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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略

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379/999

5-75  異界の魔獣

―1―


 小迷宮『異界の呼び声』を覗く。ホント、深いな。とりあえず穴がどれくらい広いか回ってみるか。


――[ハイスピード]――


 風の衣を纏い穴を中心に一周してみる。とたとたとた。


 はい、ゴールっと。うーん、一周30分ほどかな……。今の俺は結構早いから一周が30キロくらいあるのかな? 大きいなぁ。


 穴の縁には杭とそれに繋がった紐がぶら下がっていた。おー、この紐を伝って降りるのかな。これ、危ないよね。切れたら落ちちゃうよね。


 でも、他に道は無いのか。さ、どうしよう。


――《魔法糸》――


 魔法糸を飛ばしぶら下がっている紐を補強する。


――《魔法糸》――


 どんどん補強しちゃうよ。さあ、降りようか! って、この紐を伝って降りるのか? いやいや、俺の体だと――この体型だと無理じゃん。


 仕方ない。世界樹を上った時と逆だな。


 俺はそのまま穴の中へと飛び降りる。ぴょーんっとな。


 地面に穿たれた大きな穴を俺の体が落下していく。そろそろかな。


――《魔法糸》――


 魔法糸を岩壁に飛ばし、そのままぶら下がる。はい、ちょっと休憩。


 休憩が終わるとまた落下開始。


――《魔法糸》――


 ある程度降りるとまた魔法糸を飛ばし岩壁にぶら下がる。深いなぁ。これ、ぶら下がっている紐の最初の方だけ魔法糸で強化したけど、ホント意味が無かったね。完全な無駄行動じゃん。


 これ、落下、浮遊でもいいのか? まぁ、でもさ、それだとMP消費がキツいからね。これから何が起こるか分からないし、なるべくならMPの消費は抑えたいもんな。


――《魔法糸》――


 もう一度、魔法糸を飛ばし休憩する。大分、暗くなったな。サイドアーム・ナラカで頭の上の羽猫をぽんぽんと叩く。羽猫が面倒くさそうにサイドアーム・ナラカをはたく。うお、攻撃してきた。余り強くはたかれるとサイドアーム・ナラカが消えちゃうじゃん。


「にゃあ」


――《ライト》――


 暗闇に明かりが灯る。と、明かりに伴って穴の底が見えてきた。おー、もうすぐ終わりだったのか。意外と早かったね。底の方は、なんだろう、ぐにゃぐにゃしてる。えーーっとアレに着地するのか? 大丈夫なのか? でも、特に魔獣とか、何か変な線は出ていないな。普通に降りて大丈夫かな。


 えいやっと。


 ぶよんぶよんと柔らかい地面に降り立つ。おー、こんにゃくの上に乗ったみたい。これ、なんだろうね。でも、これならぴょーんっと飛び降りても大丈夫かな。次に来る時は楽が出来そうだ。


「にゃ、にゃあ!」

 頭の羽猫が慌てばたばたと羽ばたく。ど、どうしたの? うん、体が、足が?


 俺がゆっくりと視線を下にずらすと、俺の体がこんにゃくへと沈んでいた。やば、やば。これ、このまま沈んだらヤバイパターンじゃん。えーっと、出口は?


 俺は周囲を見回す。岩がくり抜かれ、金属の壁が見えていた。あっちか?


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、こんにゃくの海から無理矢理抜け出し、金属の通路へと飛ぶ。そのまま金属の通路に着地する。しゅたっとな。


 結構広い通路だよね。俺の大きさだと飛び跳ねても天井に手が届きそうに無いね。


 俺は小さな自分の手で壁を叩いてみる。こんこんとな。うーん、これ金属の通路だよな? 金属で出来た通路なんてお金がかかっているなぁ。この謎金属を削り取って持って帰ったらお金持ちになれるかな?

 ま、当分、お金が必要そうなことって無さそうだし、そんなにガツガツしなくてもいいか。




―2―


 羽猫のライトだけを頼りに暗い金属の通路を歩いて行く。と、前方に魔獣と書かれた線が見えた。お、何だろう、何だろう?


 現れたのは4つの目を持ち、2本の触手をうねらせた犬のような魔獣だった。何だ、コイツ、ちょっとキモイ。

 触手を鞭のようにしならせ犬モドキの魔獣が飛びかかってくる。俺はとっさに横へと飛び回避する。危険感知スキルが働かない程度か。


――[アイスウェポン]――


 真銀の槍が氷に覆われる。


 と、その瞬間、視界に赤い線が斜めに走る。線を追いかけるように犬モドキの体から伸びた触手が振り回される。俺はそれを、すぐさま氷に覆われた真銀の槍で斬り払う。

 真銀の槍で斬り払われ吹き飛んだ触手がびちびちと跳ねている。うわ、なんだコレ。さすがにこれは食べられない魔獣だよね。

 もう一つの触手が振るわれる。今度は危険感知が働かないか。


 さらに真銀の槍を使い触手を斬り払う。これでお前の触手は2本とも斬り払ったぜ。


 犬モドキが背を低くしてこちらへと唸り声を上げる。お、おおう。


 そして犬モドキの体から新しい触手が伸びる。何だ、と。お前の体、どうなってるんだよ。何かに寄生されているのか?


 犬モドキが4つの目を光らせ、触手を振り回しながら、こちらへと飛びかかってくる。


 触手の一つを避け、躱しきれない触手を斬り払う。そこへ犬モドキが大きな口を開け、こちらに迫る。


 真紅妃!


――《スパイラルチャージ》――


 真紅妃を犬モドキの口の中へ突っ込み、そのまま捻り貫く。赤と紫の螺旋が犬モドキの後頭部から生まれる。

 俺は犬モドキをフェザーブーツで蹴り飛ばし、真紅妃を口から引き抜く。


 これで終わりかな?


 犬モドキがどろどろと溶け、黒い液体に変わった。おー、これで終わりか。で、魔石は?


 と、そこでまたも視界に赤い線が走る。な、何の攻撃だ?


 目の前の黒く溶けた液体から触手が伸び、こちらへと襲いかかってくる。


――[アイスランス]――


 氷の槍が鋭く尖った木の枝のように伸び、伸びた触手ごと黒い液体を貫く。そして黒い液体から伸びていた魔獣という線が消えた。


 おー、やっと倒したか。


 で、魔石は? 魔石は?


 魔石は!

2016年6月30日修正

一週 → 一周


2021年5月10日修正

一週 → 一周

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