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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
225/999

3-109 世界の壁外壁

―1―


 なんでキョウのおっちゃんは、クロアさんが帰るのを引き留めるんだ?

「んんー。なるほど、そういうことですか」

 ん? どういうこと?

「別にあんたを信用してないわけじゃないんだぜ。ただ、不安要素は消しておきたいだけなんだぜ」

「ごもっともです」

 ごもっともなんだ。

「あんたがわざとトラップを踏むとは言わないが、間違えて発動させてしまったら、俺たちが帰れなくなって困るんだぜ」

 あー、そういうことか。俺は、いざとなったら転移で帰ることが出来るからさ、その辺の可能性を全く考えていなかったよ。別に罠が発動して道が途絶えても転移で戻って一からスタートすればいいだけだもんね。そっか、そっか、そういうことか。


「んんー。それなら一緒に帰るのですか?」

 あれ? 俺らも帰る方向の話になるの? 不安なら見張れってコトかなー。

「何かやっていたようだけど、あんたの用事は、まだ終わったように見えないんだぜ」

 キョウのおっちゃんの言葉にクロアさんは首を振る。

「戻れるなら戻るのです。ここを上るには何か他の場所にある装置の起動が必要なようですから」

 へ? ああ、行き止まりじゃなかったのか。

「あの木は魔法に見えたんだぜ?」

 キョウのおっちゃん、質問攻めだなー。何か疑っているのかな?

「んんー。サモントレントの魔法です。ここを上るために木材を集めていたのです。後は焚き火用ですか」

 ああ、なるほど。ここを上るための仕掛けは他の場所にある。しかし、そこに行きたくても通路が水に沈んでしまって帰れない。仕方ないので木を生み出して上るためのはしごを作っていたって感じか。いや、なんというか、凄く気の長い話で……。

「この『世界の壁』への進入は小さな櫓からですか?」

 唐突に何だ? もちろんそうだけど。

「んんー。まだ残っていたんですか。アレを作ったのは私です。ここでも同じように上ろうと思っていたんです」

 へ? なんとまぁ、アレを作ったのはクロアさんだったのか。そう言えば村が燃えているのに櫓だけ残っているなんておかしいもんな。つまり、村の崩壊よりも後だったってことか。


 それにしても壁ねぇ。

『ここを上がればいいのか?』

 俺の天啓にクロアさんが驚いた顔をする。

「んんー。何か方法があるのですか?」

 あるぞ、あるぞ。何と3通りもある。


 魔法糸で上る。

 浮遊で上る。

 飛翔で上る。


 そして、小っこい羽猫に上って貰う。それくらい働け、ってパターンだな!


 完璧じゃないか。まぁ、素早く、そして簡単に上れる飛翔スキルを使うのが一番かな。ということでさっそく上ってみますか。


――《飛翔》――


 飛翔スキルを使い、壁沿いに高速で上っていく。おおう、早い早い。一瞬で出っ張りまで到達っと。

 にしても結構な距離があったな。これをクロアさんは、魔法で生み出した木から梯子を作って地道に上ろうと考えていたのか? 頭がおかしいと思うのです。そんなのまともにやっていたら気が狂うような作業だよ。うんうん。


 さってと、出っ張りの上に着地しますか。




―2―


 壁から伸びた大きな出っ張りに着地する。

 出っ張りの横には折りたたまれた梯子があった。そして中央部分には、回転して動かす大きなレバーがあった。おー、もしかしてコレを動かすと梯子が降りるのかな。いや、でも、ここってさ、他に道がないぞ。上ったはいいけど、道がないんですけど。コレ、クロアさんがもし上っていたら、上った後に絶望で倒れていたんじゃないか。

 ちょっと酷いよね。それとも隠し通路でもあるんだろうか。


 そのまま出っ張りの上から周囲を見回してみる。おー、壁が綺麗に下の方まで見えるな。いやぁ、ホント高い。高層ビルの窓ふきのアルバイトをやっている気分だ。こんな何もない出っ張りの上に立っているとか、風が吹いたら洒落にならないことになりそうだ。俺が高所恐怖症だったなら発狂しているような高さだよ。


 んー。他に何も無いか。ホント、見晴らしがいいだけだな。


 仕方ない、レバーを回しますか。ぐーる、ぐーるとな。


 レバーを動かす。気分は謎の機械を動かしている奴隷です。って、これ、結構硬いぞ。一人で動かすの、凄く大変なんですけど……。しまったなぁ、ジョアンくらいは一緒にあがってもらうべきだったか。

 時間をかけ、硬いレバーを回していく。


 レバーが一回転したところで大きな音が響き渡る。何だ、何だ? 巨大な歯車がかみ合っているような機械的な音が響いてるぞ。そこの梯子が降りるだけじゃないのか? いや、というか、梯子、まったく動いてないよね。


 音は下からか?


 俺は出っ張りの縁に立ち、下を見る。


 すると……。


 下側の壁が、割れていた。


 壁に大きな線が入り、二つに分かれていく。ま、まさか、門か?


 世界の壁に線が入り、門として別れていく。そして門の中から大量の水があふれ出す。まさか、今見えている水が門を開けているのか? 大掛かり過ぎる。毎回、開ける度に大量の水が出るのか? こんなの村が残っていたとしても水に沈んでしまっていたんじゃないか? 無茶苦茶だよ。


 と、と、とりあえずキョウのおっちゃん達のところに戻るか。

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