表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
4  空舞う聖院攻略
246/999

4-6  いきぬき

―1―


「奇岩島は朝と夜か、旦那、どうするんだぜ」

 あ、行くのは確定なんですね。俺的には今日の夜でも余裕なんだけどなぁ。まぁ、ジョアンも居るし、町についてすぐの――その日に小迷宮行きってのもかわいそうか。


『明日の朝で、どうだろうか?』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんとジョアンが頷く。

「俺はそれで構わないんだぜ」

「僕も!」

 うん、ま、ゆっくりが一番だよね。

「で、まだ夜まで時間があるんだぜ。旦那は町でも観光するといいと思うんだぜ」

 か、観光ねぇ。でもさ、俺ってば、こんな姿だしなぁ。町中を歩いて奇異な目で見られるのも面白くないじゃん。そ、そうだ、フードを目深にかぶって体全身を隠して歩けば……。


 ふっ……。


 そんなの駄目だよねー。何というか、そういう逃げって、負けた気がするよね。俺は俺のまま、生きるぞー!


 と言うことで、このまま出かけますか。さ、一緒に行く人はいるかな?

「僕はこの盾の練習をする」

 ジョアン君は真面目だなー。じゃ、俺一人で行きますか。


 俺が部屋を出ると、その後ろへ控えるように14型がついてくる。あ、14型はついてくるのね。

「にゃ」

 頭の上の羽猫も一声鳴き、自分も居るぞ、とアピールしてくる。はいはい、分かってますよ。ところで、君の新しいスキルはどんな感じなのかね。早く使って欲しいなぁ。


 と、そうだ! 今日の夜ってさ、キョウのおっちゃんの取った部屋で皆と一緒に寝るんだよな? 色々と調べ物をしたり、スキルや魔法の練習をしたりしようと思ったけど、止めといた方がいいのか? あー、俺だけ転移で自宅に戻るとか駄目ですかね。


 そんなコトを考えながら町中へ。




―2―


 町の中には沢山の露店がたっていた。お、露店が見えるな。何を売っているのかなー。


 俺は、ふらふらと露店へと足を向ける。


 俺の姿を見た周囲の町人たちが驚き、声を上げる。あー、あー、危ない魔獣じゃないよ。僕、悪い芋虫じゃ無いから。

 夜のクロークをばっさばっさと靡かせ――潮風が身にしみるぜ――14型を背後に控えさせ、風を切って歩いている俺はさながら魔王みたいだ! ま、頭の上に羽猫を乗せているから、締まらないんだけどね!


 驚いている人々の波を縫うように、俺が露店を見ながら歩いていると、小さな女の子がとてとて歩いてきた。そのまま、俺の元へ。

「芋虫さん、こんにちは」

 おー、ちゃんと挨拶出来るのか、偉いな。

『お嬢さん、こんにちは』

 俺は女の子に天啓を授ける。


「お姫さまの言っていたとおり、芋虫さんは悪い魔獣じゃないんだね」

 そうだよ。俺は善良な星獣様だぜ。で、そのお姫さまとは誰なのかね。

「のじゃー、のじゃーって、お姫さま。船がなくてこまっていたの」

 ふむ。俺も困っているんだけどね。


 小さな女の子の親と思われる男が女の子をかばうように俺の前に。

「あ、あんた、魔獣……なのか?」

 その言葉を聞いた14型が俺の前に出ようとする。俺は、それを手だけで止める。うーん、魔獣って言っていいのかなぁ。

『星獣様だ』

「そ、そうか」

 俺の天啓に、男がなんとなくという感じで相づちを打つ。

「悪い魔獣じゃないんだな?」

 そうだってば。

『会話が出来て、理解しあえる、姿形が違えどそれで何の問題がある?』

 俺は周囲の皆に天啓を授ける。そうだよ、会話出来るんだもん、わかり合えるってばよ。


 周囲の人々が先程とは違う意味で驚いた声をあげ、すぐに静かになる。

「そ、そうだよな」

 ぽつりとそんな言葉がこぼれ落ちる。

「ま、まぁ、こんなのが居てもいいよな」

 俺をこんな扱いは酷いと思います。


 だいぶ、穏やかな空気が流れるようになった露店を歩いて行く。うむ、色々とあるな、あるよな。何故か14型が勝手に色々と食材を選び、買い物をしていく。ちょ、おま、それ、俺のお金。ま、まぁ、食事は必要だから、食材を買っていくのは正解なのか。


 俺も露店を覗く。うーん、俺が欲しい物は……ないな。変わった魚や果物、干し肉なども見えるが、その辺は適当に14型が選んで買っているしなぁ。


 他に何か面白いモノが無いかなぁ、と適当に町中をぶらぶらと歩いて見る。どうも、このキャラの港町には冒険者ギルドが無いようだ。あー、あれば、ここでステータスプレートを金へと更新したんだけどなぁ。仕方ない、仕方ない。

 冒険者ギルドを探して無駄に時間を使ってしまったな。これなら素直に転移で帝都へ戻っても良かったよね。

 船舶の方のギルドが幅を利かせているから冒険者ギルドが無いのかな?


 あ、そうだ、せっかくの自由行動だ。町の外に出て転移のチェックをしておこう。


――《転移チェック4》――


 町の外に出て転移のチェックを入れる。はい、完了っと。これで、すぐにこの港町に戻ってくることが出来るな。


 じゃ、宿に戻りますか。


 そのまま宿に戻り一泊する。うん、部屋は凄い狭かった。転移で自宅に戻れば良かったよ。


 さあて、明日の朝は奇岩島に行きますか。

9月24日追加

冒険者ギルドを探して無駄に時間を使ってしまったな。これなら素直に転移で帝都へ戻っても良かったよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