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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
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5-70  冒険者たち

―1―


 と、戦いも終わったことだし、回復しておくかな。


――[ヒールレイン]――


 癒やしの雨を赤騎士と青騎士の上に降らす。


――[ヒールレイン]――


 次に自分の上に癒やしの雨を降らす。足のかすり傷もこれで大丈夫っと。

「おー、これは凄いな!」

「確かに、凄いですね」

 赤騎士と青騎士の2人が感心したようにこちらを見る。そうだろう、そうだろう。


「そうなのじゃ。ランは凄いのじゃ!」

 姫さまは大きく上体を反らし得意気だ。

「ええ、この治癒術士ばりの回復魔法は……。これだけでも加入して欲しいと考えるクランやパーティは多いでしょうね」

 治癒術士って結構、貴重そうだもんな。というかだね、魔法系が全体的に少ない気がする。やはりMPの問題なんだろうかなぁ。


「で、ジョアン。新しい盾をもらったんだろ? そろそろ俺の盾を返してくれ」

 一生懸命、王者の盾を振り回しているジョアンに赤騎士が話しかけていた。あー、ジョアンが使っていた盾って赤騎士の使っていた盾だったんだ。なるほどね。

「わかった」

 ジョアンが持っていた盾の一つを赤騎士に返す。うーん、ジョアン的には盾二つのスタイルの方が合ってるのかなぁ。攻撃を捨てて完全防御か。まぁ、パーティメンバーにアタッカーが居れば、その方がいいのかもね。俺も随分と助けられたからなぁ。


 俺が遠巻きにこちらの様子を覗っている冒険者たちの方を見ると、何故か冒険者たちは視線を逸らした。む、意外と嫌われてる?


「何だ、あの芋虫は」

「しかし、便利そうだ」

「魔獣を仲間にするのか?」


 ちょっと拾った会話を読んでみるけど、うーん、力は認めてくれたみたいだけど、便利な奴扱いってトコロだなぁ。まぁ、ここに居る冒険者って全員が上級冒険者だろうから、プライド高そうだし、こんなもんか。


「ところでランはこれからどうするのじゃ?」

 あ、姫さま。そうですね、ま、俺は外の冒険者ギルドに行ってチマチマとクエストを頑張るって感じかな。

『外の冒険者ギルドへ行く予定だ』

 俺の天啓に姫さまがうんうんと頷いている。

「ランは空から来たのじゃな?」

 あー、うん。空からと言えば空からだね。

「ラン、最初の橋を渡った所から右、左、右、左、右、右が城へのルートなのじゃ」

 えーっと、この迷宮都市に入ってから城までのルートかな。ふむふむ。となると、この城からだとその逆に進めばいいのか。

『助かる』

「うむ、なのじゃ!」


 じゃ、用事も終わったからね、帰りますか。

「にゃあ」

 羽猫が俺の頭の上で手を振っているようだ。いや、お前の手がぺちぺち頭に当たってるからね、気をつけてね。

「うむ、お前もまたなのじゃ!」


 で、城から帰る道は教えてもらったけど、肝心のこの城の中の道がわかんないんですけど……。

「ら、ラン! こっちだ!」

 ああ、ジョアンが案内してくれるんだ。助かります。

「む、ジョアンが案内するなら、わらわも行くのじゃ!」

 えーっと、姫さまも来るんですか?

「なら、護衛としては俺らも行かないとな」

「ですね」

 えーっと、赤騎士と青騎士さんたちも来るんですね。


 結局、皆に見送られることになった。なんなんだ、コレ。




―2―


 城を出て冒険者ギルドへと向かう。えーっと、左、左、右、左、右、左で進めばいいのかな?


――[ハイスピード]――


 風を纏い、ゴチャゴチャとした建物や石壁の迷路を駆けていく。城で思わぬ時間を取られたからね、冒険者ギルドまで急ごう。


 走り続けて数時間、途中、お弁当休憩を入れ、冒険者ギルドに到着です。うーん、さすがは都市って言うだけあって広いな。これだけ距離があれば、そりゃ、城の中に冒険者ギルドを作るか。外の冒険者ギルドで『名も無き王の墳墓』のクエストを受けて、城に向かって着いた頃には日が暮れて――なんてやってられないもんな。この迷路のような通路を往復するだけでもげんなりしそうだ。


 さあ、迷宮都市の冒険者ギルドだ。


 俺が冒険者ギルドに足を踏み入れると、中に居た冒険者たちが驚いたように、一斉にこちらを見た。

「な、魔獣が」

「お前、知らないのかよ、例の魔獣だぜ」

 例の魔獣? うーん、余り良くない噂だろうか?


「あー、聞いた、聞いた。酒場で鷲鼻が話していたな」

「俺も、また奴の適当な騙りかと思ったんだが、本当に居るとは……」

「確か、西の方で星獣様って言われる力を持った魔獣だとか。害意はないらしいが」


 驚きこちらを見ていた冒険者たちが口々に好き勝手なことを呟いている。


「お帰りなさいませ、リ・カイン冒険者ギルドへ」

 って、今、挨拶? 俺、すでに冒険者ギルドの中へ入ったよね、入っているよね? もしかして受付のお姉さん、俺に挨拶していいか、迷ったのか? そうなのか? そういえば、この間の猫人族のお姉さんじゃないね。羊のような角の生えたお姉さんだ。また初めて見る種族だなぁ。


『クエストを受けたいのだが』

「では、こちらへ」

 あー、しっかりと案内はしてくれるんだ。よかった、よかった。


 さ、これで、やっと迷宮都市の冒険者ギルドが利用出来るな。


 はぁ、ホント、ここまで長かった。

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