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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
179/999

3-65  急展開

―1―


 話がまとまった俺たちはすぐに女王の黎明から脱出することになった。


 そのまま帝都へ帰る。ジョアン少年、モコにクレアと別れて、俺は冒険者ギルドへ。ジョアン少年は知り合いの所へ盾を見て貰いに行くそうだ。あ、その鍛冶屋さん紹介してください。俺も帝都で武器を見て貰えるようなコネが欲しいです。

 モコとクレアは換金所のある東側に行くそうだ。あ、換金所って東側にあるのね。俺も換金所は行きたいんだけどね。うーん、でも、俺ってば東側に入れないしなぁ。聞けばDランクになると東側の施設の一部利用とギルドの倉庫の使用に許可が下りるとか。ふむう、俺も早くDランクにならないとな。


 俺は犬頭のスカイの所へ。へへ、早く買い取ってくれよ。

「おー、チャンプお帰り。今日は戻ってくるの早いじゃん」

『クエストの完了と換金をお願いしたい』

 俺はスカイにステータスプレート(銀)を渡す。

「はい、クエスト完了おめっとさん」

 あれ、そういえば換金素材ってココで出してもいいのかな。ここって結構狭いよね。巨大な蟻の死骸を積み上げたら、それだけでギルドの中が埋まっちゃうんじゃね?

『素材の換金なのだが、ここで出しても良いのか?』

 俺はスカイからステータスプレート(銀)を受け取りながら聞いてみる。

「そ、その言い方だとおっきいんだな。どう?」

 犬頭のスカイが腕を組んで悩んでる振りをしている。はい、その通りです。

「よし、裏、行こうか」

 俺はスカイに連れられて冒険者ギルドの裏庭へ。お、意外と広い。

「ここに出してくだせえ」

 はいはい。俺は魔法のウェストポーチXLから羽蟻や巨大蟻を取り出し積み上げていく。

『それと酸液もあるのだが』

「壺、持ってくるよ」

『頼む』


 スカイから壺を受け取り酸液を入れる。よし、こっちもお金になるな。

「じゃ、この素材預かるね。明日には業者が来るから……、うん、明後日には換金結果出ると思うぜー」

 あ、すぐにお金が貰えるわけじゃないのか。この預かり方式だと換金結果が気にくわなくて『返して』って頼んでも返して貰えなさそうなのがなぁ。スイロウの里の方がすぐにお金へ変えてくれるから楽だったよね。あー、でも帝都も東側には換金所があるのか。早くDランクになりたいなぁ。


「じゃ、今日のクエスト完了分の報酬を渡すぜー」

 俺とスカイは冒険者ギルドの中へ戻る。


 ソルジャーアントの討伐

 クエスト報酬:51,200円(小金貨1枚、銀貨2枚)


 獲得GP+240


 ワーカーアントの酸液収拾

 クエスト報酬:10,240円(銀貨2枚)


 酸液:320円(潰銭40枚)×3=960円(銅貨1枚、潰銭40枚)


 獲得GP+12


 害魔獣討伐報酬

 ソルジャーアント:GP16×6=GP96

 エリートアント :GP24×3=GP72


 総獲得GP+420(915)


 合計:49,920円(小金貨1枚、銀貨1枚、銅貨6枚)



 うーん、一日の稼ぎとしては悪くないのかな。1週間(この世界の8日)頑張れば金貨1枚、小部屋が1つ改装出来るって感じか。はぁ、先は長そうだなぁ。




―2―


 さあ、今日も頑張りますか。昨日の夜は結局、魔法の練習をしただけで終わったしな。今日はスイロウの里に飛んで……いや、先に女王の黎明に向かうか。今日はソロでちょっと頑張って、午後からスイロウの里で武器のメンテや鉄の矢の補充って感じかな。女王退治の準備を頑張らないとね。


 墓地を抜け、貧民窟へ。


「お、来た」

「今日も来た」

「今日こそ倒してやる」

「……」


 出たな、クソ餓鬼ども。というか、一人戦闘狂が混じっていないか。しかしまぁ、なんで俺を待ち構えているんだか……。他に遊ぶところがないのか?


 餓鬼どもが俺の元へ駆け寄ってくる。あー、もう、うざいなぁ。


 その瞬間だった。


 俺の頭上部分が真っ赤に染まる。え? 危険感知? なんで?


 俺はとっさに上を見、そして餓鬼どもを見る。帝都の外壁が崩れ、上から巨大な塊が降ってきていた。


 駆け出す。俺はかばうために餓鬼どもの前へ。

「え?」

「芋虫、何?」

「見えないよ」


 もう一人が居ない。ぬいぐるみを抱えた犬人族の子どもが少し離れたところでぼーっと立ったままだった。ま、間に合うか? いや、そうだ。


――《魔法糸》――


 魔法糸を飛ばし犬人族の子どもをこちらへ引き寄せる。そして、背の大盾を外し子ども達にかぶせる。

『隠れてろ!』


――《W百花繚乱》――


 真紅とホワイトランスが落ちてくる外壁だった物を砕いていく。砕け、砕け、砕け、砕け! 後ろではカン、カンと小さな破片が大盾に当たった音がしている。くそ、くそ!

 更に帝都の外壁が崩れる。何だ、どういうことだ!


 そして砕かれた外壁から鷹の上半身と猫のような下半身を持った巨大な魔獣がその姿を覗かせていた。な? 魔獣の襲撃?

「い、芋虫、ユエが、ユエが」

「な、何?」

「うわああん」


 俺は後ろを振り返る。犬人族の子どもの頭から血が流れていた。

「は、破片に」

 くそ、ヒールレインで治るか? でも、確か回復ってステータスプレートの情報を元にしてとかポーションを鑑定した時に出ていなかったか? ステータスプレートを持っていないこの子達が……いや、考えるより先に行動を。


 一瞬、水の雫が落ちる音が聞こえ、犬人族の子どもが青い光に包まれる。え? 回復魔法か?

「ふふふ、また会いましたね。芋虫さん」


 いつの間にか青いフードを深くかぶった少女が立っていた。俺は驚き、少女を見る。

「大丈夫ですよ。この子たちなら回復魔法が効くでしょうから」

 どなたか知らないが助かるぜ。

「ふぅ、何処かのお馬鹿のせいで私が……」

 ん?

「いえいえ、こちらのことです。それよりも、今はあのグリフォンを追い返してしまいましょう」

 ああ、そうだな。


 青いフードの少女が豪華な装飾を施された杖を手に持ち、こちらを見て微笑んでいた。

「私も手伝いますからね、ふふふ」


 ああ、頼むぜ!

7月18日修正

餓鬼どもをかばようように餓鬼どもの前へ → 俺はかばうために餓鬼どもの前へ

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