんが聞いてくる。いや、聞いてくるけどさ、これって拒否権あるんですか? 交渉すれば報酬が増えるとか……無いよなぁ。ま、まぁ、今はお金に困っているワケじゃ無いからね、これでいいか。

『ああ、頼む』

 羊角のお姉さんがすでに用意していたであろうお金をカウンター下から取り出す。あー、ありがとうございます。


「ランさまはお強いんですね」

 おうさ、こんな姿だけど結構凄いんですよ……多分。俺も結構強くなったと思っていたけど、ついさっき、小迷宮『異界の呼び声』でやらかしているからなぁ。


「本日はもう遅いですが、良ければ、前回ご紹介したものよりも、もう少し難易度の高めのクエストをご紹介しますが……」

 羊角のお姉さんが首を少し傾けながら、そんなことを言った。なんだと……。今はCランクに上げるためにGPが欲しいからね。ちょっとでも報酬が良いクエストは嬉しいなぁ。


「では、またのご利用をお待ちしております」

 あ、はい。




―2―


――《転移》――


 《転移》スキルを使い自宅前に帰還する。うーん、この時間だと、まだまだ人が多いな。


「マスター、お帰りなさいませ」

 いつの間にか俺の前に14型が居た。あ、ああ、ただいま。ホント、いつの間にか居るなぁ。何かスキルを使っているんだろうか。


「マスター、こちらへ」

 何故か14型さんが食堂の裏に案内してくれる。えーっと、何処に連れて行くんですか? もしかして、もう一回、ここにアクアポンドで水を出せってことですか?


 食堂の裏側が拡張されていた。おや? これ、半日で作ったのか。もう仮組みが終わってるし、壁も……仕事早すぎじゃね?


 14型が備え付けられた扉を開ける。えーっと、中に入れってこと?


 中に入ると、食堂のカウンター裏に作られた部屋に出た。いやまぁ、食堂の裏から入ったんだから当たり前か。少し広めの個室っと。円卓と、それを囲むように椅子が並んでいるな。俺用の椅子もこちらに来ている。

「マスターが落ち着いて食事が出来るように個室を作らせました」

 じゅ、14型……お、お前、ナイス! ナイスだよ。


「マスターは、どうぞ、こちらにおかけになってください。料理を運ばせましょう」

 え、えーっと14型さんが有能です。と、そうだ。


『14型、ちょっと待て』

「マスター、なんでしょうか?」

 14型を引き留める。ちょっと、有能そうな14型さんが怖いです。と、そうじゃなくて、だ。

『これを』

 俺は魔法のリュックから謎のパーツを取り出し、14型に渡す。


「これは……」

 謎のパーツです。ホント、謎だよね。


『それと明日は14型にも一緒に来て貰う』

「了解しました」

 14型が優雅にお辞儀をする。いや、ホント、今日の14型さん、どうしちゃったの? 有能そうじゃん。壊れたのか、壊れたのか?

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