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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
328/999

5-26  赤竜前哨戦

―1―


 赤竜がこちらを睨む。はは、怖くないんだからね!

「ラン、ここは僕が!」

 いやいや、相手の出方を見てからだからね。魔法が来たらジョアンだとちょっとやばそうだしなぁ。

「にゃあ」

 羽猫もこちらへと駆けてくる。いや、お前、ちゃっかり逃げていたのな。しかしまぁ、お前が役に立つとも思えないし、とりあえず逃げていな。

 俺の思いが通じたのか羽猫が遠くへと逃げていく。ま、羽猫には、現状、活躍して貰えそうなスキルが無いしね。


 赤竜が口に赤い光を集めていく。ブレスか? そして俺は周囲を、降り立った地面を見回す。あ? なんだコレは? 砕けた岩、残骸。は? も、ももも、もしかしてッ!


 赤竜から赤い光が走る。

『ジョアン下がれッ!』


――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――


 三連アイスウォールだぜッ! 周囲のことを考えている場合じゃないな。まずは、こいつを倒すッ!


 氷の壁が赤竜のブレスを防ぐ。


――《W飛翔撃》――


 俺は真紅妃と真銀の槍を構え、高く高く上昇する。ブレスを吐き続けている赤竜の頭に狙いをつける。喰らえッ!

 二つの山を持った光り輝く三角錐となって赤竜の頭へと攻撃をしかける。二つの槍が赤竜の頭に刺さり抉る。その衝撃に赤竜がブレスを吐くために大きく開けていた口が、がちんと閉じる。さすがに巨大な竜でも《限界突破(リミットブレイク)》によって強化された攻撃には耐えられまい!

 赤竜が大きく首を振り、俺を吹き飛ばそうとする。俺はそのまま槍を引き抜き、跳ぶ。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い浮かび上がる。さあ、このまま空中で攻撃するぜ!


 空を飛び、赤竜を翻弄する。ははは、赤竜からしたら目の前をハエが飛び交っている感じか? どうだ、うざかろう。


――《Wスパイラルチャージ》――


 2本の槍が赤竜の頭を削る。削れ、削れッ! 赤竜が頭を振り、嫌がる。そして俺の視界に赤い線が斜めに走る。線が走った方を見ると巨大な爪が迫っていた。


――《W百花繚乱》――


 真紅妃と真銀の槍が高速の突きを放つ。高速の突きが迫る爪を少しずつ押し返していく。砕け、砕け、貫け、跳ね返せーッ!


 そこで《飛翔》スキルの効果が切れ、俺の体が落下していく。落下していく俺の上を鋭い爪が通過していく。最近は結構、効果時間が延びた気がしたんだが、仕方ないか。


――《浮遊》――


 浮遊を使いゆるりと地面へ降り立つ。

「ラン!」

 おうさ、ジョアン、短期決戦だ。ガンガン攻撃するぞ。


――[アイスランス]――


 氷の枝が槍となって赤竜に迫る。赤竜が氷の槍を巨大な爪で打ち払い、そのまま、こちらへと駆けてくる。赤竜が一歩、一歩、進む度に地面が揺れ、周囲の残骸が粉となって吹き飛んでいく。


「僕がっ!」

 いや、ジョアン、それは、さすがに無理だろ。


 ジョアンが地面に2つの盾を突き刺し、そのまま構える。いや、いけるのか? いけるんだよな?

 ならば俺はッ!


 魔法のウェストポーチXLからコンポジットボウを取り出す。それを受けて真紅妃が俺の背にまわり、スカートから生えている蜘蛛足を伸ばし、そのまま俺の背に掴まる。動く槍とか自由だなぁ。


 コンポジットボウに魔法の真銀の矢を番える。


――[アシッドウェポン]――


 番えた魔法の真銀の矢が酸に覆われ色を黄色へと変色していく。


――《チェイスアロー》――


 スキルを使い、そのまま矢を放つ。


 地面を揺らしながらこちらへと駆けていた赤竜が腕を振り上げ、放たれた魔法の真銀の矢を打ち払おうとする。


 曲がれッ!


 魔法の真銀の矢が軌道を変え、赤竜の腕をすり抜ける。そして、そのまま赤竜の眼に突き刺さり、貫通し、光となって消える。よっし、当たった。


 しかし、赤竜は動きを止めず。こちらへと突進してくる。ジョアン、任せたぞ。


 ジョアンが2つの盾の裏に隠れ、突進してきた赤竜の巨体を押さえ込む。何らかのスキルの力か、小さなジョアンが巨大な赤竜を受け止めているのは不思議な光景だ。


 って、ジョアンが受け止めている間に俺が攻撃しないとッ!


――《トリプルアロー》――


 スキルを使いコンポジットボウに硬木の矢を3本番える。


 さあ、放つぜ。


 高速で同時に放たれた3本の矢が赤竜へと放たれる。放たれた矢が赤竜に迫る。しかし、矢は3本全てが赤竜の前で弾かれ、あらぬ方へと飛んでいった。はぁ? あー、風のバリアかッ! 前回の時もあったじゃないかッ!


 赤竜を押さえ込んでいたジョアンが、限界が来たのかじりじりと後退していく。あ、ヤバイ。


 そして視界が真っ赤に染まる。


 ジョアンが赤竜によって吹き飛ばされる。しかし赤竜は止まらない。しまったッ!


 俺も赤竜によって吹き飛ばされる。やばいッ! ぐぇぇ。トラックにはね飛ばされたかのように体が錐揉みをしながら吹き飛んでいく。


――《浮遊》――


 《浮遊》スキルを使い、空中で停止する。くっ、死ぬかと思った。


 俺を吹き飛ばした赤竜が足を止め、俺の方へと振り返る。ジョアンは? あー、遠くで気絶している……んだよな? 動きがない。くそっ。動きを止めて、その間に俺が倒すことを期待していたであろうジョアンに応えることが出来なかった、あー、情けないぜ。


 って、あ。


 あ……。


 《浮遊》スキルの効果が切れる。俺の体に衝撃が、激痛が走る。


 あ……、が……。


 ま、まさか、ここで時間切れか。《限界突破(リミットブレイク)》の効果が切れたのか。ま、不味い、このまま、こんな状態で……。


 痛い、痛い、体中の神経を引き抜かれているかのような激痛が走る。あが、ががが。このまま痛みで気絶したら、が、う。


 さいごのしゅだん……。

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