2-19 成長
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ギルドで完了札を貰い、換金所へ。
クエスト報酬:640円+2560円=3200円
レイグラス(光草):1280円
巨大蜘蛛の糸:15本×1280円=19200円
GP:+6 (総計9)
合計:23680円
今回の報酬は銀貨4枚と銅貨5です。
なんというか一気に稼げるようになった気がします。これなら普通に生活出来るよ、出来るよッ!
ジャイアントスパイダーの魔石も売っていれば更に銀貨1枚と銅貨7枚になっていたのか……。いや、売らないけどね。
と、そのまま鍛冶屋へ。だってさ手入れが、とか散々言われたんだもん。気になるじゃん。
『すまぬ、武器を見て貰いたいのだが』
奥からハンマーを持ったホワイトさんが出てくる。
「お前なぁ、昨日の今日だぞ? そうそう武器が痛むかよぅ。まぁ見せてみろ」
相変わらずの犬の頭である。俺からするとホワイトさんの方が噛みそうで怖いんだよね。でも周りの人から見たら俺の方が噛みそうに見えるのかな。
とまぁ、ホワイトさんに鉄の槍を渡す。
「お、お前、一体、どんな使い方したんだ!? 武器の耐久力が半分以下になってるじゃないか」
耐久力?
「たくよぅ。直しとくけど2560円貰っとくからな」
もしかして今回もスパイラルチャージを使いまくったけど、それが武器を痛めるのか? ま、まぁ、威力高そうだもんなぁ。
ホワイトさんが直してくれた鉄の槍は新品同様になっていた。うーむ、さすが異世界。謎の技術だ。
-2-
宿に戻ってきた。
『女将、食事を貰いたい。後、お湯をもらっても良いかな?』
「お湯はすぐにいるかい? それなら一緒に持って行くよ」
『ああ、それでお願いしたい』
さあ、部屋に行きますか。
部屋に戻りステータスプレート(黒)を見ると文字が浮かんでいた。
【レベルアップですぜ】
【あんたも せいちょう したもんだ】
いやいやいや、なんだ、コレ。どっかで見たことあるような文章だけど、文章だけどッ! これ、なんかのゲームであったメッセージだよね。職場の後輩がこのゲームシリーズを好きで、リメイクなんて存在しなかった、4は無かったとか言ってたのを憶えているよ! これも翻訳の性能で表示がこうなっているのか? わかんないなぁ。
とまぁ、そんなどうでも良いことは置いといてステータスプレート(黒)に触れてみる。
【レベルアップ!!】
【ボーナスポイント8をふりわけてください!】
筋力補正:4
体力補正:2
敏捷補正:0
器用補正:1
精神補正:1
う、うーん。元々の補正値から考えると8も増やせるということは、レベルが1上がるごとにかなり強く出来るってことなのか?
それとも今回だけが8で次は少ないというのも考えられるなぁ。後はボーナスポイントに振れ幅があるとか……うーむ。
振り分けて自分の身体にどれだけ変化が起こるかも未知数だし、悩むなぁ。
「入っても良いかい?」
悩んでいると女将さんがやって来た。
「今日は珍しい物が手に入ったからね」
そう言って女将さんが持ってきたのはいつものスープと焼き魚だった。うお!? 魚だとッ! ソイソースだ、ソイソースを用意するんだ。
「じゃあ、お湯と食事は置いとくよ」
そう言って女将さんは帰っていった。にしても魚かぁ。森の中だし、珍しいのかな。自分はまだ見たことが無いけど川くらいはありそうなもんだけどなぁ。
とりあえず器用に骨を分けたりとかも出来ないので丸ごとバリバリ戴くことにする。うーん、ちょっと泥臭い。やっぱり川魚なのかなぁ。
と、レベルアップを考えないと。これ、どうやって振り分けるのかな。とりあえず敏捷補正の項目に触れてみる。数値が1になった。ぽぽぽんと連打してみる。数字は8になった。なるほど、こうやって増やすのね。と、いったん戻してちゃんと振り分けようかな。
うん? 戻し方が分からないぞ? ちょ、ちょっと、待った。もしかしてやっちまった? これ敏捷補正に8振り分けたことで決定されてしまった?
猛省しよう。振り分けた数値が戻せない。ゲーム的な感覚で決定を押すまでは戻せると勝手に思い込んでしまっていた……。決定なんて項目ないのにね! つ、次のレベルアップの時は慎重に振り分けを決めよう。
後悔し続けても仕方が無いので補正の効果を確認してみよう。と、とりあえず歩いてみる。
うん? 身動きが、動作が軽いッ! 今まで海の中を歩いているような遅さだったのが陸上に上がったくらいの差があるぞ。普通に人並みの速度になってます。うおおお、これで他の人に待って貰ったり、置いて行かれたりしなくて済むぞー。って8も振り分けて人並みってのも、どうなんでしょうかねぇ。8も振り分けて人並み……か。と、と言うことは次に8振り分けたら人並み以上か! うおお、試してみたい。凄い試してみたい。
NEXTは、っと。114/2000になっていた。次は2000でレベルアップかぁ。まだ、このくらいなら直ぐに上げられそうだ。
これは明日も蜘蛛退治ですね。
あ、そうだ。魔石も砕いておこう。砕いて浮遊を2にしないとね。
魔石を握りつぶす。身体の中に何かが吸収された感覚。ステータスプレート(黒)を見るとMSPが1増えていた。良し、がんがん潰そう。
そして浮遊のスキルをレベル2に。
【<浮遊>スキルがレベルアップ】
【<浮遊>スキル2:任意のモノを二つまで浮かすことが出来る】
NEXTは30に増えていた。よし、これで後70も稼げば転移も習得出来るな。フウロウの里に行くまでに転移を憶えることが目標かな。蜘蛛35匹かぁ。二日ほど頑張ればいけそうだね。
うーん、任意のモノを浮かす、か。自分以外を浮かせられるようになったってことだよね。
試しに小金貨を2枚浮かせてみた。小金貨は浮いている。浮くだけで飛ばせたりは出来ない。しかも相変わらずMP消費は洒落にならない勢いだ。これ、何かの役に立つのか? うーむ、疑問である。
さて後は、っと。本日、最後の仕事である水魔法の習得だな。その為の桶に入ったお湯。
桶の中に水を生み出せば、床を水に濡らすことも無いッ!
さぁ、頑張ろうか。イメージ、イメージ。シロネさんが作ったサモンアクアを自分でも出来るようにイメージする。ちびっ娘はイメージが大事って言っていたもんな。
それから暫く頑張ってみたが水が生まれることは無かった。仕方ないので服を洗って寝ることにした。あー、こんなことなら洗剤を買っておけば良かった。いや、そもそも衣類用洗剤があるのか? ま、まぁ、今度、露店をのぞいてみよう。
明日も魔法が発現するように頑張りますか。