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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
228/999

3-112 世界の壁第二隔壁

―1―


 休憩大事。俺一人だと、黙々進んでしまうから、休憩のことを忘れてしまう――仲間が居るとそういうことも気付かせてくれるね。


 うん、大事大事。


 14型が食事の用意を始める。階段に寄りかかって食事か……。学校とかを思い出すな。


 メイドセットからフライパンを取り出し、魚を焼き始める。いや、火はどうしているんだよ。なんでフライパンがじゅうじゅう言い始めているんだよ。だから火はどうしているんだ、おかしいだろ。こ、これも14型の謎力(なぞちから)だと言うのか……。

 そのまま3匹の魚を焼き上げ、取り出した謎野菜を盛って完成である。小っこい羽猫は謎野菜だけをもしゃもしゃと食している。じゃ、食事にしますか。

 焼けた魚をサイドアーム・ナラカで直接掴み、そのまま口に入れる。もしゃもしゃ、ばりばり。もしゃもしゃ……。


 うん。


 うん、うん。


 熱い!


 熱い、熱い。口の中が焼けそうだ。なんだ、コレ。外側はキレイな焼き色だけど、中がマグマみたいになっているぞ。14型、何をしやがったんだ。

 謎の焼き魚にキョウのおっちゃんの箸がのびる。ヤバイッ!

『待て!』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんの箸が止まる。

「どうしたんだぜ?」

 そのまま食べるのは危険だッ!

『切り分けながら、ゆっくり冷まして食べるといい』

 14型の謎調理の犠牲になるのは俺一人で充分だぜ!


 はぁはぁ、焼け死ぬかと思った。


 食事が終わり、そのまま休憩をする。


『他の八大迷宮もこんな感じなのか?』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんが首をかしげる。

「他ってのが、どうかは分からないが、ここの迷宮は変わっていると思うんだぜ」

 だよなー。世界樹も大きかったし、凄く広かった。大って付くのは伊達じゃないよね。小迷宮も大きい気がするけど、八大迷宮を探索した後では、ああ、小だったんだって感じになるもんね。

「ぼ、僕も……」

 あー、ジョアンよ、疲れているなら無理に話に参加しようとしなくても良いぞ。

「こんな感じの迷宮は北にもあるって聞いているんだぜ」

 ほー、北にもあるのか。

「あっちは海ばかりだから、海の中にあるらしいんだぜ」

 ほー、海の中か。そっちも、そのうち攻略に行きたいなぁ。


「さ、そろそろ休憩は終わりなんだぜ。出発するんだぜ」

 あ、はい。そうだな、ちゃちゃっと登り切っちゃいますか。




―2―


 つづら折りになった階段を上り続けると頂上が見えてきた。や、やっと終わりか。単調さに死ぬかと思ったんだぜ。これ天井があるから、転移も使えないしさ、戻るのも、また来るのも、大変だな。うーん、考えたくないなぁ。


 頂上に登り切ると、そこは吹き抜けになっていた。


 登り切った先自体は左右に壁のある小さな部屋のような造りだ。しかし、目の前、俺の見ている先は吹き抜けになった大きな空間が広がっていた。


 そんな、くりぬかれた大きな吹き抜けの真ん中に塔が立っている。今まで上ってきた分が、全部、吹き抜けになっているのか? これ、落ちたら確実に死ぬな。


 と、中央の塔に渡る方法が無いぞ? これ、どうやって塔に渡るんだ?


「旦那、これを見て欲しいんだぜ」

 キョウのおっちゃんが呼んでいる方を見ると、壁に横線が引かれていた。ん? なんだコレ。横線は縦に8本あるな。

「旦那、この線の横は、スイッチになっているみたいなんだぜ」

 見ると線の横にはエレベーターにあるような四角いボタンが付いている。うん、それは俺も気付いたんだよ。が、それも気になるけど、もっと気になるモノが……。


 この頂上部分の横壁には左側に横線とスイッチが、そして右側の壁には隠し扉って線がのびていた。これ、俺だから気付いたけどさ、世界樹の外に出る部分にあった隠し扉と同じ感じだよね。

 俺は隠し扉に近づき調べてみる。うーん、壁にスイッチのたぐいは見えないな。世界樹の時みたいに順番にスイッチを押すとかではないのか……。

「旦那、そっちには何もないんだぜ?」

 キョウのおっちゃんでも気付かないような隠し扉か。うーん、やはり反対側の横線が、この隠し扉を開けるためのスイッチなのかな。


 よし、押してみよう!

『キョウ殿、そちらのスイッチを押してみよう』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんが頷く。

「わかったんだぜ。で、どれから押すんだぜ」

 そこはキョウのおっちゃんの勘に任せるんだぜ。

「上から順番に押してみるんだぜ」


 キョウのおっちゃんが一番上のスイッチを押すと、大きな音が、何かを放出するかのような大きな音が聞こえてきた。うん? ま、まさか!


 俺は慌てて吹き抜けへと走る。


 音は吹き抜けの下の方から聞こえる。これは間違いない!


『このまま待つぞ』


 しばらく待っていると、下の方に水が溜まっているのが見えた。水かさはどんどん増えていく。長い時間をかけて水が吹き抜け一杯に溜まる。

 なるほど、縦に8個のスイッチ……、これ、どう考えても水位を調節するスイッチだよね。もしかして水位を調節しながら迷宮を探索しろってコトなのか?

 ゲームではよくある仕組みだけどさ、現実だと、大掛かりでダイナミックな動きは感動するけどさ、凄い時間が掛かってやってられないんですが……。


「旦那、危ない!」

 キョウのおっちゃんの声。え? 考え事をしていて……。

「僕が!」

 ジョアンが大盾を構えて俺の前に立つ。


 俺の立っている場所まで増えた水の中から何かが口を出し、そこから水の球を飛ばしていた。

 ジョアンが水の球を大盾で防ぐ。でも、危険感知が働かなかったってことは、そこまで驚異じゃなかったってことだよね。でも、ありがとさんなんだぜ!


 さあて、ここでやっと魔獣との戦闘か。

9月8日修正

「旦那、この線、スイッチになっているみたいなんだぜ」 → 「旦那、この線の横はスイッチになっているみたいなんだぜ」 見ると線の横にはエレベーターにあるような四角いボタンが付いている。

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