表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
1  プロローグ
3/999

1-3 承

―1―


 芋虫次郎君が瞬殺されたことで衝撃を受けて気付くのが遅れたんですが、人を見たことで実サイズの比較が出来るじゃないですか。

 これって結構、重要なコトだと思うのです。

 まずは自分の身体の大きさですが、彼、彼女らがびっくりするくらい小さな人たちという例外を除くとサイズは1メートルくらいかな。割と小さめ。葉っぱのサイズは8×10メートルの広さ。その葉っぱが無数生えてるこの木のサイズはどれくらいだって話ですよ。


 端が見えないくらいの大きな胴体から多くの枝が伸び、上に行けば行くほど多く茂っているように見える。

 ホント、びっくりするくらいに大きな木だね。

 いやはや、まったく、ただの芋虫に転生とかではなくて本当に良かった……良かったッ! 現状でも結構一杯一杯なのにちっぽけなただの虫に転生とか耐えられなかったと思うんですよー。俺ってば虫が好きだったってわけでもないしね。ホント、人に近いサイズってだけでも救われた気がするよね。


 というわけで次のステップです。

 ここまできて思ったのは武器が欲しいってことだね。遠距離攻撃が出来て威力もあり、今、作れるモノ。


 そう弓だッ!


 葉っぱから枝に伝っていき、伸び始めている小さなサイズの枝の前へ。まずは魔法で枝が折れるか試してみる。

 そうそう魔法を少し強化しました。手の平サイズからボーリングの玉くらいのサイズになりました。地道な練習の成果ですな。そしてそれを6個作成。


――[アイスボール]――


 6個浮かべた氷の玉を次々とぶつけ続ける。氷の玉がぶつかるたびに枝にうっすらと青色の発光が見える。……そして、えーっと、枝、無傷です。

 なんというか魔法が弱いというよりも無効化されている気がします。

 仕方ないので囓って枝を折ることにします。がじがじがじ……イヤ、これすっごい堅い。


 毎日、毎日、枝を囓り続けてちょっとずつ削っていく。本当に地味な作業です、ありがとうございました。

 ある程度削れたら、枝に魔法糸(あ、自分が出す糸、魔法糸って名称で呼ぶことにしました)をくっつけ力任せに引っ張る。ぎぎぎという音ともに枝が折れる。


 枝ゲットだぜッ!


 と、そうそう、その魔法糸ですが、手からも出せるようにしました。口から出しているように見えても謎気管からで口からでは無いんですもん。手からも出せるんじゃねと思って頑張ってみたら出せるようになりました。これがすっごい便利なんですよ。今まで手が短かったんで不便だったんです。一番上の手が少し長めで(と言っても腕が組めないくらいの長さしかありません)他は身体を支えることが出来る程度の長さなんですよ。短くて色々届かなかったのが手から出した魔法糸を使って届くようになったのです。これは人の腕の代わりであり、手ですね。

 一番下の足だけで身体を支え立ち上がることも出来るので、上6個の手、全てから糸を出せるように練習しました。そのおかげか魔法も6個出せるようになったんですよね。何事も練習、鍛錬大事。


 枝をしならせ、自分の魔法糸を結びつけて弦とし、簡単な弓が完成です。

 矢は囓って削った時の削りカスから作成。羽部分はいつも食べている葉っぱから作成。この葉っぱ意外と丈夫なんですよね。


 というわけでさっそく試し打ち。

 ばしゅっと良い音で矢が飛び、木の枝に刺さりました。

 適当に作った割には良い威力です。ただまぁ、削りカスに葉っぱの羽と適当な矢だからか余りまっすぐに飛びません。命中精度に問題ありありです。うーん、これは練習でなんとか……なるのか?


