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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
233/999

3-117 世界の壁第二隔壁

―1―


 巨大なムカデが水面を跳ねる。来る!


 大きな水しぶきと共に巨大ムカデがこちらへと突っ込んでくる。体当たりかよ!

「僕が!」

 ジョアンが大盾を構え、そのまま前に出る。ムカデの突進が迫る。大盾とムカデがぶつかり、ジョアンが大盾ごと吹き飛ばされる。おいおい大丈夫か? ジョアンの大盾によってムカデは軌道を逸らされ、そのまま宙へと舞い上がる。

 吹き飛ばされていたジョアンが体勢を立て直し、また前へと駆けてくる。

「まだだ!」

 そのまま大盾を構える。


 宙に舞い上がった巨大ムカデが一回転し、体を曲げて再度こちらへと突っ込んでくる。ジョアンが大盾にて巨大ムカデの突進を受ける。その勢いにまたも吹き飛ばされそうになる。

「俺も居るんだぜ!」

 キョウのおっちゃんがジョアンを支える。二人の力によって突進を逸らされた巨大なムカデが宙に舞い上がる。


 次は俺だな!


――《飛翔》――


 宙へと上がった巨大ムカデを追いかける。からのッ!


――《スパイラルチャージ》――


 真紅が螺旋を纏い、宙へと裏返り腹を向けている巨大ムカデを貫く。削れ削れ。真紅に貫かれた巨大ムカデは、そのまま体を捻り、離れ、水の中へと落ちていく。逃げた?


 逃げた巨大ムカデは水の中から尻尾だけを出し、その尻尾を水面に叩き付ける。何度も何度も叩き付ける。うん? 何をしているんだ?

 巨大ムカデが尻尾を叩き付けた水面が凍っていく。ほへ? 何で凍るんだ?


 そして凍った塊を叩き砕いて、こちらへと散弾のように飛ばしてきた。視界に赤い点が次々と灯る。ちょ、ヤバイ!

 ジョアンが大盾を構え、キョウのおっちゃんがその背後に隠れる。


――《集中》――


 集中からの!


――《百花繚乱》――


 次々と飛んでくる氷の粒を高速の突きによって砕いていく。ああ、こういう時にこそ、鋼の槍が欲しかった。2本とも壊してしまったのは残念だった。後で買いに行かないとな。

 ジョアンは背後に隠れたキョウのおっちゃんを守るように大盾を動かしていく。自身の体をも盾にして守る。銀色の鎧が氷の粒を防ぐ。お、さすがに硬いね。

 俺は何粒か体に貰う。しかし、致命傷になりそうな赤い点は全て撃ち落としたので、それほどのダメージにはなっていない。


――[ヒールレイン]――


 体を盾にしたジョアンと俺に癒やしの雨が降り注ぐ。ああ、生き返る。って、MPをガンガン使いすぎか?


 再度、巨大ムカデが尻尾を水面に叩き付け始める。それに合わせて凍っていく水面。ちょ、もうかよ! って、いや、これは攻撃のチャンスか?

 俺はキョウのおっちゃんを見る。

『今なら!』

 キョウのおっちゃんが頷き、叩き付けている尻尾目掛けて小さな鉄の塊を飛ばす。コレ、指弾か? 攻撃を受け、叩き付けている尻尾の動きが若干ゆっくりになる。


――《魔法糸》――


 水面に浮かび始めた氷の塊へ魔法糸を飛ばす。そして、そのまま魔法糸を縮め、氷の塊の上に。からのッ!

 真紅を氷に突き刺し、棒高跳びの要領で空へ。真紅、踏み台にして、すまん。


――《魔法糸》――


 更に魔法糸を使い、真紅を回収する。


 そしてッ!


――《飛翔撃》――


 真紅と共に光り輝く三角錐となって巨大ムカデの尻尾を貫く。真紅によって巨大ムカデの尻尾が千切れ飛ぶ。

 更に巨大ムカデを貫いた反動を利用して元の場所へと着地する。


――《魔法糸》――


 そこから魔法糸を使い陸地へと戻る。うーん、結構、いいダメージを与えたんじゃないか?


「旦那、まだなんだぜ!」

 巨大ムカデが水中から顔を覗かせ、その大きな顎をギチギチとかき鳴らす。ふん、同じような口なら俺だって持ってるぜ! がちがちがち。




―2―


 巨大ムカデがギチギチと歯を鳴らしている間に、周囲の魔素を取り込みMPを回復させる。うーん、通路より少ないな。強力な魔獣が居るところだと魔素が少ないのか?

 水中から顔を出した巨大ムカデが背を大きく反らし、その勢いのまま、水のブレスを吐き出す。ちょ、ブレスを吐くムカデとか有りかよ!


――[アイスウォール]――


 氷の壁を張り、水のブレスを防ぐ。よし、ちゃんと防ぐことが出来たぞ。


 巨大ムカデが氷の壁に水のブレスを吐き続ける。ふん、それで壊すつもりかよ!

『14型!』

 俺の天啓に、背後に控えていた14型がコンポジットボウを取り出す。俺は14型から、それを受け取り構える。

 最初は鉄の矢だな。


――《チャージアロー》――


 鉄の矢に光が集まっていく。

「旦那、そろそろ壁が壊れそうなんだぜ。任せたんだぜ」

 氷の壁が壊れる。

「僕が!」

 ジョアンが大盾を構え、水のブレスを受ける。

「そして、俺なんだぜ! 小僧、ちょっと借りるんだぜ!」

 キョウのおっちゃんがジョアンを踏み台にして高く飛ぶ。そして、そこから2本の短剣を巨大ムカデの目に投げ放つ。

 目に短剣を受けた巨大ムカデが痛みに体をくねらせ水のブレスを止める。


 俺は巨大ムカデの咥内へと光り輝く鉄の矢を放つ。すぐに次の矢を番え、更に放つ。


 鉄の矢が巨大ムカデの歯を砕き、口へと刺さる。そして、その後を追うように放たれた魔法の真銀の矢が巨大ムカデを貫いた。矢は巨大ムカデを貫通し、そのまま光となって消えた。

 巨大ムカデの巨体が、そのまま崩れ落ち、大きな水柱を立てる。


 勝ったか?


「終わったと思うんだぜ」

 ジョアンも大きなため息を吐いている。ジョアンの持っていた大盾は水のブレスによって粉々になっていた。あぶな、もうちょっと遅かったらやばかったのか?


 巨大ムカデが動く気配はない。ああ、勝ったか。


 にしても、思ったよりは楽勝だったな。

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