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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
185/999

3-70  再探索

―1―


「だ、旦那、本気で言ってるのかなんだぜ?」

 いや、本気なんですけど。だ、駄目かなぁ?

『蟻退治と言っても、巣の奥、女王蟻の退治だ』

 説明が悪かったかな? ちゃーんと大物退治ですぜ。

「いやいや、今の時間からだと、着いたら夕方、攻略後は夜なんだぜ?」

 あー、確かに。時間のことを考えていなかったなぁ。

「夜になれば門も閉じられてしまうから、外で野宿コースなんだぜ?」

 なるほどなー。確かにそれは困った。となると……うん、しゃーない、俺一人で行くか。

『わかった。自分一人で行くことにする』

「いやいや、旦那、そういうことじゃないんだぜ」

 キョウのおっちゃんがいやいやいやと手を振っている。


「ぼ、僕は行くぞ!」

 お、ジョアン少年は来てくれるのか。


「……」

 キョウのおっちゃんが黙ってしまう。


 いやね、俺も別にモコやクレアのフラグを潰すためだったり、放置していてそこからも帝都が襲撃されるのではと心配してだったり、だけでは――ないんですぜ。


「……」


 いやね、女王って多分、金属性だと思うんですよ。あそこの蟻がそうだったからね。つまり、その魔石が手に入れば、もしかすると真紅に金属性を与えることが出来るかもしれない。そんな打算もあるワケなんですよ。


「……」


 グリフォンが風属性。風には金属性が効くんだろう? つまり真紅に金の属性を与えることが出来れば、グリフォンにも真紅の攻撃が通るようになるんじゃないかと。リベンジ出来るんじゃないかと。どうよ、どうよ、完璧な作戦じゃん。これなら今回の大規模レイドクエストでも活躍出来そうじゃない?


「……」


 ……。


「あー、わかった、わかった。俺も行くぜ。その代わり、準備をするからちょっと待って欲しいんだぜ」

 あいよ。

「先に西大門へ行ってて欲しいんだぜ」

 じゃ、先に行ってまーす。って、俺も準備をした方が……って、俺には準備するような事が何も無いか。よし、それならすぐに行きますか。


 と、そうだ。せっかくだから。


 キョウのおっちゃんとジョアン少年から伸びている線を指定してっと。仲間って感じになるように俺の方から線を伸ばして……。


【ジョアンさんがパーティに加入しました】


 む。ジョアン少年は行動が早いな。それに何か握り拳を作ってる。なんだろう?


「旦那、パーティを作るのかい?」

『ああ』


【キョウさんがパーティに加入しました】


 俺の言葉を受けてキョウのおっちゃんもパーティに加入してくれる。よし、これで3人パーティだ。世界樹の時は女の子二人だったのに、おっちゃんと少年とか――もうね、何だろうね。




―2―


 西大門を抜けようとするとキョウのおっちゃんがやって来た。

「待たせたぜ」

 いやまぁ、全然待っていないけどね。って、あれ? キョウのおっちゃんが腰の左右に2本の長剣をぶら下げていた。闘技場ではロングソード1本で戦っていたよね。戦闘スタイルを変更したのかな?

『その剣は?』

「あ、ああ! 元々、俺は2本の剣で戦うスタイルなんだぜ。女王と戦うなら、ちょっとは本気にならないと危険なんだぜ」

 なんだと。闘技場では手加減していたとでもいうのか。くー、俺も舐められたものだ。

「遊び人ほどじゃないけど、長剣や短剣なら2本持ちの時にプラス補正のかかるクラスだから、これも仕方ないんだぜ」

 何が仕方ないんだ、教えてください。

 ふむ、キョウのおっちゃんは2刀流に補正がかかるクラスに就いているワケね。って何のクラスなんだろう? 聞いてみるか?


「お、おい! 早く行くぞ」

 ジョアン少年が待ちきれないとばかりに急かしてくる。はいはい、すぐに行くからね、焦らない、焦らない。


 じゃ、行きますか。


 トウモロコシもどき畑を抜けて小迷宮『女王の黎明』へ。門番さん、ちーっす。

「ああ、お前達、今から入るのか?」

 そうなのです。今から女王を討伐してくるぜ。ま、クエストとして受けられなかったコトは残念だけどな。


 砂で固められた丘を、じゃりじゃりとした砂の感覚を味わいながら降りていく。さあ、サクッと攻略しちゃうぜ。


『そういえば、大規模レイドクエストの報酬を聞いていないのだが』

 俺は魔法のカンテラ(小)に魔石を入れる。魔法のカンテラ(小)からほのかな明かりが灯り、周囲を照らす。

「だ、旦那、報酬見てなかったのかよ」

 キョウのおっちゃんも懐から小さな丸い懐中電灯のような魔法具を取り出し、魔石を入れて明かりを灯す。うん、報酬は見てなかったんだぜ。

「参加するだけで327,680円(金貨1枚)と8,000GPだぜ。さらに倒した魔獣別に特別報酬なんだぜ」

 うお、マジですか。貰えるお金はそれほどでもないけど、GPが凄い。そんなに貰っていいのかよ。

「ま、上の連中は、俺ら、冒険者が殆ど生き残れないと思ってるんだろうぜ」

 あー、あー。強制参加でそれは酷い。


 迷宮内にガチャンガチャンと金属鎧の音が響く。にしても蟻と出くわさないな。他の冒険者が殆ど狩ってしまったのかな。まさか、女王も倒してしまった……何てことはないよな?


 最初の広間に到着するが、やはり蟻は現れなかった。あれ? これならスムーズに女王まで行けちゃうんじゃね?

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