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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略

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3-32  ぼっち

―1―


 来た道を戻っていく。帰り道に骨が沸くようなことがなかったのでサクサクと帰還です。あ、そういえばぼろ布スケルトンの魔石はどうなったんだろうか?

「壊したんだぜ」

 あー、さすがに取り出すのは無理だったか。ま、仕方ないね。


 階段を上りきると、そこは行き止まりだった。あれ?

『道がないのだが?』

「確かにないんだぜ」

 も、も、も、もしかして閉じ込められた?

「中から開けられないなんてことは無いと思うんだぜ?」

 俺もそう思うんだぜ? キョウのおっちゃん、なんとかしてくださいよー。


 キョウのおっちゃんが閉まってしまった壁を叩いたり、なぞってみたり、色々と調べている。

「多分、ここだと思うんだぜ」

 壁をぽんぽんと叩くと壁に線が入り動いていく。おー、開いた開いた。閉じ込められたかと思ったよ。よし、キョウのおっちゃんが叩いていた場所を憶えておこう。後で俺が一人で来た時に帰れなくなったら洒落にならないからな。


 迷宮を出た先も薄暗い地下通路だから開放感がゼロだな。と、そうだ。

『キョウ殿、この白い部屋に寄っていかないか?』

「いいけど、どうしたんだぜ?」

 まぁまぁ、いいからいいから。


 二人で白い部屋に入る。うーん、おっさんと芋虫が一緒に部屋へ入るって嫌な絵面だなぁ。


――[ヒールレイン]――


 癒やしの力を秘めた雨が降り注ぐ。うん、確かにこの部屋の中なら魔法が発動するな。

「お、おい、これは……?」

「にゃがが」

 キョウのおっちゃんが驚いている。存在を忘れていた小っこい羽猫も頭の上でうなっている。あ、そうだ。回復魔法って存在がよくわからないからステータスプレートを確認してみよう。


 うーん、今回、HPは減っていないからHPの回復にも効果があるか分からないなぁ。って、あれだけスケルトンにぼこすかやられたのにHPは減っていないのか。これもSPの効果なのかな。見ればSPは400近くまで減っていた。今は最大MPが少ないからSPを回復させるのに時間がかかるんだよなぁ。って、あれ? SPがもりもり増えているぞ。もしかして回復魔法ってSPを戻す効果があるのか。消費MPがいくつか分からないけれど、MPからSPに還元するよりも効率が良いなら回復魔法は便利かも知れないなぁ。よし、もう一回使ってみて消費MPを確認してみよう。


――[ヒールレイン]――


 その瞬間、気絶しそうなほどの虚脱感に襲われる。も、もしかしてMPが枯渇しかけている? 消費MPは……40だと。多すぎる。最大MPが増えてなかったらアウトだったじゃないか。効果はSPの回復速度を上げる、と怪我の治療って感じなのかなぁ。今度、HPが減るようなことがあったら、そちらにも効果があるのか確認しておこう。




―2―


 夜になり、俺はこっそりと個室を抜け出す。


 よーし、夜も小迷宮の探索に行っちゃうんだぞー。グレートソードもちゃんと用意したからね。暗いのだけは不安だけれど、そこはそれ、ちゃーんとキョウのおっちゃんから明かりを借りているんだぜ。貸してって頼んだら快く貸して貰えたからね。たぶん、グリーブをあげたのが効いていると思うんだ。いやぁ、良かった良かった。でもさ、ホント、自由になったらランタンも買わないとな。なんだかんだで結局、買ってないんだもんなぁ。明かりは必須なのだった。


 白い部屋の前に到着。しかしまぁ、立ち入り禁止って割には何も無いんだな。普通は守っている人が居たりとか何らかの防犯設備があったりとかしそうなもんだよなぁ。まぁ、そういったモノが何も無いのは俺的にはラッキーってことで。


 さてと、確かこの辺だったよな?


 俺は壁のスイッチを押し小迷宮の中へ。


 だ、大丈夫だよね?


 初期の頃はずっとソロだったのにさ、一人で降りる迷宮が急に不安に感じるのは――もうね、ダメだよなぁ。仲間が居ることになれてしまって一人だと攻略出来ないんじゃないかって思っちゃうんだよなぁ。心が弱くなっていると思うのです。


 いや、心を強く持て。今の自分の姿を見るんだ。


 左手に懐中電灯ぽい魔法具、右手に真紅、サイドアーム・ナラカにグレートソード……完璧な布陣なんです。これなら怖くないッ!


 階段を降りて骨が沢山現れた広間へ。散らばっていた骨は綺麗に消えている。うん? 宝箱も無くなっているな。うーん、誰が掃除したんだろうね。


 うんじゃまぁ、進みますか。


 広間を抜けるとすぐに下り階段があった。何処まで降ろすつもりなんですかね。そのうちマントルまでぶち当たっちゃいますよ。

 階段の両脇には二段になった凹みが何個も作られていた。まるで何かを納めるかのようだ。これ、何だろうね。

 階段を降りていると前方からカチャカチャと音が聞こえてくる。あー、骨ですか、骨ですよね。

 予想通り現れたのはスケルトンウォーリアだった。だが今回の骨には魔石の姿が見えている。復活しないタイプかな? ということで、さっそくグレートソードの餌食だぜッ!

 俺はグレートソードを振り下ろそうとし、そのまま壁に引っかかった。ちょ、狭くてグレートソードが動かせない。邪魔、これ邪魔だ。天井に当たるし、横も、向きも変えられないし、うがー。し、仕方ない。グレートソードを一旦手放すことにする。そこからのッ!


――《集中》――


 更にッ!


――《百花繚乱》――


 穂先も見えないほどの高速突きを集中力の増した世界の中で針穴に糸を通すように骨に当てていく。カカカカッという小気味良い音ともに骨が砕けていく。う、うわぁ、これ神経がすり減る作業だ、集中しないと穂先が骨を滑らせるし、凄い疲れる。早く広いところに到着してグレートソードで叩っ切りたい。

 骨を貫き砕き、動けなくなったところでサイドアームナラカを使い魔石を引っこ抜く。よし、魔石ゲットだぜー。にしても、この場でコレは面倒すぎる。次に現れたら魔石を貫こう。勿体ないけど、それが一番だな。


 階段を降りている途中でまたもスケルトンに出くわす。ま、た、か。今回も魔石持ちか……もう面倒だから魔石を貫くことにする。


――《スパイラルチャージ》――


 赤と紫の螺旋がスケルトンの魔石を貫き砕いてく。魔石を貫いた瞬間、骨に宿っていた力が消えたのか、骨がバラバラに崩れ落ちる。楽勝楽勝。

 毎回これで倒せるなら楽勝なんだけどなぁ。うーむ、最初の広間のように魔石の無いスケルトンが現れた時が危険だよなぁ。


 しばらく階段を降りているとまた開けた空間に到着した。


 そして現れる無数の骨達。ああ、広間についた時点で予想していたよ。


 普通のスケルトンにぼろぼろの盾や剣を持ったスケルトン、更に巨大なスケルトン達……うん、多いな。


 そのまま薄暗い空間を見回す。よし、この広さならグレートソードが振り回せそうだ。


 サイドアーム・ナラカに持たせたグレートソードを振り回し、その重さによって骨達を叩っ切りながら進んでいく。粉々だぜー。


 寄らば叩っ切る。

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