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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
167/999

3-53  税徴収

―1―


 来た道を戻り『女王の黎明』を脱出する。うーむ、思ったよりも蟻が現れなかったな。今回、倒したのは30匹くらいか? 確かに一回の冒険で倒した魔獣の数としては最多だけどさ、もっと絶望的な数字になるかと思っていたから意外だね。

『すまない、ちょっと良いかな?』

 俺は門番に天啓を授ける。

「あ、ああ、どうした?」

『昨日、この小迷宮に入った冒険者は居ただろうか?』

「昨日……、いや、そうだな。一昨日ならクィーンを倒すって意気込んで入った若い冒険者が居た、ああ、居たな」

 門番の人が、それがどうした? って顔でこちらを見る。

『この小迷宮で、こちらのダガーや杖を手に入れたのだが』

「そいつは……。ああ、なるほどな。そうか、残念なことだ」

 うん? あれ? それだけ? もっとなんだろう、管理しているんだから何かあってしかるべきじゃないのか? 入る方は見張っていても出て行く方に関してはどうでも良い感じなのか? う、うーん。


 仕方ない冒険者ギルドに持って行ってみるか。



 西大門を通り抜け、帝都内へ。そのまま冒険者ギルドへ向かう。


「うん、おお、チャンプ。小迷宮はどうだったんだい?」

 気さくに話しかけてくる犬頭のスカイ。ああ、結構稼げたよ。って、それよりもだ。

『小迷宮で力尽きてしまった冒険者の物と思われる装備品なのだが……』

 俺はカウンターの上に青のダガーと初級の杖を置く。

「へー。それは。ふーん、で買い取り? それなら故買屋に行ってよー」

 うん? あれ? 俺が貰っちゃっていいの? フウキョウの里ではギルドに持ってきてください、GPに還元するよ、取っちゃうと泥棒になるよ、みたいな感じで聞いていたんだけどなぁ。

「あー、ああ、うん、そうだったそうだった。で、GPにする? 持ち帰りにも出来るよ。多分、所持タグは移ってるからステータスプレートを出してくれたら処理するよー」

 あ、そうなの? じゃあ、青のダガーと魔法のリュック(3)以外はGPに還元お願いします。あ、そうだ! 酸液も溜まっているんだった。

『こちらも頼む。後、壺に入りきらない分もあるのだが』

「へ? え? ど、どういうことです?」

 そういうことですが?

「は、はぁ?」

 スカイが何言っているのこの人、みたいな感じで空の壺を用意する。俺は酸液の溜まった壺を置き、更に用意された空の壺の中に酸液を入れていく。

 酸液は全部で壺2つと3つ目の半分くらいになった。

「……ひゅー、やるぅ。さすがチャンプ」

 ……何がさすがなんだろうね。もっと、こう、凄いです! こんなの見たことがない天才か、みたいな褒められ方を期待していたのに、結構、軽いんですね。

「じゃ、ステータスプレートを貸して。クエスト2回分にしておくからさ。後は換金だねー」

 俺はステータスプレート(銀)を渡す。


 ワーカーアントの酸液収集

 クエスト報酬:20,480円(銀貨4枚)


 酸液:320円(潰銭40枚)×7=2,240円(銅貨3枚、潰銭40枚)


 錆びたロングソード:GP2

 カットラス:GP3

 初級の杖:GP1

 腐ったブライスースの皮鎧:GP1

 錆びた鉄のプレートメイル:GP8


 獲得GP:+39(255)


 合計:17,920円(銀貨3枚、銅貨4枚)


 うん? 報酬が減ってないか? クエスト報酬が銀貨4枚なのに、貰えるのが銀貨3枚っておかしく無いか? ど、どういうことだ?

『報酬が……』

「うん? あー、チャンプ、三級市民でしょ。税金、税金」

 そっかー、税金かー。

「それと、ちょっと手数料も貰ったけどさ」

 と更にスカイは小さな声で追加していた。ちょ、おま、お前! ……ま、いいけどさ。ま、まぁ、会話を文章として読んで分かる俺じゃないと分からないくらいの小さな声だったけど、素直に言ったので許す。誤魔化されるよりは良いってことにしておくか。まぁ、チップってことで。こんな不安定な状況で唯一のギルド職員と喧嘩しても仕方ないからな。最悪、スイロウの里に戻るって手もあるしね。うん、特別に許すのだ。


 さて、自宅に戻りますか。




―2―


 途中の露店で買った焼き串を齧りながら、貧民窟を抜け、墓地へ。さすがにこの時間だとクソ餓鬼どもは居ないな。うーん、絡まれずスムーズに行動できるから、クソ餓鬼が居ない時間を狙って行動した方が良い気がするなぁ。


 さあ、我が家です。今日も疲れたなぁ。


 我が家の前に着くと今日も家の中に気配が……だ、誰だ?


 即座に家の影に隠れる。


「今日も居ない!」

 俺の家から出てきたのは昨日と同じガチガチに武装した少年だった。な、何が目的だ?

「もう一度、情報を確認して……」

 少年はぶつぶつと呟き、その重そうな鎧から大きな金属音を響かせながら帰って行った。


 うーん、余り会いたくないなぁ。完全に面倒ごとに巻き込まれるフラグだよね、これ。それにしても昨日といい、今日といい、なんてタイミングの良い……いや、良いのか?


 でも、すれ違いを狙ったかのようなタイミングだよね。作為的な運命を感じるぜー。


 ま、いいか。ゆっくりしましょう、そうしましょう。


 さてと、アイテム整理をするか。


 魔法のリュック(3)が手に入ったからなぁ。ショルダーバッグか皮の背負い袋のどちらかを処分するかな。リュックのサイズ的に皮の背負い袋かなぁ。にしてもリュックを背負って、それに盾をくくりつけて……うん、凄い見た目だ。魔法の袋っていう異世界グッズがあるから、まだマシだけれど荷物が増えてきて大変だよね。こういう時に荷物持ちでも居ればって思っちゃうよなぁ。


 後は青のダガーか。ダガーって使わないんだよなぁ。シロネさんでも居れば……って、あの人は真銀製を持っていたみたいだから、この程度のダガーは要らなさそうか。解体用のナイフなら嬉しかったけど、それよりはサイズがあるし、扱いに困るなぁ。まぁ、何かに使うこともあるかもしれないし、腰にぶら下げておくか。


 さあ、明日も小迷宮に行きますか。

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