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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
232/999

3-116 世界の壁第二隔壁

―1―


 塔の頂上にて野営を開始する。と言っても食事の用意をして寝る場所を作るだけなんだけどね。

 キョウのおっちゃんとジョアンも食事の用意を始める。さすがに夜食は各自が用意しているようだ。なるほど、昼は食べず、朝と夜で済ます感じなのかな。確かに日中の活動がメインの冒険者がお昼休みや食事に時間を割くのは勿体ない気がするもんな。


 キョウのおっちゃんが小さな四角い固形物を取り出し、それに火を付ける。ああ、暖を取るのか。そういえば、この迷宮って結構寒いもんな。

 迷宮の中だと薪になりそうな枝があるワケでも無いし暖を取るのも大変だ。いや、それ以前に迷宮内で火を使って大丈夫なのか? いや、でも、キョウのおっちゃんがやっていることなんだから、多分、大丈夫なんだろう。

 火を付け終わったキョウのおっちゃんは何かの団子みたいなモノを、ジョアンは謎の果物のような物を取り出して食べ始める。うーむ、魔法のポーチみたいなモノがあるから、誰がどれくらい物を持っているか分からないんだよなぁ。手ぶらなように見えて、色々持っているもんな。皆がどれくらい準備をしているのか予想が出来ないんだぜ。

 俺の食事は何だろう。今回、14型が作ったのはトウモロコシと魚のスープだな。にしても魚にトウモロコシって感じのメニューが多いな。もしゃもしゃ。


「素材が少ないのです。素材がもっとあって、本来の私ならば、もっと色々な料理が作れるはずなのです」

 いや、そうは言うがね、14型さんよ。少ない素材で美味しい物を作るのが料理人魂ってもんじゃないのかね。まぁ、作って貰っている身分で偉そうなことは言わないけどね。言わないからね!


 キョウのおっちゃんとジョアンは耐寒のマントの前を閉じ、持ってきていた毛布に包まる。2人とも座ったまま寝るのか――疲れが残りそうだな。にしても、毛布かぁ、それだけで大丈夫なのか。

『14型、火の番を頼む』

 14型なら睡眠を取る必要が無いもんね。頼みます。この寒さだと命に関わるからね、ホント、頼むからね。

「仕方ないですね。この、14型が、しっかりと見ておきましょう」

 いや、見ているだけとか、そういうギャグは要らないからね。ちゃんと火が消えないように頼むよ。

「いや、旦那、燃料を足しておくから夜の間に消えることは無いと思うんだぜ」

 そう言ってキョウのおっちゃんが四角い固形物を火の中に投げ入れる。ふむ、夜の間燃え続けるとか便利な道具だな。

「これで私もゆっくり眠れるのです」

 って、14型、結局、お前寝てたのかよ。




―2―


 肌寒さに目が覚める。目の前の火は消えており、固形物の燃えかすだけが残っていた。ああ、迷宮の中だったか。

 えーっと、二人は?


 キョウのおっちゃんとジョアンはすでに起きており、朝食を取っていた。おおう、早いね。

「旦那、起きたんなら、出発するんだぜ」

 ああ、そうだな。にしても、君らは少しは疲れが取れたのかね。寒いし、横になれないし、と結構キツかったと思うんだけどな。

「ふん、これくらいで何とかなるものか。母との修行の方がもっと大変だ!」

 おおう、そうか。キョウのおっちゃんは、こういうの慣れているだろうから心配していなかったけど、一番慣れてなさそうなジョアンも大丈夫だったか。

 俺もこの世界に来て、こういうのには慣れちゃったしなぁ。慣れって怖いね。


『では行くか』

 俺の天啓に2人が頷く。まずは下に転送しますか。


『ジョアンとキョウ殿、えー、それに14型、台座の近くへ』

 みんなに台座の近くへ集まって貰う。じゃ、行きますよ。


 台座の絵に触れる。すぐに景色が変わる。狭い部屋に転送されるのは変わらないな。昨日は、ここで青手長に襲われたんだが、さすがに復活しているとかは――無いな。良かった良かった。じゃあ、塔の地下室へ移動しますよ。


 もう一度台座の絵に触れる。


 地下室に到着です。


 さあ、開いた扉の先を探索するのです。


 開いた道を進んでいく。道はどんどん狭くなっていく。む、これ、歩くのも窮屈になりそうな感じだぞ。こうも狭いと隊列を変えるのすら難しそうだ。


 狭い通路を黙々と進んでいくとやがて横に広い部屋に出た。目の前には大きな門。門のためだけの部屋って感じだな。ああ、コレはアレか、ボス戦だな。間違いない。

「旦那、この先に、何か居ると思うんだぜ」

 俺もそう思うんだぜ。

「僕が開ける!」

 ジョアンが声を上げる。

「ああ、頼むんだぜ」

 アレ? こういうのってキョウのおっちゃんが開けるんじゃないの?

「いや、盾役に開けて貰うんだぜ。小僧、何が出てきてもすぐに防げるように構えておくんだぜ」

「ふん、僕を誰だと思っているんだ!」

 ジョアンが盾を構え、慎重に扉を開けていく。さあ、何が出るかな。


 扉の中は大きな広間だった。広間の殆どが水槽のような水たまりになっており、それを囲むように端側に通路が作られていた。まるで室内プールだな。


 そしてプールの中から巨大なムカデが現れた。ムカデが大きな口をギチギチと鳴らす。な、水棲のムカデだと。コイツが、この迷宮のボスか!

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