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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
320/999

5-18  都市ミアン

―1―


「おう、チャンプ、アレが山岳都市ミアンだぞ」

 あー、あれで間違いないんだね。

『しかし、随分と遠かったな。それと自分たち以外の人を見なかったのだが』

「ああ、それはですな」

 商人さん、えーっと、確かコーキンさんだったかな、が説明してくれる。

「この時期に神国へ行こうなんて考える商人が私くらいだからですよ」

 あー、人が居ないのは時期的な問題なのか。

「それによ、安全な道を通ろうとするとどうしても日数がかかるんだよ」

 ほうほう。

「神国に行くなら海路が一番早いっすなー。魔獣だらけで大変だけど」

 そうなのか。うーん、でもさ、俺的には安全な道を行くよりも魔獣だらけでも近道を進んだ方が良かったなぁ。時間はお金では買えないんだぜ! まぁ、今更か。


 崖のような岩肌の道の先に見える飛び出した岩たちはさながら高層ビルのようだ。窓のような小さな穴なんかも、それっぽいよね。上の方は緑色に見えるな――何だろう。ふむ、アレが、山岳都市ねぇ。ただまぁ、見たまんまだと都市ってよりも集落にしか見えないな。


「チャンプさん、私たちはあそこで3日ほど滞在する予定ですが、どうですか、一緒の宿をとりませんか?」

 いや、結構です。それと俺の名前はチャンプではありません。いやね、別にあなた方が嫌いってワケじゃないんですよ。ただね、そろそろ家に戻らないとフルールが何をしでかしているか不安でしょうがないワケですよ。真銀の槍が完成していてもおかしく無いしね。受け取らないとッ!

『いや、自分とジョアンは別行動をとらせて貰う』

 俺の天啓にジョアンが驚いたような顔をする。いや、君もそろそろ家に帰りたいでしょ。

「そうですか、ただ出発する時は一緒に出ましょう。いやあ、チャンプさんの水の魔法の恩恵を受けてしまうと便利過ぎて……次もご一緒したくなりますなぁ」

 商人さんが笑っている。あー、アクアポンドの魔法か。いつでも何処でも水を――いやまぁ、池か、を生み出せるのは便利だよなぁ。覚えてすぐの頃は使えない魔法だと思ったんだけどさ、実はサモンアクアよりよっぽど使えるんだよなぁ。


 山岳都市に入る。岩をくり抜いた入り口で門番に呼び止められるが、商人さんが上手く説明してくれ、すんなりと入ることが出来た。


 ……。


 岩の中は別世界だった。


 足下には絨毯のような布? が敷き詰められ、天井には魔石を利用していると思われる高そうな照明――さながら高級ホテルのようだ。えーっと、これ土足でいいんですかねぇ?


「下が商業区、中ほどが宿泊街、上が居住区なんですよ。それと頂上は、まぁ、見て驚いてください」

 親切な門番さんが説明してくれる。ほぇー。

「外から来た人は下と中ほどをご利用ください。途中、橋渡りを通って隣の岩街へ移動も出来ますよ」

 ふむ。この岩一個が一つの街って感じなのか? まぁ、確かに、高層ビルを思わせるかなり大きな岩だもんな。


 にしても岩の中だと《転移》が使えないなぁ。後でこっそり上層に出て見るか。


 とりあえず商人のコーキンさん一行と一緒に中ほどの宿泊街へと向かう。まずは下の商業区にて竜馬車を預かって貰い、そのまま奥へ。照明の明るさか岩の中を歩いているという感じじゃないな。何だろう、そうだ、アレだ。アーケード街を歩いている感じだ。


『しかし、こんな何も無い岩山の中、幾ら魔獣が居なくて安全とは言っても食べ物や飲み物、生活は大変なのではなかろうか?』

 と思うんだよなぁ。輸入に頼るにしても、常に交易商人が行き交っている訳でもなし、無理じゃね?


「ああ、そう思いますか。一度居住区を……いや、頂上部ですな。そこを覗かれるとなかなか面白いモノが見えますよ」

 ほう? 門番の人もそんなことを言っていたな。よし、では、早速行ってみようかな。


「では、私どもはこちらで」

 商人さんたちは行きつけと思われる宿へ。宿といっても岩に扉がつけられている感じなので中が宿かどうかイマイチ分かりにくいんだけどね。まぁ、宿ぽい看板も出ているし、間違いないのだろう。


 じゃ、俺たちは居住区の見学に行きますか!




―2―


 岩の中の道を上っていく。階段であったり、坂であったり、何だろう、ここが岩の中とは思えないな。というか、ここの人たちは何で岩をくり抜いて街を作っているんだ? 意味が分からないよなぁ。


 ある程度上ると自動で動くゴンドラが見えてきた。もしかしてアレで居住区に上がるのか?


 ここに住んでいるであろう人たちと一緒に大きなゴンドラへ乗り込む。住人は俺の姿を見て一瞬ぎょっとした顔をするが、俺と一緒にいる14型やジョアンを見て、すぐにほっとため息を吐く。え、えーっと、失礼な人たちですね。人を見かけで判断したら駄目なんだぜ。


 ゴンドラが天井を抜け、頂上へ。これ、雨が降ったら大変なんじゃないか? それとも雨とか降らない土地なんだろうか?


 頂上は別世界だった。


 なんだコレ。


 頂上には草木が、花々が咲いていた。岩の中から森の中へ迷い込んだかのようだ。ホント、何だ、コレ?

 遠くには湖なんかも見える。いやいや、おかしいだろ。ホント異常な世界だ。うーん、もしかすると、こっちが地上なのかなぁ。住む場所を作るために掘り進めていたら、周囲が自然災害か何かで削り落ちていったとか――いや、無理があるな。


 まぁ、でも、これだけ自然豊かなら食料や水は、それほど困らないか。問題は肉類だけど、これだけ自然があるんだから家畜でも飼えば何とかなりそうだしね。

 この部分に住んでいるというよりも、この頂上部は食料、水などのライフラインって感じなのかな。住人たちが湖から水を汲んでいるのが見える。


 ま、まぁ、ここが休憩地点になるのはよく分かった。ということで、俺たちは《転移》で帝都に戻りますか。


『ジョアン、《転移》を使うぞ』

「にゃあ」

 俺の天啓に何故か頭の上の羽猫が答える。いや、お前じゃなくてだな。


「わかった! そういうことだったんだな!」

 ジョアンが大きく頷く。そういうこと? あー、宿を取らない意味が分かったってことか。そういうことだよ。


 木々の間を抜け、人気の無い場所へ。ここならチェックしても大丈夫そうだな。5のチェックを外してっと、よし。


――《転移チェック5》――


 では。


――《転移》――

12月7日追加

まずは下の商業区にて竜馬車を預かって貰い、そのまま奥へ。


 木々の間を抜け、人気の無い場所へ。ここならチェックしても大丈夫そうだな。5のチェックを外してっと、よし。


――《転移チェック5》――

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