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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
174/999

3-60  改装費

―1―


「おおー、遅くなった、遅くなった」

 門の方からがっはっははと大きな声が聞こえる。お、来たか。それに合わせて金属鎧のガチャガチャガチャと激しい音が聞こえた。うん?

「親方が寝坊するから遅くなっ……いてっ」

 一緒に来ていた角の少年に拳骨が落ちる。

「で、チャンプよ。この廃墟だな」

 ああ、この『家』だよ。

「おっし、じゃ、家の中を見て回るか。チャンプはそこらで時間を潰しててくれ」

 はーい。って、信用して任せてもいいんだろうか。いいんだよな? 信じているからな。


 よし、庭で魔法の練習を再開しよう。


 庭で魔法の練習をしようとすると金属鎧の擦れるガチャガチャという音が聞こえてくる。

「なんだ、ま、また練習を始めるのか?」

 ああ、暇だしね。

『そうだな、聖騎士について聞きたいのだが』

 暇つぶしがてら聖騎士のスキルや特性などについて聞いてみることにした。

「え? あ、ああ! そうだな、聖騎士についてだよな!」


――[アイスウォール]――


 氷の壁が立ち上がる。これ、すっごい尖っているし、人の足下で使えば攻撃にも使えるんじゃね?


「聖騎士はお爺ちゃんの剣聖と同じ上級クラスさ!」


 新しく出来た氷の壁を叩いてみる。結構硬いよね。真紅で攻撃してみよう。


「ぼ、僕はお爺ちゃんと同じ剣聖になりたかったんだけど、それでも僕の授かった天職だからね、嫌っているわけじゃないんだ!」


 真紅の一撃によって氷の壁が砕け散る。キラキラと氷の粒をまき散らせながら消えていく。残った氷の欠片もさーっと粉になって風と共に消えてしまった。魔法だからか、壊れたら消えちゃうんだね。


「聖騎士は騎士の上位クラスさ。それが天職として発現するって凄いことなんだよ!」


 最初に出した氷の壁も、しばらく待っていると粉となって消えていった。うーむ、一定時間で消える、壊されても消えるって感じなのかな。


「そりゃあ、神国が中心になってる、騎士ってクラスには抵抗があるけどさ、天職だからさ!」


 真紅の一撃で壊れるのは……うーん。もうちょっと強度が欲しいよね。ああ、その分、枚数を張ればいいのか。2枚張ることが出来たしね。となれば、何枚まで張ることが出来るか確認してみよう。とりあえずMPを回復させてっと。


「天職って分かるか? いきなり、クラスが発現するんだよ!」


 あー、MPの最大値が増えてきたからか回復まで時間がかかるなぁ。


「親から子に引き継がれる場合が多いんだよ! だから、僕もお爺ちゃんと同じ剣聖になるかと思ったのに!」


 まぁ、でも地上は色つきの靄が多いから、迷宮よりは早くMPの回復が出来るな。


「僕はお爺ちゃんと同じ剣聖になりたかったから、石柱で剣士にクラスを変えようとしたんだよ。だけどお爺ちゃんは天職は特別な力を持つ場合があるから、そのままでいなさいって」


 回復率は1分で10ってとこか。全快まで10分近く待つってキツいよなぁ。こういう暇な時はいいけどさ、戦闘中だと――厳しいな。


「聖騎士は大きな盾と分厚い鎧でみんなを守るんだ!」


 よし、MPが回復したな。


「耐えれば耐えるほど強くなるクラスで……」


――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――

――[アイスウォール]――


 3連続でアイスウォールを出してみる。カカカっと氷の壁が3枚立ち上がる。おー、3つは発動するか。早くMPが回復しないかな。余り、待ちすぎると時間経過で消えたのかどうか分からなくなるからなぁ。


「お、おい、聞いているのかよ!」


――[アイスウォール]――


 4枚目を張ろうとすると1枚目のアイスウォールが粉になって消えた。うーん、同時に発動出来るのは3枚までか。まぁ、MPの最大値の関係もあるし、これくらいでちょうどいいのかな。


「だから、聞いているのかよ!」

『む? 聞いているぞ。聖騎士は凄いってコトだな』


「あ、ああ! 僕が凄いってわかっているんならいいんだ」

 そうだね。

「ふん、今日の所はこれくらいで帰る!」

 ジョアン少年は嬉しそうに帰って行った。……って、何しに来たんだ?




―2―


 親方たちが俺の家から出てくる。お、見積もりが終わったのかな。

「見てきたぜ」

 おー、長かったね。しっかり見てくれたってコトだよね。

「こりゃあ、壊して新しく立て直した方がいいな!」

 親方はがっはっはっはって笑っている。笑い事じゃないんですけど。

「建物自体にガタがきてるんだぜ? 直すも何も壊して作り直すしか方法がねぇ。それを部屋ごとにやっていく。つーかだな、それなら全部まっさらにした方が楽ってもんだ」

 えー。でも、せっかく、こんな大きくて立派な建物なのに?

「それとな、建物を支えているメインの柱たちが深刻な状況だ。いつ崩れてもおかしくねぇ」

『それでも原形を残す形で改築をお願いしたい』

 初家だからね。やっぱさー、形を残したいよ。

「わーった。他に要望はあるか?」

 要望ねぇ……あ、そうだ。

『玄関を一段上げて欲しい。そして靴を脱いであがるように……可能か?』

 我が家は土足厳禁なのだ。

「ま、それくらい、別にいいけどよ。でもさ、チャンプ、お前靴とか履いてないじゃねえかよ」


 ……。


 ま、そうだけど! それでも土足厳禁は徹底事項なんだってば!


「わーったよ。それじゃあ、それで試算してみるか。おい!」

 親方が角の少年を呼ぶ。そして二人で何やら相談を始める。俺には文字で見えるから、その話の内容も分かるけれど、部材に何を使うかとか、今の素材の値段とかそんな俺には分からない専門的な話のようだった。


「チャンプ、これくらいだ」


 金額を紙に書いて渡してくれる。えー、何々。


 小部屋(1部屋):327,680円(金貨1枚)

 大部屋(1部屋):655,360円(金貨2枚)



 小部屋×7 2,293,760円(金貨7枚)

 大部屋×3 1,966,080円(金貨6枚)

 通路 1,310,720円(金貨4枚)

 玄関 655,360円(金貨2枚)

 門 655,360円(金貨2枚)


 合計:6,881,280円(白金貨2枚、金貨5枚)


 ろ、680万円かぁ。た、大金だなぁ。まぁ、でも豪邸の改装だと考えたら安いのか?


「チャンプよ、相場が分からないだろうから教えるけどよ。普通の小さな家程度なら金貨が1枚もあれば建てられるんだぜ」

 え? そんな安いの? この世界の物価はどうなっているんだ! 材料がくっそ安いのかなぁ。

7月18日修正

リフォーム代金の表記を一部変更しました

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