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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
207/999

3-91  メイド

―1―


 なぞのロボメイドと共に地下室へと降りていく。うーむ、我が家に地下室があったのも驚きだが、こんなメイドロボが居たのも驚きだ。この地下室やメイドロボも、例の魔族の襲撃が無ければ見つからなかったのかも、と思うと感慨深いなぁ。いや、感慨深い内容か、これ?


 ホワイトランスもヒビが入った状態だし、鉄の矢の残数も心許ない状態だし……ま、様子を見るだけってことで本格的な探索は後日だな。


 地下室は薄暗かった。うーん、ぼんやりとは見えるけど、よくわからないな。よし、魔法のカンテラを灯すか。


――《ライト》――


 その時、頭の上からスキルの発動を感じた。な、まさか、小っこい羽猫? 頭の上の小っこい羽猫をサイドアーム・ナラカを使って降ろすと、その小っこい羽猫が光り輝いていた。も、もしかして小っこい羽猫の獲得したライトのスキルってコレか? まさか、攻撃用のスキルではなく、ただ、明かりを灯すだけのスキルだってことか? え? 本気ですか? はぁ、まぁ、魔石を使うカンテラを使わなくて良くなってラッキーと思うべきか。

「にゃあ」

 俺は小っこい羽猫を頭の上に乗せる。そこがお前の定位置だもんな。うん、ヘッドライトだぜ。

「ふぅ。マスターは便利な道具をお持ちですね」

 いやいや、道具じゃないからね。って、仲間? ペット? よく考えたら、この子って何になるんだろうな?


 小っこい羽猫をヘッドライト代わりに地下室を調べる。何だろう、木の樽が多いな。ワイン蔵みたいな感じだ。

「こちらです」

 メイドロボの後をついていく。と言ってもそれほど広くない地下室だ。すぐに部屋の角に突き当たる。

「な、入り口が消えています」

 うん。無いね。あるのは小さな石碑だけだ。

「私が眠っている間に何をしたのですか」

 メイドロボが聞いてくる。いや、俺は何もしてないんですけど。この地下室の存在自体を知らなかったんだぜ? 何か出来るわけが無いじゃないか。

「いえ、申し訳ありません。マスターを疑ったわけでは……私が、マスターを疑うなんてあり得ないです」

 あ、はい。


 にしても、これで探索終わりか。何だろう、またダンジョン探索スタートかな、と身構えていたのに拍子抜けだよ。




―2―


 余り広くも無い地下室を、もう少しだけ探索し、やはり何も無いという結論に落ち着く。うん、何も無いな。

「はい、やはりあの石碑を壊すしかないですね」

 え? やはりなの? というか、何故に壊す方向なの?


 小っこい羽猫が照らす小さな明かりの中、メイドさんがえっしゃおらっと腕を振り回し、石碑に殴りかかっていた。ちょ、素手で壊すのか。


 ぺちん。しかし、石碑はびくともしない。えーっと、確か、自己紹介では戦闘(バトル)メイドだったよね。これが、戦闘(バトル)メイドの実力か。


「うが、あう、まさか、こんなにも弱体化しているとは……」

 まさか、こんなにも駄目な子だったなんて。ロボメイドだから、怪力系かと思ったら駄目メイド系でしたか。はぁ、まぁ、こんなオチか。


 じゃ、寝ますか。元々はそのつもりで地下室に行く予定だったわけだしね。今日はもうおしまいっと。

『では、自分は休ませて貰う』

「え? あの、マスター? マスター?」

 俺は地下室の床にそのままごろんと寝転がる。うん、この格好だと芋虫の死骸みたいだね。他の人が見たら、死んでるって勘違いされそうだ。

 小さな羽猫をサイドアーム・ナラカでぽんと叩くと明かりが消える。あ、魔法の練習をしても良かったか。そういえばウォーターミラーの消費MPも確認したかったしなぁ。ま、それでも、それらは明日にまわそう。今日はもう休む気持ちになっちゃったもんね。

「って、あのマスター? マスター?」

 そういえば、このメイドロボを完全に信じて良かったんだろうか。このまま寝首を掻かれないって保証は無いんだよな。ま、小っこい羽猫もいるし、大丈夫かな。うん、考えすぎ考えすぎ。駄メイドぽいし、大丈夫でしょう。



 目が覚める。薄暗いな。今の時間は……っと、ああ、地下室だったな。頭の上で眠っている小さな羽猫をサイドアーム・ナラカでぽんと叩く。


「にゃ」


――《ライト》――


 跳ね起きた小さな羽猫がライトのスキルを発動させる。


 ……。


 って、うわッ!


 明るくなった地下室。ロボメイドの14型が直立不動の姿勢で俺を見下ろすように立っていた。こ、怖いんですけど。目を大きく開いたまま、能面のように無表情な顔で、そんな風に立たれると怖いんですけど……。

『じゅ、14型?』

 俺はロボメイドに天啓を飛ばしてみる。しかし、ロボメイドは動く気配がない。この14型が――ロボットでも天啓で会話が出来るのは確認済みだ。なら、なぜだ?

『じゅ、14型さん?』

 もう一度、天啓を授けてみる。

「うんあー」

 14型から、ちいさな声が漏れる。そういえば、この子、どうやって喋っているんだ? 発声するような代理器官があるんだろうか?

「う……、はっ?」

 14型の顔に表情が戻る。

「ね、寝てないですよ。私は睡眠を必要としませんから、寝てないですからね」

 ……。いや、嘘だろ。どう見ても、寝起きみたいなリアクションじゃないか。ちょっと、怖いと思ったけど、そうか、寝ていたのか。

『14型、眠る時は目を閉じてくれないか』

「いやいや、だから、寝ていませんからね」

 14型が心外だ、と言わんばかりの表情でこちらを睨んでいる。はぁ……、何だろうね、この子。


 と、さあて、今日はどうしようかな。


 まずは冒険者ギルドにて、戦争がどうなったのかの確認かな。その後は、ご飯を食べて、建築ギルドの方で家を建てる相談だな。後は転移でスイロウの里に移動して武器の手入れを……あー、その時に一緒にご飯にしてもいいか。よし、じゃあ、そういう方向で。


 じゃ、行ってきますか。

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