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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
307/999

5-5   スイロウへ

―1―


 転移で我が家に着地すると、すぐに14型が駆けてきた。慌ててどうしたの?

「マスターご無事でしたか」

 えーっと、ご無事ですよ。どったの、何かあったのか?

「これほど役に立つ私を置いて何処かに行くとは、マスターは本当に、本当に考え無しだと思うのです」

 そっかなー。でも、4、5時間ほどじゃん。短時間じゃん。つまり、えーっと、なんだ、何かあったワケでは無く、置いていったから焦っていたのか? 14型さんってば、意外と心配性なのか?

『14型、魔獣の発生は?』

 14型が首を横に振る。

「発生はありません。魔素も薄れ始めたように思うのです」

 そっか。じゃあ、もう危険は無いのかな? でも、いつまた同じようなコトが起こるか分からないから14型さんは、扉が完成するまで見張っておいてもらってもいいですかねー。


「おう、チャンプ、作業してるぜ」

 おう、親方もよろしくお願いします。作業しててください。俺の、俺の、俺の家の素晴らしい出来を期待しているぜッ!


「で、チャンプよ。作業しているとよ、そこのお嬢ちゃんがこっちを睨んでくるんだが、勘弁して欲しいぜ。何とかならないのか?」

 14型、お前……。

「違うのです。そこのモノがちゃんと仕事しているかを確認していただけなのです」

 あ、はい。ま、あまりジロジロ見ないように。で、14型さんよ。

『次はスイロウの里に行ってくる。14型、留守番を頼む』

「ま、マスター、マスター?」

 じゃ、行ってくるね。


――《転移》――




―2―


 懐かしのスイロウの里です。いや、懐かしってほどでも無いか。


 俺は門番のハガーさんに挨拶をして、そのままスイロウの里へ。さあて、日が落ちる前にホワイトさんの所に行こう。


 ホワイトさん、こんちはーっす。


 いつものように作られた装備品が散乱されている室内へと入る。お、あそこに見える犬頭はまさしくホワイトさん。今日は珍しく店の中に居るんだな。いつもは奥に引き籠もっているのにな。どうしたんだろう。時間が時間だからか?

「おー、ランじゃねえかよぅ」

 はい、ランだが。何々、どったの?

「ランよぅ、確か、お前さんは大陸の方に足を伸ばしていたよな?」

 ああ、今、家も建てているトコロだぜ!

「で、頼み事があるんだがよぅ」

 うん? いや、俺も頼み事があるんだけど……。真銀の槍を作って貰ったり、魔鋼から家の扉を作って貰ったりさー、そういうことを頼みたいワケなんですよ。

『いや、ホワイト殿、自分も頼みがあるのだが』

 ホワイトさんは俺の言葉に頭を掻いている。やれやれという感じだが、先に話を聞いてくれるようだ。

『帝都に自分の家を建てているのだが、そこにこの魔鋼を作った扉を付けたいのだ。どうだろう、作って貰えないだろうか?』

 俺は魔法のリュックから高純度魔鋼を取り出す。

「お前……! 帝国に家を持ってるのかよ!」

 いや、まだ建てている途中だけどね。で、どうですか、作ってくれそうですか?

「作れることは作れるけどよぅ、扉だよな? 現場を見てサイズを測らないことには厳しいぜ」

 むぅ。そりゃそうか。で、どうしよう。ホワイトさんにパーティへと加入して貰って《転移》で自宅まで飛ぶ? OKが貰えるなら、それが一番かなぁ。


 ホワイトさんが腕を組んで考え込んでいる。ど、ど、ど、どうでしょう?


「これは、良いタイミングかもなぁ」

 うん?

「ラン、俺の話を聞け」

 あ、はい。聞きます。

「俺に弟子が居るのは言ったよな?」

 えーっと、そう言えば、そんなことを聞いたような、聞いてないような。

「その弟子がよぅ、独り立ちしたいって言ってるのよ」

 へー。

「で、大陸に渡りたい、向こうで自分の鍛冶場を持ちたいって言ってるのよ」

 む、少し話が見えてきたぞ。

「ラン、俺の弟子を護衛して大陸まで連れて行ってやってくれないか? その報酬として、俺の弟子が現地でそれを作るってのはどうよ」

 どうよって、そのお弟子さんって腕前はイカほどなのよ。

「弟子の腕前は保証するぜ」

 うーむ。それでも俺はホワイトさんに作って欲しいんだけどなぁ。ま、俺は《転移》で簡単に帝都と往復できるし、送るくらいはいいか。

『わかった。受けよう』

「おう、助かるぜ。フルール出てきな!」

 ホワイトさんが叫ぶと奥から、狼のような凜々しい犬頭が現れた。しかし、顔を少しだけ出すとすぐに隠れてしまった。む、ちらちらとこちらを見ているな。ちょっと、臆病な感じで、こちらの様子を覗っているな。怖くないよー、俺は悪い魔獣じゃないよー。

「あ、あなたが師匠の言っていたラン?」

 うむす。ランさまだよ。


「ということで、このランが、お前を護衛してくれるからよぅ」

 犬頭のフルールは、えーっという感じで驚いている。こう見えても帝国やホーシアの危機を救った熟練の冒険者なんだぜ!


「ということでラン、また明日来てくれ。コイツの準備は今日中に終わらせとくからよ」

 うむす。


 俺はそのままホワイトさんの鍛冶屋を追い出された。って、えーっと、この魔鋼は。いや、それに真銀の槍の件も頼めてないじゃん!


 うーん、うーん。フルール君? さん? あんな臆病な感じだけど、大丈夫なのかなぁ。まぁ、俺が考えても仕方ないか。


 とりあえず、また明日来て話をしよう。


 ということでスイロウの里を後にして、我が家に戻りますか。

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