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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略

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193/999

3-78  戦場へ

―1―


 ご飯を食べながら指示が降りるのを待つ。指示待ちなんだぜ。って、そうだ、ステータスプレートの確認をしていなかったな。はぁ、こういうのって気が付いた時に見とくべきだよなぁ。ここに来るまでの、のんびりと竜馬車に揺られている間にもさ、見る暇なんていくらでもあったのになぁ。ホント、この性格、直さないとな。


 って、お! レベルアップしてるじゃん。はぁ、ホント、もっと速く見ておくべきだったよ。


【レベルアップです】


 さーって、どう振り分けようかな。


【ボーナスポイント8】


 筋力補正:8 (6)

 体力補正:6 (6)

 敏捷補正:46(0)+8

 器用補正:10(4)

 精神補正:4 (0)


 お、補正の数値が倍になっている。ってことは戦士もレベル2になったのか。ちょっと嬉しいな。と言ってもこれから戦争だから、クラスは狩人に戻すんですけどね。さーって、どうしようかな。そうそう、人蟻に敏捷性で負けたのが悔しかったんですよね。同じ虫カテゴリーなのにね。ということで、ここは!


 筋力補正:8 (2)

 体力補正:6 (2)

 敏捷補正:54(4)+8

 器用補正:10(8)

 精神補正:4 (0)


 やっぱり敏捷をあげないとな。というか、ここまで来ると他をあげる気がしないんだよなぁ。どこまで上昇するかが見てみたくなるしね。ふむ、現状の敏捷補正は66か。まずは99まであげないとね。

 にしても次までは8000か。とりあえず今回もレベル×1000か。


 さ、レベルアップも済んで準備完了っと。では、ご飯をもしゃもしゃと食べて待ちますか。




―2―


 ご飯を食べ終わってキョウのおっちゃんと訓練をしていると招集がかかった。む、ついに始まるのか。


 キョウのおっちゃんと一緒に中央の開けた場所へ。そこには巨大な斧を背負ったアーラさんが居た。

「さて、これから軍による本日の攻撃が始まるらしい。私たちも横から好き勝手に突っ込むことになる。私が先陣を切る。遅れないように付いてこい!」

 アーラさんはそう言って手を振り上げる。うんじゃ、行きますか。


 アーラさんを先頭に冒険者達が駆けていく。いや、何というか、本当に好き勝手な感じなんだな。もっと戦術とかないのか?


「横から行くぞ!」


 魔獣の集団の横に回り込んでいく。俺も遅れないようにとその後をついていく。さすがにアーラさんはAランクだけあって走る速度が速い。こういう場合、物語とかだと「ついていくのがやっとだよ」なーんて語っちゃう場面だよね。が、これは――俺の方が微妙に速いな。いやぁ、Aランクの冒険者よりも速く動けるとか、ちょっと優越感を感じちゃうなぁ。鈍くさい芋虫の魔獣がAランクの冒険者よりも素早く動いているんですよ。いやぁ、たいしたことじゃないんですけどね。俺の方が速いとか、ふふふ。まぁ、目立つのも嫌だから追い越さないけどね。うーむ、先程、敏捷補正をあげた成果が出ているな。うむうむ、満足じゃ。


 横目に軍と魔獣の戦闘を見ながら併走していく。お、最初は弓で攻撃するんだな。軍隊の前衛が大量の矢の雨を降らしている。しかし、その全てが魔獣達を覆っている風の膜のようなモノに跳ね返されていた。

「ウィンドプロテクションの魔法だな。あの規模に範囲を拡大しているとは。何度見ても恐ろしい力だ」

 いつの間にか追いついていたアーラさんが説明をしてくれる。いや、彼女の独り言なのかな。にしてもアレ、魔法なのか。飛び道具を防ぐ風魔法とか、そんな感じなのかな。魔獣側には魔法を使える、しかも驚異的なレベルの魔法使いが居るってことか。ふーむ。俺もあんな魔法を使いたいなぁ。


 軍の方は弓兵が後退し、前衛が前に出ていた。おお、盾チームかな。にしても魔法は飛ばないんだな。もっと魔法でガンガンやり合うのかと思ったよ。


「向こうもぶつかり合いになったようだ! 私たちもこのまま突っ込む。ある程度、掻き回したら撤退するぞ! 皆、無理はするなよ」

 アーラさんの速度が上がる。ほう、まだ本気じゃなかったのか。ま、そ、それでも俺の方が速いけどね、速いけどね!


 目の前に迫ってくる、魔獣の集団。うじゃうじゃ居やがる。犬みたいなのやらゴブリンもどきや――もうね、数が多すぎる! 線の先の名前を見ても重なりすぎて何が何やらだよ。


「まずは突入口を作る!」


 アーラさんが背負った巨大な斧を外し、手に持つ。にしてもでっかい斧だな、刃が1メートルくらいはあるぞ。全長2メートルクラスの斧とか、まずどうやって作ったんだって聞きたくなるよ。しかも、その斧を片手で持つとか、おかしいだろ。アーラさんって結構スレンダーな感じに見えるんだけど、あの小手の下や服の下はむきむきなのか。ちょっと想像したくないなぁ。


 アーラさんは手に持った斧をそのまま魔獣の集団へと投げつけた。


 巨大な斧がぐるぐると周り魔獣の命を刈り取っていく。魔獣をスライスしながら斧が飛んでいく――酷い光景だ。うわ、俺、あっち側じゃなくて良かった。


「突っ込め!」


 アーラさんが切り開いた道に冒険者が突っ込んでいく。って、俺もぼーっと見ていないで突っ込まないと駄目か。


 アーラさんが腕をくいっと曲げると、それに合わせるように斧が魔獣の集団から上に飛び出した。そしてそのまま空中を舞って手元に戻ってくる。それ、何かのスキルですか? それとも武器の特性? 何にせよ、恐ろしいな。


 アーラさんが戻ってきた巨大な斧を手に周囲の魔獣を斬り刻みながら歩いて行く。歩く度に魔獣の死体が増えていく。


 なんだコレ、蹂躙じゃないか。もうね、この人、一人で大丈夫なんじゃね? 全部任せてもいいんじゃね? 俺らって必要か? ウーラさんやグレイさんの戦いを見た時もレベルが違うって思ったけどさ。今の俺なら、俺の方が凄いかも、って思うくらいにはなったんだよな。なんだろう、それが霞む。ああ、言いたくないけど思っちゃうよな。


 これがAランク冒険者の実力か……。


 って、この言葉は俺が言われたい方なのに! ま、まぁ、いいさ。そのうち、俺の方がもっと強くなってやるもんね。って、今は戦いに集中しないと。ああ、あれだけ刈り取ったのに、それでも周り何処も魔獣だらけだ……。

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[一言] 速いだけで攻撃が軽いと散々言われてたのに敏捷をあげるんすねえ
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