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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
4  空舞う聖院攻略
256/999

4-15 ホーシア

―1―


「あれがホーシアよ」

 甲板にファットの声が響く。


 そこにあるのは巨大な船だった。大きな船と船がくっつき一つの船となっている。


 船が国なのか。元からあった大きな船の上で生活していたのか、船の上で生活するうちに改装を繰り返して船が大きくなったのか、何にせよ、ちょっと心躍る光景だよね。

「にゃあ」

 頭の上の羽猫も陽気に鳴いている。ああ、お前、起きてたのか。


「横に付けるぜ!」

 ファットの声と共にネウシス号が傾く。お、おい、ちょっと待ってくれよ。俺、甲板にいるんだからな。


 ネウシス号がそのまま大きく旋回し、大きな波しぶきを立てながらホーシアを形作っている巨大な船に乗り付ける。

「さあ、気付かれる前に乗り込め!」

 乗り込めって、俺は別に何かを盗みに来た訳じゃないんだけどなぁ。


 ハッチが開いて青い顔のキョウのおっちゃん、それにジョアン、14型が現れる。キョウのおっちゃん、起きてきて大丈夫なのか?

「旦那、ホーシアに入るんだぜ」

 入るのか。って、これって密入国になるんじゃね? あー、でも海賊だから、こういう入国の仕方も当然か。普通に国へ入るワケにもいかないもんな。


 キョウのおっちゃんが肩にかけていたかぎ爪のついたロープを巨大な船へと投げる。巨大な船の縁にかぎ爪ロープが引っかかる。ほー、届くもんなんだね。

 キョウのおっちゃんがロープを引っ張り、確認する。コレを上るのか。ちょっと、俺の体型だと難しいんじゃないかなー。


「旦那、先に行くぜ」

 キョウのおっちゃんがロープをスイスイと上っていく。おー、器用だね。ついさっきまで船酔いで気絶していた人とは思えないな。まるで、このネウシス号から早く逃げたいみたいだな。

 ジョアンもロープを握り、見てて不安になりそうなくらいにゆっくりとだが上っていく。おいおい、大丈夫か?

 さて、14型は? うん、俺の後ろに控えたままだね。何で上らないんですかね。ま、14型を待ってても仕方ないし、行きますか。


 さーって、俺は飛翔で行くとしましょう。


「行くんだな」

 ハッチが開きファットが出てくる。うお、ファットが出てきて大丈夫なの? 今、誰がネウシス号を操作しているの? ファットしか操作出来ないんだよね?

「ホーシアは、まだ大変な状態だと思うぜ。気をつけろよ」

 へ? 大変なの? 何か問題が起こっているのか? ま、助言は有り難くいただいておくぜ。

 それだけを言いに来たのか、ファットはすぐにハッチの中へ。

『ファット、ここまで有り難う。助かった』

 ファットが俺の天啓に片手をあげて応える。さ、じゃあ、改めて行きますか!


――《飛翔》――




―2―


 飛翔で飛び上がり、ホーシアへ。

「旦那は空が飛べて羨ましいんだぜ」

 そうだろう、そうだろう。

「マスターは空を飛ぶことしか取り柄がないのですから、当然なのです」

 14型が俺の背後から、そんなことを言ってくる。って、おい、いつの間に俺の後ろに? どうやってここまで来たんだ? 考えたら負けかなぁ。


「旦那、では行くんだぜ」

 キョウのおっちゃんが歩いて行く。お、何処か行くべき場所が決まっているのかな?


 キョウのおっちゃんがそこらを歩いている人に道を聞きながら進んでいく。あー、目的地はあっても、場所までは知らないのね。ま、俺にアテがあるワケでも無いしついて行きますか。


 しかしまぁ、こうして見ると船の上とは思えないな。神国風の建物ってことだけどさ、何だろう、これ普通に洋風の建物だよね。にしても建物と道しか見えないな。これだと、ちょっとした迷路みたいだよ。


 やがて大きな建物が見えてくる。

「旦那、ついたんだぜ。この国の宰相の家だ」

 へ? 宰相? 宰相って国で一番偉い人だよね。いや、王様の方が偉いのか? うーん、分からない。

 大きな家だけど、庭とかはないんだな。そうだよな、船の上だもん。土地が限られているからな。


 キョウのおっちゃんが家の扉を叩く。ノッカーとかはないんだね。にしても、キョウのおっちゃんよ、それで大丈夫なのか?


 しばらく待っていると扉が開き前掛けをした猫人族の女性が現れる。

「どなたですよ」

 うーん、召使いさんとか、そんな感じなのかな?

「帝都からの使いで来たんだぜ。宰相に会わせて欲しい」

 キョウのおっちゃんの言葉に女性が首をかしげる。

「はぁ、ええですよ。でも、今は宰相じゃないですよ」

 その女性の言葉にキョウのおっちゃんが固まる。うん? どういうこと?


 女性に案内され屋敷の中へ。何かを見せるとか、そんなことをしなくても信用して上げて貰えるのか。これ、大丈夫なのか?


 奥の部屋には一人の普人族の老人が居た。

「ふむ、お客さんかね」

 はーい、お爺ちゃんお客様ですよーって感じだね。

「俺はキョウ、帝都の使いで来たんだぜ」

 帝都の使いで通じるのかな。何だろう、消防署の方から来ました的なニュアンスを感じる。

「ほうほう」

 うお、一瞬、お爺ちゃんの目が光った気がしたよ。

「ここが宰相の家だって聞いて来たんだが、さっき、そこの人は違うって言ってたんだぜ。どういうことか説明して欲しいんだぜ」

「ふむ。どうやら海の魔獣による封鎖は解けたか」

 うん? 魔獣の封鎖と関係があるの?


「それでは新しい客人に説明するかね」

 あ、はい。お願いします。

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