 毎日の日課に矢の作成が加わりました。

 魔法の練習。吐いた糸で(魔法糸の細かい動作練習も兼ねて)鞄を作成。囓った葉っぱをすぐに食べずに溜める作業。そして new枝を削り出して矢の作成。new矢の練習。コレが今の日課かな。


 なんというか地道な作業が好きな性格で良かった、良かった。




―2―


 弓の扱いにもある程度馴れ、矢の数も溜まってきたので(実に百本ほどッ!)以前、冒険者達が入っていたうろの中へ進んでみることにする。

 左肩から斜めに自身の魔法糸で作成した鞄を下げ、その中にはお弁当としての沢山の葉っぱの欠片と手製の矢。右肩に弓をかける。

 さあ、ついにやってきた冒険の第一歩ですね。

 糸を吐き、遠くの枝にくっつけ、その糸を縮めることでの高速移動。ホント、気分は蜘蛛の人です。今は手からも出せるようになったので、ホント、まんまアレですね。


 そしてついにうろの中へ。


 中は少し薄暗いけれど見えないほどでは無い感じですね。

 最初、木をくりぬいた通路って感じだったのが、途中から木の壁の中に人工物が混ざってくる。え、何コレです。

 建物に木が絡みついているって感じでは無く、木と石が混じっているんですよ。しかも建物と石を融合させようとして失敗した感じというか……。ゆがんだ建物から木の壁が生えているというか……もうホント、何コレ。


 うーん、異世界。ホント、ここが自分の居た世界と別物だと言うことを叩き付けてくれます。


 中を進めば進むほど、木の割合が減ってきて何かの遺跡を探索しているような感じになってきました。と、普通に移動しようと糸を地面に当てると、何やらカチッと音が……ががが。

 一瞬の間に糸の下から槍が生えてました。……はぁ?

 槍が生えるとかダンジョンは凄いなぁ。って、え、何コレ。罠? こんなの刺さったら間違いなく死ぬんですけど。

 しばらくして槍は地面に消えていきました。……はぁ?

 いや、なんというか、こんな罠のあるところを進むのは無理でしょ。これ無理でしょ。流石にコレは罠とかを発見出来る才能を持った人が居ないと無理無理。絶対、無理。

 というわけで回れ右です。ここの攻略は別の方法を探しまーす。ま、まぁ、冒険者を追っかけてみようかなってだけで中に入ってみただけだしね。


 と、そこでチーチーと言った鳴き声が。まさかネズミ?


 そいつは空からやってきた。って蝙蝠だー。


 大きな青い蝙蝠が襲ってきた。仲間は見えないので一匹だけみたいだね。


 HAHAHA、初戦闘、初エンカウントですね。さあ、俺様の力を見せてやるぜ。


 まずはいつもの魔法から。


――[アイスボール]――


 氷の玉を青蝙蝠目掛けて飛ばす。ひらりと回避される。な、なんだと?

 そこで諦めずにどんどん氷の玉を作っては飛ばしていく。4個目で初ヒット。が、やはり薄く青い光を発して氷の玉が砕け散る。青蝙蝠にはまったく効いている様子がありません。いや、もうね、なんだコレ。魔法ってゴミなのか、ゴミなのか、そうなのか。って、そんなことを考えていたら青蝙蝠がこちらを齧り付こうと飛びかかってくる。糸を吐き高速移動で距離を取る。あ、あぶねぇ……。

 魔法が効かないと言うのならば、弓しかなかろう、なんですぜ。

 弓を構える。握りを持ち(一応一番上の手だけはドラ○もんの手みたいに親指部分だけ分かれているので握ることくらいは出来る)もう一方の一番上の手から伸ばした魔法糸で弦を引っ張る。そこに二番目の手から伸ばした魔法糸で矢を取り、つがえる。

 青蝙蝠の動きをよく見て……放つ。

 矢の勢いだけは良いが、やはりまっすぐ飛ばず青蝙蝠を擦るにとどめる。それでも少しはダメージを与えたのか矢が擦ったところから血ぽいものが出ている。うーん、やはり矢とか物理は効くのね。


 青蝙蝠はダメージを受けたことにびっくりしたのか、チーチーとネズミのような鳴き声を発して奥へと消えていった。


 ……ふぅ。これがゲームなら逃がしたことで経験値が入らなかった、ってトコなんだろうけど現実的には命拾いしたって感じです。もうね、今の状態で戦うとか無理だ。ホント、無理。


 とりあえずマイホームたる葉っぱに戻ろう。一応、次の行動も考えているしね。

16年1月22日サブタイトル変更

初戦闘 → 承

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