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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
338/999

5-35  水を求めて

―1―


 うーん、砂漠だと水系の魔法が使えないのかな。俺の氷系の魔法も使えないのは、多分、水と風の両方の属性を持っているからだろうね。

 よく見てみると周囲に漂っている魔素の靄の中に青色の靄が見えない。あー、ここ、青色の靄が無いから水属性の魔法が使えないのか。

 そして水の属性が無いから砂漠になっているのかな? うーむ、さすがは異世界って感じだなぁ。魔素ってのが何にしても重要な世界なんだな。


「ラン、魔石は!」

 あ、そうだ。考えている場合か手早く素材を集めないと。


 中から魔石を取り出そうとして切断のナイフが無いことに気付く。あれ? そう言えば、俺、切断のナイフをどうしたんだったかな? うーん、覚えてない。まぁ、ナイフが無いなら仕方ない、真紅妃は解体に使うの嫌がりそうだし、それにさ、突きが主体の槍では捌くのが難しいからね。仕方ない、柄の長い剣って感じの真銀の槍で捌きますかね。


 真銀の槍で蠍モドキの甲殻を剥ぎ取り、魔石を取り出す。おー、魔石だ。


 ……。


 ちっちゃい。小さいぞ、コレ。あー、もしかして、この蠍モドキ、結構、雑魚なのか。これさ、甲殻とかが素材になりそうだけど、この分だと売っても安そうな気がするなぁ。まぁ、魔法のリュックには余裕があるし、とりあえず入れておくか。

 獲得出来た魔石は全部で8個、甲殻の付いた死骸も8個。手に入れた魔石はジョアンと半分ずつ分けることにする。

 で、獲得したMSPは72か……。これ《早熟》スキルで8増えているんだろうから、元は1かよ。ホント、雑魚じゃん。経験値も8匹で224だから、28かぁ。微妙です。まぁ、砂漠に入ってすぐだからね、こんなものかな。

 せっかく手に入った魔石だけど、この程度の小さな魔石なら今すぐ使っちゃってもいいかな。あ、そうだ、せっかくだから緑の長靴に喰わせてみよう。

 フェザーブーツに小さな魔石を近づける。すると緑の長靴にするすると魔石が吸い込まれていく。おー、真紅妃と同じ感じだね。この子も、そのうち、召喚とか使えるようになるのかなぁ。




―2―


 砂漠を進んでいく。やっぱり歩くのキツいなぁ。砂に足を取られてまともに動けない。


 うーん。


 あ、そうだ。せっかく足が8本あるんだ、それでわしゃわしゃと動いたら安定するんじゃね?

 さっそく試してみよう。


 昔を思い出し、芋虫スタイルを選択する。

「ら、ラン!」

 何故か、前を歩いていたジョアンがこちらを振り返り驚いている。

「そ、そうしていると魔獣にしか見えないぞ!」

 そ、そうかなぁ。ちゃんと服を着ているから、魔獣には見えないと思うんだぜ。


 そのまま四つん這い上体でわしゃわしゃ歩いて行く。あ、コレ、夜のクロークに砂が入って気持ち悪い。あー、じゃりじゃりする。うん、後でクリーンの魔法を使っておこう。


 でも、この状態ならジョアンの歩みに遅れることがないぜ。わしゃわしゃ動くぜ。やっぱり足8本で動くと安定するなぁ。足が沈む前にどんどん前に進めるもんな。

「ら、ラン、その格好は……ちょっと、怖い」

 ジョアンが何か言い淀んでいる。そう言えば、真紅妃と真銀の槍はサイドアームに持たせているもんな。よく考えたら、他から見ると、わしゃわしゃ動く芋虫の上に2本の槍が浮いているように見えるのか。確かにそれは怖いかもしれないな……。


 歩いて行く。


 どんどん歩く。


 あー、暑い、熱い、暑い、熱い。あー、喉が渇いた。


 ふとジョアンを見ると水筒のような物に口をつけ水を飲んでいた。おー、何だか、今回はジョアンがしっかり準備をしているな。

 しかし、そんなジョアンも水が無くなったのか水筒を逆さにして中身を確かめていた。

「ら、ラン、水を出して貰えないか?」

 あ、うん。出せるなら出したいんだ。今回、俺は何の準備もしていなかったから、喉が渇いて、乾いて、乾いてしょうがないんだ。でも、水が出せないんだ。水の属性が無いんだ。


 はぁ、仕方ない、今日はもう帰るかな。

『ジョアン、ここでは水の魔法が使えない。一度戻ることにしよう』

 俺の天啓を受け、ジョアンはがっかりしたかのような大きなため息を吐き、その後、ゆっくりと頷く。ジョアンはもうちょっと進みたかっただろうけどさ、これは仕方ないね。準備不足で進んで何かあったら大変だからね。


――《転移チェック6》――


 とりあえずチェックは6にしておこう。5は砂漠前の港で固定。何が起きるか分からないからね。


――《転移》――




―3―


 《転移》スキルを使い我が家前に戻る。


――[アクアポンド]――


――[サモンアクア]――


 池を造りながらすぐに水の球を浮かべ、その水の球の中に顔を突っ込む。はぁ、生き返る。熱かった、本当に熱かったんだよ。体が、外皮が溶けるかと思った。

 水球から顔を出し、そのまますぐに池の水をサイドアーム・ナラカで掬い飲む。はぁ、キツいなぁ。


――[クリーン]――


 と、忘れずにクリーンの魔法も使わないとね。体中、砂でじゃりじゃり気持ち悪いからね。芋虫スタイルは動き易いのはいいんだけどさ、夜のクロークが汚れたり、体中が砂まみれになるのがネックだなぁ。後、戦闘になったら戦いにくそうだ。


――[クリーン]――


 ジョアンにもクリーンを使う。ジョアンも砂だらけになっているからな。

「助かる!」

 さ、今日は何だか、疲れたからね、もうお休みモードだね。


 にしても、水魔法が使えなかったのはキツかったなぁ。出てくる魔獣が雑魚で良かったよ。


 と、そうだ!


 砂漠だから水属性が有効なんじゃないか? 水属性の魔法は使えないけれど、俺には水属性の武器があったよな。明日はそれが有効に使えるか、試してみよう。


 と言うことでフルール、矢の用意お願いします。

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