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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
4  空舞う聖院攻略
295/999

4-52 空舞う聖院動力室

―1―


 さーって動力室を見て回りますか。何か重要なモノはあるかなー。といっても奥にある大きな砂時計みたいな謎の装置が、この『空舞う聖院』の動力なんだろうけどね。


 そして人の背丈よりも大きな砂時計の前には何処かで見たかのような台座があった。

「よし、壊すんだよ」

 ファット様がそんなことを言っているのだった。いやいや、壊さないんだよ。


「ここは私の出番なのです」

 14型さんが前に出てくる。あ、はい。お願いします。


 14型が台座の前に立つ。そして台座を叩く。

「アクセス」

 そのまま14型が何も無い空間をピアノでも弾いてるかのように激しく指で叩いていく。あれ? もしかしてホログラム的なキーボードでも表示されているのか? いや、でも、それなら何で見えないんだ? 『世界の壁』の時は見えたよな? あの時と、今、何が違うんだ?


「そこの考え無し、こちらに来るのです」

 14型さんがファットを呼ぶ。呼ばれたファットはキョロキョロと周りを見る。そしてキョウのおっちゃんの肩を叩く。

「あっちの変なのが呼んでるようよ」

 いやいや、ファットさんですからね、呼んでるのはファットさんですからね。


 キョウのおっちゃんがヤレヤレって感じで肩をすくめながら指を差す。

「そこの猫頭、早く来るのです」

 14型さんが改めてファットを呼び。それを聞いたファットさんは、おいおい本気かよって感じでミカンを……って、そういうのもういいから!

『ファット、頼む』

 俺が天啓を飛ばすと、仕方ないなぁって感じでやっと動き始めた。もうね、何この人、ちょっと面倒くさいですよねー。


 ファットが14型の元へ。

「その台座に触れるのです」

 ファットが台座に手を置く。

「では、後は私が補佐して方向を誘導します」

 まぁ、良くわかんないですけど、14型さんお願いします。




―2―


 14型とファットが何やら台座をぽちぽちと操作している。では、その間、俺は休憩してますかね。幾ら魔素が少ないって言っても0じゃないからね、少しでもMPを回復させないとね。と、そういえばジョアンは大丈夫か?

 見るとジョアンは利き腕を押さえて座り込んでいた。って、ヤバイじゃん。


――[ヒールレイン]――


 癒やしの雨がジョアンに降り注ぐ。しかし、ジョアンには効果が無いようだ。むむむ。


「旦那、多分だけど、もう一段階上の回復魔法じゃないと効かないと思うんだぜ」

 そうなのか? HPは回復しても状態異常が治らないって感じなんだろうか。しかし、これは、うーん。

『ジョアン』

 俺はジョアンに天啓を授ける。

「ら、ラン、僕なら大丈夫だ!」

 ジョアンが強がっているの、丸わかりだな。

『ジョアン、お前はここで待て』

「し、しかし!」

 いやいや、無理だよ。さすがにその状態で参戦されても、心配で戦いに集中できなくなっちゃうよ。

 ま、後はコラスだけだしね。それにヤツは見るからにひ弱そうだったもん。貧弱さんなんて俺らだけで余裕だからさ。


「よし、分かってきたぜー!」

 ファットが叫ぶ。いや、あのー、敵地で叫ぶのは止めて貰えませんかね。


「映すんだよ」

 その言葉と共にファットの前に小さなスクリーンが開き、制御室の映像が映し出された。


 映し出されたのは――疲れた表情で、ここにあるのと同じような台座に手を置く猫耳少女。首には茨が巻き付いた首輪がはめられており、そこから伸びたリードをコラスが握っていた。ちょ、首から血が出てるじゃん。

「リーン!」

 それを見たミカンが叫ぶ。


 いやいや、何してるの、何してくれちゃってるの。人に痛そうな首輪をつけるとか駄目だろ。無しだろ。


 その時、室内に何かを叩き付けるような鈍い音が響いた。見るとファットが台座に拳を思いっきり叩き付けていた。

「許せねぇよ」

 ファットが唸り声を上げながら声を漏らす。


「怒る前に手を動かすのです」

「ああ、よ」

 14型の言葉にファットが台座に置いた手を動かす。


 そして、部屋の隅に円形の光が灯った。アレは、転送の時の光と似てるな。

「こっからだとよ、いくら俺様でも、制御を奪えたのはまだ少しってトコよ」

「いくら、この考え無しが、あちらより上位の管理者権限を持っていても、外からでは、コントロールを奪えたのは――まだ1割というところなのです」

 14型さんが補足説明してくれる。あ、割と普通に喋れるんですね。

「必ず、俺が奪い取るからよ、ヤツから――守ってやってくれよ」

「そこから制御室に転送出来るのです」

 14型が部屋の隅に生まれた円形の光を指差す。ああ、やっぱり転送装置だったか。


 となると、ついに決戦か。


 俺はキョウのおっちゃんとミカンの顔を見る。二人が頷く。うん、行くぜ。

 そしてジョアンの顔を見る。ジョアンは留守番な。


「マスター、私も行きたいのですが、未熟者を補佐する必要があるために、まだここを離れることが出来ないのです」

 ああ、分かってるよ。預けている弓と矢は……要らないか。真紅もあるし、相手はただのおっさんだもんな。ささっと倒してくるぜ。

「す、すまないラン。勝利を信じている!」

 ああ、分かってるよ。ジョアンも耐えてくれ。これが終わったら帝都の治癒術士を訪ねようぜ。

「ヤツの周囲の見えない壁は消してるよ。俺様の妹分を頼んだぜ」

 おうさ。って、猫耳少女はファット様の妹分なのか? よーわからん関係だな。ま、まぁ、気にしたら負けか。


 さ、行くぜ。

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