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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
4  空舞う聖院攻略
265/999

4-24 島に上陸

―1―


 島に到着。うーん、南国にでもありそうなグニャグニャとした木々が生い茂った島だな。これだけ森が深いと、この島に潜伏している賊に、到着した俺たちの存在がバレることは無さそうだ。


 死に体のキョウのおっちゃんをジョアンが支えて船を下りる。キョウのおっちゃんよ、帰りもあるんだぜ、大丈夫? あー、ジョアンの方が背が低いから引き摺られているな……うん、まぁ、大丈夫でしょう。


 最後にコウさんが船を下りる。

「俺ってば種族的に水が苦手だから怖かったヨ」

 コウさんがそんなことを言っている。いや、あんた蜥蜴じゃないの? 蜥蜴って水場に生息して水が得意ってイメージなんだけどなぁ。


 で、進むべき場所は分かっているんでしょうか。


「この森の奥に、別荘が……いや、建物があるヨ。そこに引き籠もってるヨ」

 今、別荘って言ったよね。何だろう、誰かの別荘を占拠されてしまった系なんだろうか。


 ま、行き先が分かってるなら大丈夫か。さあ、進むぜ、どんどん進むぜ。


 森の中を慎重に進んでいると魔獣という線が見えた。む、そういえば魔獣が居るって言ってたな。となると魔獣が発生して別荘を放棄した感じかなぁ。


 俺は手を挙げ、キョウのおっちゃんとジョアンに合図を送る。俺よりも早く魔獣の存在に気付いていたらしいキョウのおっちゃんは、俺の合図に頷いて応える。さあ、何が出てくるかな。


 短剣を構えたキョウのおっちゃんがゆっくりと歩を進める。そこへ飛びかかってくる魔獣。


――《ガーディアン》――


「僕が!」

 ジョアンとキョウのおっちゃんの場所が一瞬で入れ替わる。そのまま、飛びかかってきた魔獣の噛みつきを宝櫃の盾で受け止める。大きな牙で噛み潰そうと体重をかけてくる巨大な虎。何だ? サーベルタイガーか?

「任せて!」

 ジョアンが盾ごと牙虎を地面に叩き付ける。やるじゃん。


 牙虎が脳震盪を起こしたのかフラフラとしながら、それでもゆっくりと立ち上がる。そのまま倒すぜ!

「小僧良くやったヨ、後は任せて欲しいヨ」

 コウさんが、その言葉と共に手に持った鉄鞭を牙虎に叩き付ける。牙虎が猫のような弱々しい悲鳴を上げる。さらに何度も何度も鉄鞭を叩き付ける。その度に牙虎が悲鳴を上げ、皮がめくれ肉が抉られボロボロになっていく。うわ、恐ろしい武器だな。


 そして牙虎は動かなくなった。叩き殺すとか恐ろしいなぁ。さて経験値、経験値。首に提げたステータスプレート(金)を確認してみたが経験値もMSPも増えていなかった。ま、まさか、パーティに入っていないコウさんが倒したから、何も取得出来なかったのか? うわ、コレ、俺が倒した方が良かったじゃん! つ、次は頑張ろう。


「僕は小僧じゃない!」

 何故かジョアンがコウさんに、そんなことを言っている。コウさんもジョアンの剣幕に苦笑しているような感じだ。まぁ、表情は分からないんだけどね。って、ジョアン君よ、君、キョウのおっちゃんからは、いつも小僧扱いされてるじゃん。それでも文句を言ったことないじゃん。急にどうしたの?


「すまないヨ。でも、俺はお前の名前を知らないから仕方ないヨ」

 何だろう、無表情なのにニヤニヤと嗤っているのが、伝わってくる喋り方だ。

「僕はジョアンだ!」

 そうだね。

「おお、そうか、よろしく頼むヨ」

 コウさんが手に持った血だらけの鉄鞭を振り払い肩に乗せる。おっし、うんじゃ進みますか。




―2―


 森を進むと少し開け、大きな屋敷が見えてくる。コウさんが手で俺たちに静かにと合図を送ってくる。

 屋敷の前には一人の武装した猫人族が見える。アレが手練れの猫人族かな? って、あれ? 眼帯をしていない。違うのか?

 キョウのおっちゃんがこちらに寄ってくる。

「どうするんだぜ」

 うーん、どうしよう。俺が弓で瞬殺ってのも一つの手だけど、それは余りやりたくないんだよなぁ。

「どうしたヨ」

 コウさんもこちらに来る。内緒話ですな。

「俺が行って、叩き潰すヨ」

 いや、あの、さっきの牙虎みたいなグロい攻撃を猫型とはいえ人に行うのはなぁ。

「俺が行って気絶させてくるんだぜ」

 あ、キョウのおっちゃん、お願いします。ジョアンや14型だと無理だろうからね、仕方ないね。


 キョウのおっちゃんが森から飛び出す。おお、素早い。それに静かだ。最初からキョウのおっちゃんを見ていないと見失ってしまいそうな速度だな。

 キョウのおっちゃんが一瞬で猫人族の背後に回り、首を捻る。ゴキリって音がしそうな感じだ。って、ちょっと待ってよ、殺しちゃった? 気絶……だよね?

 キョウのおっちゃんがこちらへ手を挙げている。あ、大丈夫って合図かな。


 俺たちも森から出る。


 その瞬間だった。


 斬撃が走り、キョウのおっちゃんが吹き飛ばされる。飛ぶ斬撃だと?


 飛び出すように屋敷から一人の猫人族が現れる。

「何者だ!」

 叫ぶ、長巻きを手にした着物姿のポニーテール猫娘。目には刀の鍔によって作られた眼帯。この子が例の手練れか。


 ……。


 って、あれ? 何処かで見たことがあるような。か、か、鑑定だ、こういう時の鑑定スキルだ。


【名前:ミカン・シラアイ・フウキョウ】

【種族:猫人族】


 ミカンさんじゃん!

10月13日修正

死に体状態 → 死に体

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