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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
2  世界樹攻略
17/999

2-11 迷宮

―1―


『いや、何でも無い。少しステータスプレートを確認しておこうかと』

 とりあえず慌ててステータスプレートを取り出した言い訳をする。……ん?


 MPが減っている。どういうことだ?


『で、もう一度確認なのだが、MPの回復手段を教えて欲しい』


 うん、確実にMPが減った。って、もしかして念話スキル!?

「MPはくつろいでいるときや睡眠を取ることで回復するみたいですね。後はマナポーションを飲むことでも回復します」

 やはりあったかMP回復ポーションっと、ついでに念話スキルのMP消費も確認しよう。

『ふむ。MPを回復する飲み物があるのか……ちなみに高価なモノなのだろうか?』

 うん? さっきよりも念話を使った際のMP消費間隔が遅くなった気がする。熟練度を見ると2000を超えていた。

「少しだけMPを回復してくれるモノだと値段も安めなのですが、大きく回復してくれるモノはかなり高価ですね」

 よし、今度は正確に時間を計りながら消費量を見てみよう。

『なるほど。少しだけMPを回復してくれるモノだと、ということだが、どれくらいの回復量で金額はどれくらいか正確に教えて貰えるだろうか?』

 大体、2秒間でMP1消費か……。って、もしかして熟練度1000毎に消費MP1辺りの秒数が1伸びる感じなのか!? 3000になったら確認してみよう。その時、3秒間でMP1消費なら確定ですね。

「ライトマナポーションがMP4程度回復で20480円程度ですね」

 って、へ? たった4、4回復で銀貨4枚……だと。安くないじゃん、安くないじゃん。

「80程度回復してくれるようなものだと655360円くらいはするみたいですね」

 無茶苦茶大金だよ。見たことがない金額だよ。小金貨16枚分だと!?

 しかし、この回復量で大きくというのなら、もしかして普通の人の最大MPって数百程度なのか? となると自分の1620って凄い多いんじゃね? チート始まった? もしかしてキタ?

「まぁ、魔法使いを目指すとかでも無い限りは縁の薄いモノになりますよね」

 魔法使いのポット破産ですね、わかります。


 にしてもスキルとして獲得した瞬間にMPを消費しだすとか……もうね。逆に不便になった気がするんですけど、どうしてくれよう、こんちくしょう。




―2―


「ランさん、見えますか?」

 森の中、ウーラさんが指差したところは少し盛り上がった斜面になっており、そこに人間、一人分が通れるような洞穴が見える。

「アレが森ゴブリンの生息する小迷宮、『森ゴブリンの巣』になります」

 門番などは立っていない。ここからだと暗闇に閉ざされた洞窟の中は見えそうにない。

『森ゴブリンの姿は見えないようだが?』

「数日前に討伐されたばかりなので、余り数は居ないはずです」

 ん? 討伐後なの?

「一度、討伐されても不思議なモノで数日すると、また森ゴブリンが住み着いてしまうんです。どれだけ狩っても増え続ける森ゴブリンの繁殖力は恐ろしいモノがありますね」

 ま、そんなにすぐに増えるなら怖いだろうね。ファンタジー世界のゴブリンと同じで、この世界も(狩られるくらいだから)人に仇なす存在だろうしね。

『中は暗そうだな? 明かりを持ってきて無いのだが』

 洞窟探索があるなら明かり必須かぁ。この身体だと持つのは難しいから首下げ式か腰に吊せるランタンが欲しいなぁ。

「はい、今回は僕が用意しました」

 ウーラさんはランタンを取り出す……って、今、どこから取り出した!? 両腰にぶら下げた片刃の斧の後ろにウェストポーチがあるくらいしか、って、それが魔法のポーチか。なるほど、熟練の冒険者のはずなのに手荷物が無いわけだよ。魔法のポーチ……改めて思うけどチート過ぎる。異世界様様ですね。

「僕が明かりの係をします。このランタンは魔法がかけてあるので明かりの範囲は広いですよ。ですが、その分、見つかりやすくなるので、小迷宮に入ったらすぐに戦闘になると思ってください」

 ふ、ふむ。戦闘か緊張するなぁ。


 ウーラさんを後衛に洞窟……いや、小迷宮か、に足を踏み入れる。薄暗いごつごつとした岩壁の洞窟を進んでいく。しばらく進むと曲がり角に小さな人影が見えた。

「ランさん」

 ウーラさんが小さな声でこちらに呼びかける。分かっている、と頷く。

 鉄の槍を持ち、小さな人影がこちらに曲がってくるのを待ち構える。


「ギギ、ニンゲン? チガウ、ムシ!?」

 現れた森ゴブリンは、こちらに気付き、そして驚いている。森ゴブリンの字幕……喋るくらいの知能はあるのか。


――《糸を吐く》――


 俺は糸を吐き、森ゴブリンに巻き付け動きを封じる。そのまま鉄の槍で一突き。森ゴブリンが悲鳴を上げる。森ゴブリンのSPに邪魔をされたのか森ゴブリンにキズを負わすことが出来ない。

 そのまま何度も何度も槍を突き刺す。腕を砕き、足を砕き、心臓を貫き……やがて森ゴブリンは動きを止めた。それでも何度も何度も槍を突き刺す。何時の間にか耳障りな悲鳴は止んでいた。

 改めて森ゴブリンの姿を見る。角の生えたはげ上がった顔、薄汚い何かの皮鎧を着、腰蓑一枚の身長1メートルほどの子鬼。その身体は穴だらけで至るところから血が流れ落ちている。こちらを見た驚きの表情のまま死んでいる。


 ああ、俺が殺した。


 生き物を殺すことと縁の薄い世界から……ああ、頭の中がぐじゃぐじゃする。


「ランさん、先程の叫び声を聞いて、仲間がやってくるかもしれません。魔石を取り出すなら早めにっ!」

 そ、そうだな。こういう世界なんだ。な、慣れないと。

 早く魔石を取り出さないと……。

 慌ててショルダーバッグから鉄のナイフを取り出し、森ゴブリンの胸を切り裂く。そして身体の中から魔石を取り出す。ホーンドラットよりは少し大きな魔石。すぐにそれをショルダーバッグに突っ込む。

『ち、ちなみに森ゴブリンから何か素材とかは取れるのだろうか?』

 動揺を隠し、平気なふりをして聞く。

「特にありません。強いて言えば持っている武器などでしょうか? 銅や鉄などの武器であれば溶かして使えるので換金出来ますね」

 そ、そうか。改めて先程倒した森ゴブリンを見る。武器などは持っていない。持っていないのか……もしかして戦う意志がなかったのか? 話せば仲良くなれた可能性もあったんじゃないのか? 駄目だ、イヤなことばかり考えてしまう。

「ランさん、行きましょう」


 そのまま小迷宮、『森ゴブリンの巣』を進んでいく。

6月2日修正

誤字修正

2020年12月12日誤字修正

どおりで熟練の冒険者の → なるほど、熟練の冒険者の


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