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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
334/999

5-31  動き出した

―1―


 俺の天啓にポンさんは何を言っているんだって顔で驚いている。いや、あのね、ポンさんてばさ、料理上手いじゃん、だからさ、うちの食堂で働かない?

「えー、えー、ランさんよ、何を言っているよ」

 勧誘しているのよ。

『冒険者を引退するのなら、自分の店で料理人をしないか?』

 やらないか?

「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺は本職の料理人の真似なんて出来ないよ」

『それでも自分はポン殿を誘いたい』

 ポンちゃん頼むよー。今、俺の家って料理が出来る人間が居ないんだよー。


 俺が大きくつぶらな複眼でじーっと見つめているとポンは目をそらし、大きなため息を吐いた。

「わかった、わかったじゃんよ。助けてくれたお礼もある、本職の料理人が来るまでの間なら手伝うよ」

 やったぜ。

『ジョアン、すまないが今日はもう戻るぞ』

 俺の天啓にジョアンが頷く。

「今日は沢山魔法を使ったから仕方ない!」

 そうだね、仕方ないね。って、本当はまだまだ余裕があるんだけどね。最大MPが10倍くらいになっているからなぁ。余裕、余裕。


『では、ポン殿、自分のパーティに加入して貰ってもよいかな?』

 俺の天啓を受け、ポンは首を傾げている。多分、何故パーティに? と疑問に思っているのだろうが、それでも素直に加入してくれた。


 さ、じゃあ、《転移》で……って、ここだと不味いか。

『ポン殿、動くことは可能か?』

「ランさんのおかげでゆっくりとなら可能よ」

 ポンが笑いながら、そう答える。ま、片方の足が無いからね、歩くの大変そうだよね。


「僕が支える」

 ジョアンがポンに肩を貸す。背の高さが違うから、ちぐはぐな感じだね。ま、歩くって言っても、この避難キャンプの外までだからね、すぐだよね。


 ゆっくりと避難キャンプの外へと歩いて行く。何故かゆっくりと歩いている俺の周囲の人々が大騒ぎをしていた。あー、赤竜が倒されたもんね、お祭りでも始めるのかな。




―2―


 避難キャンプを出て少し歩く。この辺でいいかな。


――《転移チェック5》――


 チェックを上書きしてっと。じゃ、戻りますか。

『ポン殿、意識をしっかり持つように』

 ポンは、俺の天啓を受けても何を言っているのか意味が分からないのか、不思議そうな顔をしていた。一応、話しておかないとね。じゃ、行きますよ。


――《転移》――


 空高く舞い上がる。そして西へ、今まで通ってきた長い道のりが見える。そのまま我が家前に落下する。


 さあ、我が家に到着っと。


「ら、ラン!」

 呼びかけたジョアンの方を見ると、ポンさんが気絶していた。あー、うん。最初は仕方ないよね。もしかして、高い所が苦手だったんだろうか? 高所恐怖症の人だったら発狂モノなスキルだもんね。


――[ヒールレイン]――


 ま、まぁ、意味は無いんだけど、気分的に回復魔法を使っておこう。

「う、あ、ああ、ここは?」

『帝都の我が家だ』

 気が付いたみたいだね。ま、気絶していても雨に打たれたら起きちゃうよね。

「は? は? はぁ?」

 そんなに驚くなよ。一瞬で戻ってくることが出来たんだ、ラッキーじゃん。


 俺と共にジョアンがポンを支えて我が家へ近づくと、中から14型が出てきた。

「マスター、お帰りなさいませ。早めの帰還ですが、何か忘れ物ですか? マスターはうっかりさんですからね、やはり私が必要なのでしょう、そうなのです」

 いや、必要無いです。

『皆を集めて欲しい、頼めるか』

「分かりました、食堂でよろしいですか?」

 俺の天啓を受けて14型が姿勢を正す。そしてそのまま皆を集めに行く。さ、行きますか。

『ジョアン、中まで頼めるか』

 俺の天啓にジョアンが頷く。




―3―


 食堂に皆が集まる。あー、こういう風に食堂を利用するのもこれが最後か。

『新しい仲間を紹介する。料理を担当してくれるポン殿だ』

 俺の天啓を受け、皆が頷く。そしてユエが口を開いた。

「料理を担当と言うことは、こちらで食堂も経営するということでしょうか?」

 ユエの突っ込み。しかし、ポンはすぐに首を横に振る。

「俺はそこまでの腕前じゃないよ。正規の料理人が来るまでの繋ぎよ、繋ぎ」

 うーん、そこまで卑下しなくてもいいと思うんだけどなぁ。


『ああ、ポン殿には『社員食堂』をやって貰う』

「社員食堂?」

 ユエが何だろうと首を傾げている。社員食堂って、こっちだと無いのかな?

『ここで働いている者の為に食事を作って貰う』

「では、その費用とポンさんへの報酬は何処から出ます?」

『鍛冶の収入から適当に引いておいてくれ。そこは任せる』

「それだとラン様に儲けがないと思います。よろしいのですか?」

『構わん』

 構わないのだ。

「おいおい、ランさん、そこまで話しは聞いてないじゃん、いいのか?」

 いいんだよ。俺が美味しいご飯が食えたらいいの。それに俺は魔獣をガンガン狩って儲けるつもりだからね。ここの儲けなんてアテにしてないのよ。


『それとフルール』

 俺の天啓にフルールがビクッと身を震わせる。

「何です? フルールは何も悪いことしてませんわぁ」

 おいおい、これ、何かやってるパターンじゃないのか? ま、まぁ、でもさ、信用して追求はしないでおくか。

『ポン殿の為に義足を作って欲しい』

「義足ですぅ?」

『金属の足だ。足の代わりになるように取り付けて動けるモノが良い』

「はぁ、了解ですわぁ」


『では、14型とユエ、後は任せた。いいように上手くやってくれ』

 うん、専門家に任せるのがいいよね。それが一番だ。俺的には会社運営も良くわかんないし、任せておけば大丈夫でしょう!

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