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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
200/999

3-85  銀の鷹

―1―


 ソード・アハトさんが前に出る。

「私たちが、ジジジ、魔族を受け持つとしよう。グリフォンは頼む」

 そう言うが早いかソード・アハトさん達、蟻人族の方々が武器を手に駆け出す。む、美味しいトコ取り? いや、一番、危険な部分を受け持ったと思うべきか。


「ランさん!」

『ああ』

 ウーラさんの呼びかけに俺は天啓で応える。さあて、俺たちは金と銀、どっちを相手にするべきかな。


「へぇ、僕を相手に分散するのか。クヒヒ、いいよ。乗ってやるよ。シルバー、ゴールド、お前たちは、あっちの芋虫とヒトモドキだ」


「ジジジ、魔族、随分と余裕があるようだな」

 ソード・アハトさんが4本の剣を抜く。おー、手が多いから、4本の手全てに武器を持つみたいな使い方も出来るのか。

「蟻か、そこの芋虫といい、ヒトモドキモドキだな!」

 モドキモドキとか、酷い言われようだ。

「ソード・アハトだ」

 ソード・アハトさんが4本の剣を突きつける。

「名前! 名前だと! ヒトモドキが! クヒヒヒヒ。いいだろう、僕はお前達に災厄を運ぶ白い風、ホワイトディザスター。僕の名前が聞けたことを感謝しながら死ね!」

 羽の生えた白い虎に乗った白髪の少女、ホワイトディザスターとソード・アハトさん達の戦いが始まる。


 俺たちの前にも金と銀のグリフォンが舞い降りる。って、俺の方側は銀か。悩む必要も無く、銀に決まってしまったな。

『イーラさん達は金色を頼む。こちらは銀を叩く』

 俺の天啓に皆が頷く。銀は俺とキョウのおっちゃん、ジョアン少年で。金はイーラさん、ウーラさん、エクシディオン少年で。


 さあ、ちゃっちゃと倒してソード・アハトさんの手助けに行くぞ!




―2―


「旦那、少年、これを飲むんだぜ」

 キョウのおっちゃんがポーチから小さな小瓶を取り出す。む? これから戦うって時に何かね?

「旦那にはアタックポーション、少年にはガードポーションなんだぜ」

 お、補助系のポーションか。有り難い。って、なんだか、キョウのおっちゃんって用意が凄くいいよなぁ。この世界ってポーション系って結構高いよね。とても、つい最近まで闘技場で奴隷をしていたとは思えないくらいに準備が良すぎるんですけど。どうやっているんだか。ホント、謎の人物なんだぜ! ま、ポーションはありがたく使わせて貰いますけどね!


 キョウのおっちゃんからポーションを受け取り、それを飲む。

「さすがに効果が高いのは用意できなかった……が、全然違うはずなんだぜ」

 おうよ。なんだか、体の奥底からじんわりと力が湧いてくるんだぜ。


 銀のグリフォンが翼をはためかせて力を溜めている。俺たちがポーションのやりとりを終えるのをご丁寧に待っていてくれたわけではない、か。あちらはあちらで攻撃の準備をしていたってワケか。


 視界が無数の赤い点に染まる。ちょ、のんびりし過ぎたか!


「ま、任せて!」

 ポーションを飲み捨てたジョアン少年が前に飛び出す。


 ジョアン少年が、俺の渡した樹星の大盾を構える。


――《シールドオーラ》――


 銀のグリフォンが無数の尖った羽を飛ばす。それら全てを大盾が防いでいく。ナイス、ジョアン。よっし、いくぜ!


――[アシッドウェポン]――


 ホワイトランスが黄色い酸液に覆われる。うお、毒々しいな。


――《集中》――


 集中すればッ!


――《飛翔》――


 効果タイミングを逃さないための集中。そこから飛翔で間合いを一気に詰める。地上に降りている今がチャンスだ!


 一気に間合いを詰めた飛翔の速度には反応し切れまい!


――《Wスパイラルチャージ》――


 真紅とホワイトランス、二つの螺旋が銀色のグリフォンを貫いていく。銀のグリフォンの硬い皮膚に傷が入っていく。貫け、貫けッ!


