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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
227/999

3-111 世界の壁第二隔壁

―1―


 作りかけの我が家の地下室に戻り、14型の作った食事を食べて、その食事に対して味の修正案を出し、そのまま眠る。うむ、充実した一日だったなぁ。


 って、アレ? 今回の迷宮攻略って儲けが何も出ていない? 出てないよね。赤字じゃないか! うわあ、換金出来そうな物を何も取ってないぞ。手に入れたのって14型が食べてしまった力のパーツくらいじゃないか……。


 はぁ……。門の中はお金になりそうなモノがあるといいなぁ。って、発想が完全に盗掘者じゃないか。いかんなぁ。


 しょんぼりとしながら眠るのです。はぁ、ショックだ……。


 いつものように朝早く目が覚める。そのまま、地下室を出て、建築ギルドの方々の作業を見ながら技の練習をする。スキルは使えば使うだけ身に馴染むからね。特にスキルの再使用時間の把握は重要だからね。仕方ないね。黙々と作業を繰り返すのです。もくもく。


 14型と小っこい羽猫が見守っている中、朝練を行っているとキョウのおっちゃんとジョアンがやって来た。

「朝から精が出るんだぜ」

 癖なんだぜ。

「むぅ。それが秘訣か……」

 健康の秘訣なんだぜ。


『では、行くか』

 俺の天啓に二人が頷く。じゃ、14型は俺に掴まってください。


――《転移》――


 空高く舞い上がり、世界の壁前に着地。うーん、一瞬で移動できるのは楽でいい。ホント、俺ってば規格外だ。


「相変わらずキツいんだぜ……」

 キョウのおっちゃんの顔色が悪い。あ、これ、吐きそうなんじゃね?


 俺たちが世界の壁前に着地すると竜馬車の竜が駆け寄ってきた。おうおう、元気にしていたかね。って、アレ? 竜馬車の車部分が無いじゃん。昨日はジョアンに任せていたから気付かなかったけど竜だけになっているぞ。どういうことだ?

「旦那、ソレなんだぜ」

 何がソレなんだぜ?

「俺のところに入った情報だと、大量の水が世界の壁から溢れたって聞いているんだぜ」

 うん? うんんー? えーっと、なんのことかなー?

「旦那、昨日教えてくれてもいいと思うんだぜ。現場に居るのに後から聞いた俺が間抜けみたいなんだぜ」

 えーっと、アレだ。そ、そうか、キョウのおっちゃん達の居た場所からだと門が開いて水が放出されたのは見えなかったか……。いや、あのね、イイワケさせてください。てっきり知っているモノだと思っていたのよ。

「ま、まさか! 車が無くなっていたのも!」

 そ、そっかー。って、あの水の中、よく、この竜は無事だったな。

「それは俺のなか……、いや、この竜は水くらいなら平気なんだぜ。さすがに車部分付きだと危なかっただろうが、上手く外れたみたいなんだぜ」

 なるほどなー。だから車部分が無かったのかー。って、もしかして、俺が悪いことになっている流れ? 廃村だからセーフ、みたいに安易に考えていた俺が間違っていたのか?

「旦那、出来れば教えて欲しかったんだぜ」

 キョウのおっちゃんから再度同じ事を言われる。うん、よっぽど一言言ってやろうって気分だったんだろうね。

『すまぬ』

 うん、報告って大事だよな。それに仲間なんだもんな。これは俺が悪い。


「次は頼むんだぜ」

 らじゃ!


 じゃ、じゃあ、気を取り直して門の中に進みますか。




―2―


 巨大な門をくぐって中へと進む。


 ワクワクするなぁ。


 俺たちが進むと、それに合わせて明かりが灯っていく。うお、謎の装置! なんというか、歩く度に明かりが灯っていく通路とか浪漫だよね。ただ、これだけ巨大だと何が灯っているのか見えないな。


 まったく魔獣が現れる気配が無いな。扉の先には熱烈な歓迎が! って感じでボス戦かと思ったんだけどなぁ。うーん、黙々進みますか。


 長い長い通路を進む。にしても、こんなにも巨大とか、この世界の壁を作ったのは巨人族だろうか。世界樹といい、これだけ大きな建築物が多いのって、作ったのが巨人族だからって考えたら納得出来そうだ。


 ああ、しかし、まだまだ通路が続くのか、長いな……。これ、壁を突き抜けて世界の果てまで行っちゃうんじゃないか。


 黙々。


 ただ、明かりが灯っていくだけのを通路を黙々と歩く。皆、無言である。こうも長く続くとさ、最初の感動も薄れて喋る気力がなくなっちゃうよね。


 そして、現れる階段。


 ま、また階段か。階段かぁ……。


 周りの皆を見ると14型以外の全員がうんざりとした顔をしていた。いや、ホント、これは心に来るよね。ホント、心を折りに来ているよね。


 つづら折りになった階段を上がっていく。


 先が見えない。


 魔獣も現れない。


 宝箱も無い。


 あるのは階段。


 なんだろうね、この迷宮。もうちょっと変化が欲しいよね。


「旦那……」

 前を歩いているキョウのおっちゃんの声を聞いて、俺は気付き、振り返る。俺のかなり後ろを――下の方にジョアンが居た。足取りは重い。


 しまった、黙々と進むことに夢中でジョアンのことが頭から消えていた。

『休憩にしよう』

 俺は階段の途中に寄りかかる。まぁ、階段で休憩するのも悪くないよな。


 にしても、そろそろ変化が欲しいなぁ。

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