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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
4  空舞う聖院攻略
282/999

4-40 開戦準備

―1―


 じゃ、ゆっくりと待ちますか。


 いつまで待たないと駄目かも分からないし、日数がかかりそうだし、ふむ……。何だろう、ダンジョン攻略とか魔石集めとかしてたら駄目ですかねー。


 大人しくしてないと駄目ですかねー。いやでもさ、これからコラスたちと戦闘になるじゃないですか、戦力強化って必要ですよね。つまり、俺のコレは必要な行動なワケなのです。


 ということで何処か手近な小迷宮でも紹介してくれませんかね? あ、いっそ冒険者ギルドに行けば教えて貰えるのかな? 駄目かな、駄目かな?


「ラン殿、焦る気持ちは分かる。私も同じ気持ちだ。しかし、ここは大人しく待つしかない」

 えー、ミカンちゃん、マジで? というかだね、ミカンよ、最近、口調がまた硬くなってない?


 はぁ、仕方ない、自己鍛錬をしますか。よし、何処か丁度良い場所が無いか、ちょっと聞いてみよう。

『何処か訓練に使えそうな場所はあるだろうか?』

「星獣様、鍛錬でしたら屋上が空いていますよ」

 召し使いさんが教えてくれる。なるほどな。船の上だもんね、土地も限られているから、建物の屋上が庭代わりになっているのか。


 じゃ、屋上でスキルの熟練度を上げたり、魔法の熟練度を上げたりしますかね。よし、上がろう、すぐ上がろう。のしのし。


 屋上に上がると、そこにはジョアンが居た。む、俺よりも先に上がっているとは……何処で抜かされた?

「ら、ランか」

 うむ。ジョアン君もやることが無いから鍛錬かな。


 屋上はそこそこの広さがあるようだ。謎の植物が植えられているし、ホント、庭って感じだね。元宰相の建物は結構大きいので、他の家の屋上も見えるが、こちらと同じように木が生えていたり、花壇があったりと色とりどりだ。ホント、屋上を庭にしているんだな。


 じゃ、早速。


――《スパイラルチャージ》――


 真紅が赤い唸りを上げて螺旋を描く。うんうん、いい感じ、いい感じ。

「ラン! ランも技を磨きに来たのか!」

 そうだよ。

「な、なら一緒にやらないか」

 ほほう、そうきたか。


 じゃ、俺の攻撃を受け切れたらジョアンの勝ちな! いくぜ。




―2―


 2日後、キョウのおっちゃんと元将軍が戻ってきた。何を相談していたのか知らないけどさ、そんなに時間掛けてて大丈夫なのかね?

「ランの旦那、戻ってきたんだぜ」

 はいはい、で、どうなったのかね。


「この元将軍さんが、軍部は掌握したんだぜ」

 へ? そんな簡単に掌握できるのかよ。いや、元だから、こそか。でも掌握してどうするんだ? 恐ろしいことになるのか?

「軍を再編成し、リガシアへ攻めることになる」

 元将軍さまのお言葉。あ、そうなんですね。というか、攻めるのか。


「ランの旦那、俺らも一緒に行くんだぜ」

 一緒に行くのか。ま、俺の手で倒したいし、魔石を取り戻したいからね。一緒に行けるのはチャンスか。


「じゃ、早速行くんだぜ」

 へ? もう行くの?

「急ぐんだぜ」

 あ、はい。


「いや、急いだ所で、まだ船の準備が出来ていないのだがな」

 あ、そうなんですね。


 それでも、すぐに出発するらしく皆が準備を始める。ま、俺の場合は準備といっても何もないからね。


「では行くんだぜ」

 キョウのおっちゃんと元将軍に案内され、船着き場へ。


 船着き場には屋根の無い小さな船が止まっていた。ああ、まずは、この小さな船で移動するのね。

 小さな船に乗り込むと元将軍が船を操縦し始めた。あ、元将軍が自ら操縦するのか。お偉いさん自らとは、恐れ多いですな。


 小さな船が動き海を進んでいく。さあ、何処に行くのかな?




―3―


 船が進むと、それよりも大きな船が海上に集まっているのが見えてきた。おお、これが準備している船かな。ちょっと豪華な軍船に見えるよね。

「まだまだ集まってくる予定なんだぜ」

 そうなのか。これは圧巻だな。


 小さな船が進み、軍船の横に並ぶ。その時だった。


 何処かで見た船が、凄い勢いでこちらへと進んでくる。お、おい、そのままだと軍船にぶつかるんだぜ。

 何処かで見た船は急旋回し、軍船の横につける。そして、中から何処かで見た猫人族が現れた。

「ここで俺様の登場だよ!」

 何やら陽気に笑っている。さらに船の中から他の猫人族たちも現れる。


 陽気に笑っている猫人族の背後では海賊の歌が大合唱だ。もうね、この人たちは自由だなぁ。

『ファット!』

 俺は天啓を飛ばす。


「おー、おー、そこに見えるのは見覚えのある芋虫魔獣の姿。チャンプじゃないかよ!」

 おうおう、何でファットたちがここに来ているんだ?


「お前ら、これからアレと一戦やらかすんだよな? 俺様も混ぜろよ」

 いやまぁ、ファットたちが来てくれたら心強いけどさ、何で来たんだ? ファットが来てくれる理由がわからない。だって、何のメリットもないじゃないか。


「あ、あの猫人族は……いや、まさか」

 元将軍も驚いている。ファットは有名人なのかな?


「俺様は、ちょーっとばかし、あそこに野暮用があるのよ」

 なるほどな。よく分からないが用事があるなら仕方ないな。


「ふむ。わかった、そこの猫人族の若者よ。一緒に来るがいい」

 元将軍が叫ぶ。

「ふふん、そのつもりよ!」

 ファットたちがかぎ爪のついたロープを軍船に飛ばし、そのまま乗り移る。うーん、器用に乗り移るなぁ。これも海賊流なのだろうか。


 俺たちは用意された梯子を伝って、軍船に乗り移る。あ、乗ってきた小さな船に誰かが降りてる。この軍船に乗っている兵隊さんかな? 紐で小さな船と軍船を結びつけているようだけど、それでその船を運ぶのかな。


「さて、他の船が集まるまで船室で軍議としよう」

 軍議か。えーっと、俺には縁が薄そうですが、俺も参加なんですかねー。


「ランの旦那も参加なんだぜ。これからの方針を説明するんだぜ」

 はーい、了解です。

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