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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略

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5-79  面倒なコト

―1―


 封じられた門の前に静かに眠る6型を見ながら、俺は地下世界(アンダースフィア)を後にする。はぁ、この体で階段を上るのすっごくきっついんですけど。どうせならさ、エスカレーターみたいな感じにして欲しかったよね。ホント、気が利かないよね。


 隠し通路に戻り芋虫スタイルで進んでいく。うっす暗いなぁ。って、羽猫のライトの効果が切れてるじゃん。


「にゃあ」


――《ライト》――


 サイドアーム・ナラカを使い羽猫をなでる。エミリオさん、ホント頼みますよ。羽猫さんの取り柄ってそれくらいしか無いんですから、ホント、頼みますよー。


「にゃあ」

 羽猫が俺に抗議するように一声鳴く。はいはい、癒やし系、癒やし系。


 狭い隠し通路を抜け出ると自動的に後ろの壁が閉まった。しかも、何故か隠し扉って線まで表示されるようになっている。何故だ? 何が違うんだ? もしかして、隠し通路を見つけたら表示されるようになるのか? って、ことは世界樹の迷宮の時は誰かが見つけていたから表示されていたってコト? うーん、わからん。


 ま、帰ろう。


――《魔法糸》――


 魔法糸を飛ばし階段を上る。とりあえず急いで帰ろう。


 階段を上り通路に戻ると、俺を待ち構えていたかのように深淵犬(アビスドッグ)が居た。うわ、まだ居るのかよ!


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い深淵犬(アビスドッグ)の横を抜けていく。もうね、素直にお家に帰らせて下さい。


 何度か《飛翔》スキルを使い、通路を抜け、ぐにゃぐにゃとしたコンニャク床まで戻る。俺はコンニャク床へと飛び、そのままスキルを発動させる。背後で無数の深淵犬(アビスドッグ)の存在を感じるが気にしない。


――《転移》――


 さあ、自宅へ帰還だ。




―2―


 戻った時間が早いからか、俺の家の周辺には色々な人々が行き来をしていた。武装したいかにも冒険者な人々に人型の魔獣……それに普通の格好の人たちも見えるな。うーん、多い。


「お、チャンプじゃん」

「チャンプも飯を食いに来たのか」

 馴れ馴れしいおっさん連中が俺に声をかけてくる。はぁ、このまま食堂に行くのは難しいか。後で14型にでも頼んで自室の方に食事を運んでもらおうかなぁ。


 自宅側の建物に入ると何故かユエが居た。しかもユエは猫耳をぴょこぴょこと動かしながら、頭をかきむしり荒れていた。ど、ど、どうしたの? 怖いんですけど……。


「マスター、お帰りなさいませ」

 いつの間にか俺の横に控えていた14型が優雅なお辞儀をする。あ、ただいま。


『ユエはどうしたのだ?』

「見ての通り、許容量を超えて発狂しているだけだと思うのです。地位が低いというのは小物にとって大変なことだと理解したのです」

 で、どういうこと? 14型さんの説明だと全然わかりません。と、そうだ。


『ま、まぁ、ユエのことはユエに聞こう。ところで14型、これを託されたのだが』

 俺は魔法のリュックから6型のコアを取り出し、渡す。

「これは……とても懐かしい、とても懐かしいです」

 14型が大事そうにコアを抱え込み、そのまま顔を伏せる。これは泣いちゃうかな? いや、でもロボなのに泣くのか? 14型は人みたいだしなぁ。


 そして、14型がそのままコアを丸呑みした。って、ちょ、そういう感じなの? そういう感じなの?


「マスターのお陰で私はとても成長した気がします。こんな、こんな姿のマスターなのに、感謝しかないのです」

 あ、はい。で、その6型さんのコアを取り込んで何か変わりましたか?


「そのうち馴染むと思うのです」

 そうか。これからか。感慨も何もないなぁ。


 で、ですよ。あそこで地団駄を踏んでいるユエさんは何なんでしょう?


『ユエ、どうしたのだ?』

 ユエが地団駄を踏みながら、何やらぶつぶつと呟いている。言葉を拾って読んでみる。


「クールになれ、私、クールになれ」

 これ、駄目な感じだ。


――[ヒールレイン]――


 ユエに癒やしの雨を降らせる。さすがにアクアボールをぶつけたりサモンアクアを浴びせるのはかわいそうだからね。これで、こっちに気付いてくれるかな?


『ユエ、どうしたのだ?』

「はっ! こ、これはランさま……もしかして、見てました?」

 ばっちり見てました。で、どうしたのよ。


「そ、そうです。ランさまにはお話しする必要がありますね……」

 ホント、何があったんだ?

「本日、貴族の方が、このノアルジー商会に来たのです」

 ふむふむ。

「そして、全ての利権を寄こせと言ってきたのです」

 へ? ちょっと待て、ちょっと待て。そんなの横暴じゃん!

「ここが西側と言うこともあって、そのようなことが通ると!」

 ユエが肉球のついた手を強く握りしめている。また、何やら思い出したのか暴れ出しそうな感じだね。うーん、しかし、面倒そうな感じだなぁ。


『それでどうなったのだ?』

「その場は、こちらに責任者がいないというコトで、また来るという流れになったのですが」

『また来るということだな』

 俺の天啓にユエが頷く。あー、これ、完全に面倒なパターンだ。


「ランさま、ランさまのお知り合いのキョウさまにお願いできないでしょうか?」

 ん? キョウのおっちゃん? 何で、キョウのおっちゃんが出てくるの?

「キョウさまなら、うまく取りなしていただけると思うんです……」

 そう? でもなぁ、キョウのおっちゃん、何処に居るか分からないからなぁ。まぁ、でもさ、これ、早く何とかしないと危ないよな。我が家を犠牲にしてまで作り上げた商会が横取りされるとか、洒落になんないよ!


 じゃ、今日はまだ時間もあるし、この帝都でキョウのおっちゃんを探しますか!

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