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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
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2-29 赤貧

-1-


 夜になり、食事が振る舞われる。うーん、今日中にはスイロウの里に戻ろうかと思ったんだけどなぁ。まぁジャイアントリザードの味に興味があるし仕方ないね。


 俺は食事を受け取り共用の宿泊施設に戻る。受け取った食事はスープ――またスープですよ、スープばかりだなッ! と焼いただけの白身の肉である。

 あー、周りは木とか燃える物ばかりなのに火を使って調理して大丈夫なんだろうか、とか、俺の中のエルフって木の実とかばかり食べて肉は食べないってイメージだったんだけど食べちゃうんだね、とか、色々どうでも良いことも考えちゃいます。


 というかね、今回ショックなのは帰るのを遅らせて期待していたジャイアントリザードの調理法が焼くだけとか、だけとかッ! って事ですね。


 異世界は食事文化が遅れているッ!


 スープばかりなのも辛いし……せめて醤油が欲しいよなぁ。まぁ、スープも素材の風味は生きているし、柔らかくなるまで煮詰められたホーンドラットと思われる肉は歯ごたえがあって普通に食べられる――けどさ、味がシンプル過ぎて物足りないんだよなぁ。もっと濃い味が欲しい。味噌とか醤油が入るだけで全然違うと思うんだよなぁ。


 さあ、次はお待ちかねのジャイアントリザードの肉ですね。焼いただけの肉ということでかなり不安だったんですが、これ、意外と美味しいぞ。ぷりぷりとした肉が舌の上ではじける感じです。口の中に広がる肉汁も味が濃く風味豊かです。なんだろう、見た目から鶏のささみを想像していたんですが、これはアレだ、タコだ。タコを焼いたのを食べている感じだ。これでたこ焼きを作ったら最高なんじゃね?

 生で食べてもタコ刺しみたいな感じで美味しそうだなぁ。


 あー、くそう、醤油が欲しいなぁ。


 まぁ、でも毎日食べても良いかなと思うくらいに美味しかったので、今度見かけたら積極的に狩ってみよう。勝てるなら、だけどね。


 さあ、食べるものも食べたし、寝ましょうか。って、ただ寝るのは勿体ないな……。


――<浮遊>――


 MPの消費実験をしよう。さあ、どういう条件で最大値が増えるのかな。


 というわけで朝です。


 ね、眠い……。枯渇による気絶だと眠気が全然取れません。こ、これは失敗したなぁ。枯渇から1時間で目が覚めるので寝た気分になりません。もうね。気絶、起きる、気絶を繰り返していたんですが、これ、体の負担が半端ないです。寿命が縮まりそうです。


 ということで今回繰り返してみた訳ですが、それでも分かったのは、まだまだ検証回数が足りないってことです。

 枯渇状態からだと最大MPが今のところは必ず1増えています。

 うーん、これだと枯渇状態以外から増えていたケースの理由が分からないんだよなぁ。ま、当分最大MPを増やすためにも、浮遊の熟練度上げを兼ねて頑張りますか。




―2―


 族長に挨拶をして、そのままスイロウの里に帰ることにする。さあ、帰ろう。


――<転移>――


 俺は空高くへと飛び上がる。空中で一時停止、そのまま落下が始まる。空から見るとこの島がかなり大きいのと、木々に覆われているのが良くわかります。その中でもひときわ目立つのが世界樹と大きな山だな。


――<浮遊>――


 俺は浮遊を使い着地する。と、そこで軽い目眩が……枯渇状態? もしかして転移もMPを消費するのか? う、危なかった。最大MPを増やしていなかったら地面に叩き付けられて死んでいたかもしらん。


 俺は色の付いた靄を吸い込みMPを回復させる。……はぁ、はぁ、死ぬかと思った。


 さあ、スイロウの里だ。

 ああ、懐かしい柵と門だ。門番の人も懐かしいなぁ。まだ数日しか経っていないのに、もう何年も経っている気がする。


 俺はスイロウの里に入る。


 まずは換金所かな。と言うことで換金所に向かう。


『すまない、換金を頼みたいのだが』

 久しぶりの受付の森人族のお姉さん。

「あら、久しぶりですね。今日はどういった品物ですか?」

 俺は森ゴブリンから回収した装備品をカウンターに並べる。正直、ゴミばかりだけど今は少しでもお金が欲しい。


 錆びた銅剣:2本×640円=1280円

 ぼろぼろの木の盾:320円

 腐った皮鎧:4個×8円=32円

 謎の鉱石:8個×8円=64円


 合計:1696円


 銅貨2枚と潰銭52枚か……これが今の全財産になるな。ちなみに初心者の弓の買い取り金額を聞いたら銅貨1枚だった。そ、そりゃあ、無料で貰える装備品だもんね。そんなもんだよね。高く売れるなら売って装備を変えようと思ったけど、当分は弓装備決定です。



 そのままホワイトさんの鍛冶屋へ。

『すまぬ、こちらで矢の扱いはあるだろうか?』

「おお、久しぶりだな。矢か……鉄の矢ならあるぞ」

 お、あったか。良かった良かった。問題なのは金額だな。

「1本で1280円だな。鉄を使っているからどうしても木の矢よりは高くなるからよぉ」

 うーん、安いのか高いのか分からないなぁ。

『後、一番安い剥ぎ取りナイフは幾らからだろうか?』

「2560円だな」

 う、銅貨4枚かぁ。足りない……。剥ぎ取りナイフは後にしよう。これが買えるようなら今日は魔石をもった魔獣狩りをしようと思ったんだけど、仕方ない採取中心にしますか。

「それとな、頼まれている槍だけどかなり良い感じに進んでいるぞ。楽しみにしておけよぉ」

 うん、ホント楽しみです。が、まずはお金だよなぁ。


 とりあえず全財産を使って鉄の矢を1本だけ買うことにした。


 さあチマチマとお金を稼ぐことにしましょうか。

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