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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
222/999

3-106 世界の壁外壁

―1―


 来た道を戻り、最初に入った壁の中へ。こっちは階段が水に沈んでいたんだよな。さあて、どうなっているかな。予想通りなら……さてはて。


――《ライト》――


 薄暗い通路を小っこい羽猫の明かりを頼りに歩いて行く。おや、そういえば、ここって俺たちが倒した骨の残骸があったような――綺麗に消えているな。

 うーん、どういうことだ?


 も、もしかして違う通路とか? 推理小説なんかでよくある似た部屋トリックみたいなコトが起きている――いや、そんなことなんてあり得ないよな。何かの力で骨の残骸が消えたとみるべきか。うーん、暇な時にでも検証したいなぁ。まぁ、今回はパーティで来ているし、攻略を優先しないとね。


 しばらく進み階段に到着。

「旦那……」

 階段を見ると、水が全て消えていた。おっしゃ、予想通り。

『ああ、これで進めそうだな』

 驚くジョアンとキョウのおっちゃんを置いて、階段を降りていく。ふふふ、どうだね。こうも読みが当たると嬉しいなぁ。これで何も変わってなかったら、いや、考えまい。そんなの凄い恥ずかしいことになっていたもんね。


「だ、旦那。待って欲しいんだぜ。先頭を進むのは俺の仕事なんだぜ」

 あ、すいません。そういえば、キョウのおっちゃんは探求士に近いことが出来るんだったか。はい、先頭をお願いします。


 キョウのおっちゃんを先頭に通路を進んでいく。


 通路の造りは、やはり同じ感じなんだな。これで、こちらも箱があるだけで行き止まりだったなら――笑えないなぁ。


 水が引いた通路のちょうど真ん中辺りに線が見えた。そして壁側には見覚えのある四角い穴。これはアレだよね、うんアレだ。

『キョウ殿』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんが頷く。さすが、おっちゃん、気付いているか。

「小僧、動くんじゃないんだぜ」

 キョウのおっちゃんの言葉にジョアンが足を止める。

「な、なんだよ!」

 はいはい、罠があるからね。


 キョウのおっちゃんが、線の先辺りを調べる。俺は線が見えるから罠の回避もばっちり余裕だぜ。

『キョウ殿、その辺りにスイッチの罠があるようだ』

 ちゃんと伝えておかないとね。


 キョウのおっちゃんが調べ続ける。うーん、長いなぁ。俺には踏んだら発動する罠にしか見えないんだけどな。

 キョウのおっちゃんが懐から丸めた草のような物を取り出す。うん? そのまま丸めた草に火を付ける。おっちゃん、何やってるの?

「見えるか?」

 うん? お? 煙が上に……って、アレ? 煙の流れがおかしい?

「多分、この足下の見え見えのスイッチは囮だと思うんだぜ」

 な、なんだってー。

「多分、スイッチの上に何かあるんだぜ。乗り越えようとしたら発動すると思うんだぜ」

 なるほど。これ、俺みたいな線で見えるからと安心しているようなタイプはひっかかる罠だな。キョウのおっちゃんが居なかったら危なかったぜ。

「スイッチを踏まないように、その横を這って進めばいいと思うんだぜ」

 あ、はい。


 じゃ、進みますか。


 のっし、のっし、がちゃがちゃ。よじよじ、すすすすす、がちゃがちゃ。




―2―


 這って進み、トラップを通過。


 そのまましばらく進むとのぼり階段が現れた。降りて上るっと。なんというか、水が溜まるようにするためだけの通路だなぁ。


 階段を上りきった先には開いている金属の箱があった。アレ? これ、行き止まりにあったのと同じ箱だよね。こっちは開いているのか。

「下手に触らない方がいいと思うんだぜ」

 だねー。これで下手に触って罠が発動したら洒落にならないもんね。特に最悪なのがさっきの地下通路に水が張られるパターンだよなぁ。退路が断たれる!

 って、まぁ、そんなワケで無視して進みますか。


 そのまま通路をまっすぐ進む。って、コレ、まっすぐなのかどうなのか分からないな。まっすぐだとしたら、どんだけ壁が厚いんだって感じだよね。ちょっとずつ横に曲がってるとかありそう。


 しばらく進むと横向きの上り階段があり、階段を上がりきると、今度は左側に進む通路になっていた。左ってコトは壁の外側に進む感じだろうか。


 通路の先は予想通り壁の外だった。


 うーん、壁の外に出たのはいいけどさ、周囲に高い横壁が作られていて外が見えないな。まるで天井が空いているだけだよな、これ。これなら、ここも迷宮の中としか思えないな。まぁ、俺なら飛翔を使って乗り越えられそうだけどさ。

 で、また階段か。階段が多いなぁ。俺の体型だと上り下りってけっこうキツいんですけど、勘弁してくれませんかね。


 階段を上りきった踊り場には、たき火の跡があった。うん? 何だ、コレ。


 すぐにキョウのおっちゃんが調べる。

「結構、新しいんだぜ。俺たち以外に誰かが、この『世界の壁』に挑戦しているのかもしれないんだぜ」

 ほー。でもさ、その挑戦している人って何処から来たんだろうね。俺たちが来た道は水で通路が沈んでしまっていたワケだしさ。それとも罠が発動してしまって退路が断たれてしまった系なんだろうか。いやぁ、シロネさんでもあるまいし、そんな間抜けな人は居ないよね。


 ここから先も一本道なら、そのうち会えるか。うーん、友好的な人だといいなぁ。

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