「キュイイイイィィ」

 銀のグリフォンが一鳴きし、その背の大きな翼を羽ばたかせる。それに併せて大きな風が舞い上がる。うお、うひぃ、吹き飛ばされる。


 巻き起こった風によって、俺の体は簡単に宙へ舞った。そして銀のグリフォンも空へ。って、逃がすか。


――《魔法糸》――


 吹き飛ばされた体勢のまま、すぐに銀のグリフォンへと魔法糸を飛ばす。俺がその体にくっつけた魔法糸をたぐり寄せるよりも早く、銀のグリフォンは遙か上空へと舞い上がっていた。へ?

 そして、そのまま急降下する。うおおおぉぉぉ、意識飛びそう。


――《浮遊》――


 地面に叩き付けられるよりも早く、魔法糸を解除し、浮遊で着地する。


 銀のグリフォンは、そのまま急旋回し空中へ。ああ、くそ、空に逃げられたか。




―3―


 銀のグリフォンがその鋭い爪を振りかざし、何度も、何度も、急降下攻撃を繰り返す。視界が真っ赤に染まる、その攻撃を、俺は避け、避けきれないモノはジョアンに受けてもらう。その威力に大盾を構えたジョアンは、何度も、何度も、吹き飛ばされそうになるが、それでも何とか、その全てを受けきっていた。おお、さすが聖騎士、頼りになる。と言っても、このままだと不味いな。ジョアンの負担が大きすぎる。


 まずは空中から落とさないと。

「旦那、弓を持っていたよな。それを持って待ってて欲しいんだぜ」

 キョウのおっちゃんの提案。む、何か、いいアイディアでも生まれた?

「まぁ、ちょっと見てて欲しいんだぜ」

 キョウのおっちゃんの、その言葉に、俺はコンポジットボウへと持ち替える。


 ここはチャージアローで行くべきか? いや、魔法の真銀の矢だな。


 魔法の真銀の矢を番える。


 再度、銀のグリフォンが急降下攻撃をしかけてくる。ジョアンがそれを大盾で受ける。が、耐えきれなくなったのか、大盾を弾かれ、そのまま吹き飛ばされる。ちょ、大丈夫か? 回復魔法を飛ばしておくべきか?


「か、回復は不要!」

 ジョアンからのまだ余力を残した声。ふう、無事か。


 ジョアンを吹き飛ばした銀のグリフォンがまたも空高くへと上昇していく。そして、その背にはキョウのおっちゃんが取り付いていた。って、いつの間に! キョウのおっちゃんってば、気付かれにくい隠密行動が得意だよなぁ。


 銀のグリフォンがキョウのおっちゃんを振り解こうと空中でイヤイヤとふらふらする。今がチャンスだ!


――[アシッドウェポン]――


 番えた魔法の真銀の矢が黄色い液体に覆われる。喰らえ!


 俺は銀のグリフォンの羽を目掛けて酸の矢を飛ばす。酸の矢は銀のグリフォンの翼を溶かし、突き抜け、光となって消えた。


 羽に穴の開いた銀のグリフォンが空中で姿勢を保てず、落下する。背にキョウのおっちゃんがぶら下がったまま、錐揉み降下だ。って、あのままだとキョウのおっちゃんが無事では済まないぞ。


――《集中》――


 集中してからのッ!


――《魔法糸》――


 タイミングを見計らい、キョウのおっちゃんに魔法糸を飛ばし、そのまま回収する。魔法糸ごと、こちらへと迫ってくるキョウのおっちゃん。って、これ、俺が受け取るべきなのか。うひぃ、野郎を受け止めるのは勘弁です。って、そうも言ってられないか。


 キョウのおっちゃんを受け止め、丁寧に降ろす。

「旦那、助かったんだぜ」

 はいはい。


 じゃ、落下した銀のグリフォンをぶっ潰しますか!


 俺、キョウのおっちゃん、ジョアン、3人で落下し目を回している銀のグリフォンを取り囲む。


 さあ、終わりだッ!


 各々が攻撃スキルを次々と叩き込む。気付き、高く飛び上がろうとした銀のグリフォンをスキルで叩き落とし、次々と攻撃を加えていく。逃がすかよッ!


 やがて銀のグリフォンは動かなくなった。よっし、まずは一体ッ!


 さあ、他はどうなっている?

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